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『ソラリス』は存在論、認識論的(笑)にもヲタクにとって汲めども尽きぬネタの宝庫
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投稿者 バルタン星人 日時 2004 年 10 月 25 日 16:35:33:akCNZ5gcyRMTo
 

(回答先: 書評 『ソラリス』=スワニフリフ・レム著(国書刊行会)【毎日新聞】 投稿者 ジャック・どんどん 日時 2004 年 10 月 24 日 22:18:04)

ジャック・どんどんさん どうもです。

私事で恐縮ですが徹夜つづきで現状逃避モードです。(極端に躁状態でもありますが)

>書評 『ソラリス』=スワニフリフ・レム著(国書刊行会)【毎日新聞】
スタニスラフ・レムじゃなかっでしょうか?人名ですから、読み方はいろいろあると思いますが。元は早川書房で私も十代の頃古本屋で買って読んだんですが、たぶん今でも持っていると思いますが題名も『ソラリスの陽のもとに』じゃなかったかと。
原作も大変な問題作ですが、タルコフスキーの映画もそれ以上ですね。ちょうどリバイバル上映の頃、映画の結末を巡って安酒喰らいながら大いに盛り上がった記憶があります。
ソーダバーグが最近リメイクしたのは周知の通りですが予想通りの「クソ映画」でタルちゃんの足元にも及びませんでした。

『ソラリスの陽のもとに』と一緒に同じ早川書房の『宇宙生物学講座』草瀬英明?という本を買ったのですが(たぶん絶版)、過去のSF小説(映画)に出てきた「宇宙人」についてのアンソロジーでした。その本では人間の感覚器官が脳に近接してあり必ず一対になっている(目、耳、鼻のあな)というのは空間認識のためには極めて合理的にできている、つまりヒューマノイドというのは特殊な例外じゃなくて、知的生物というのは必ずある種の類型に収まるという「合理論」、「普遍性は特殊性という形態で外化」するという論理になっていたわけです。
ところがダーゥインの進化論が揺らいできたり、そもそも酸素というのは生物に猛毒であって老化の原因が活性酸素だから嫌気性の生物の方が一般的じゃないかとか、人間の知覚についてもゲシュタルト心理学で外部刺激と生体の反応は線型じゃない、つまり人間の知覚は「世界を写す鏡」ではないとか色々出て来ました。(細かい話はすっ飛ばします。)

で、レムが出してきた「自重十数兆トンの単一知的生命体」というのは、想定しうる究極のキャラクター?なわけです。たぶん「ソラリスの海」は自然言語を持たない、なぜって「他」が居ないから。だから言語に分節された概念を操作する「思念」などというものは無いんじゃないか。タルちゃんの映画をみても終始ディスコミュニュケーション論と読めないことも無いわけです。発表当時は 「ソラリスの海」はポーランドの共産党の政治支配のメタファーだとか皮相な評論もあったようですが、そんなレベルの話じゃないと思います。

カントは人間の認識は感性的直感と悟性の「異なるものの統合」と言ったわけですが、身体的知覚を先験的な悟性で意味論的に構成し統合する、しかし悟性といってもオギャと生まれて親との関係とかで「モノ」という集合には色とか形というメンバーがあって色はさらに赤とか青とかのメンバーで構成されるとか教わるわけですね。間主観性といってもいいですが、概念を掴むことによって「赤でも青っぽい赤」とか逆に知覚が分節化してくる、だから人間は何千万色だか何億色だか区別がつくわけだと思うのです。(かなり、いい加減ですが)
つまり感性的知覚と悟性はグルグル循環している。だからカントは(感性、悟性の二元論というのは論理的にはすごく弱いけど)「統合」というのは「超越論的統覚」であって経験的にはゼロだけど、「はたらき」としてはあるんだ、と言っているわけです。(この辺はかなりスピノザ的です。)
で、ヘーゲルやハイデガーは図々しいというか性格悪いから感性、悟性の二元論を「知的直感」とか「構想力」とか言って一つに括ってしまうわけです。論理的にはスッキリするけど「他我」とか身体性の問題は全部落ちてしまう。カントは人間は与件としてあるものを感性的直感を通して現象(世界)としてしか認識できない、その制限を越えて理性を行使すること、例えば神の存在とか、宇宙の生成だとかを構想することを「理性の越権」と言って戒めたわけです。「んなもん、結論が出ないという結論しかないんだ、はじめから」という事です。さらに続けて、もし「絶対者」というものがあるなら知的直感によって表象することで、対象が与えられる、平たく言えばモノを考えるのではなく、考えたモノが出来てしまうという能産的な神的知性だろうということですね。

で、やっとソラリスの話に戻すと、物凄く陳腐な言い方ですが「ソラリスの海」は世界を認識するのではなく「感じる」んでしょうね、重力とか光とか音とか全て電気的信号???として。しかも能産的な知性としてクリスの死んだ奥さんを物象化っていうより実体化したり、海の上に巨大な赤ん坊を出現させたり、クリスの故郷まで作ってしまう。もっとも私の友人(当時)の説では「脳内麻薬全開バリバリで立ったまま夢を見て(見させられて)いるんだ」と言っていましたけど。レムがどういう思想的な人かは知らないんですが、もしかしたら「神様」の事を語っているとも思えます。つまり本当に「絶対者」なるものがあるとすれば、お賽銭投げてお願いしたら聞いてくれるような都合のであるわけがない、人間が理解不能(対話不能)な不気味なものだろうということですね、要は考えてもしょうがないだろうということで。
ヴォルテールだったか有名な詩人が「ロベスピエールは大したことない、せいぜい王様の首を切り落としたくらいだ、しかしカントは神様の首を切り落としてしまった。」って言ったのもむべなるかなです。

とにかく『ソラリス』は存在論、認識論的(笑)にもヲタクにとって汲めども尽きぬネタの宝庫だということで終わりにします。

#最近愚民党さんの投稿みませんね。

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