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「哲学クロニクル」が復活(『脱商品化の時代 アメリカン・パワーの衰退と来るべき世界』ウォーラーステイン著の紹介など)
http://www.asyura2.com/0406/bd37/msg/645.html
投稿者 バルタン星人 日時 2004 年 10 月 30 日 22:51:58:akCNZ5gcyRMTo
 

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哲学クロニクル 第431号
(2004年10月29日号)
注目の新刊--現代のアクチュアルな問題に取り組む
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デリダが亡くなりましたねぇ。長らくお休みしていた『哲学クロニくル』を発行しようと
準備していたやさきのことで、ショックでした。でもあれほどの作品を残してくれたし
ぼくたちにはこれから、デリダの思考の痕跡をたどる長い道のりが残されています。
追悼。

『哲学クロニクル』では、当面は新刊案内を中心にするつもりです。またご意見など
いただけるとうれしいです。

今回は現代のアクチュアルな問題に焦点をあてた書物を中心にご紹介します。
まず、以前クロニクルで何度も紹介したことのあるウォーラーステインの
『コメンタール』の翻訳の四冊目がでました。

|イラクの未来 世界を読み解く '04
|イマニュエル・ウォーラーステイン著; 藤原書店; 2000円; 304; 04048770; 4-89434-408-4

いつも冷静なウォーラーステインが、イラク戦争を中心に、中東和平や核開発問題などを
縦横に論じた書物で、おおすめです。直接にイラン問題とはかかわらないですが、ウォーラーステイン
の翻訳がもう一冊、藤原書店からでています。

|脱商品化の時代 アメリカン・パワーの衰退と来るべき世界
|イマニュエル・ウォーラーステイン著; 藤原書店; 3600円; 304; 04048787; 4-89434-404-1

アメリカを中心とした近代世界システムの終焉が始まっていると指摘し、これから生まれる
新しいシステムに目をこらした一冊のようです。ネグリ/ハートの『帝国』の視点を
補い、あるいは批判する書物がたくさんでましたが、この書物もぼくたちに新し
い視点を示してくれるかもしれません。

さてアメリカでは「愛国者法」を軸に、市民的な自由の制限が強められていくば
かりです。日本政府はアメリカに入国した際の日本人の個人情報の抹消を要求し
たものの、アメリカにあっさりと断られたようです。アメリカの基本的な人権の
制約を描き出した一冊が出版されました。

|消えゆく自由 テロ防止に名をかりた合衆国憲法への無制限な攻撃
|ナット・ヘントフ著; 集英社; 2000円; 316.1; 04049012; 4-08-773418-8

著者はジャズ評論家だそうですが、赤裸々な状況が語られていることと思います。またジジェク
の宗教論が出ましたね。ジジェクは相変わらずのノリで読ませてくれるのでは。

|操り人形と小人 キリスト教の倒錯的な核
|スラヴォイ・ジジェク著; 青土社; 2400円; 139.3; 04053920; 4-7917-6150-2

あと、岩波の『世界』で長らく連載されてきたテッサ・モーリス‐スズキのエッセイがまとめられました。
連載の頃から読んできましたが、お勧めの一冊です。

|自由を耐え忍ぶ
|テッサ・モーリス‐スズキ著; 岩波書店; 2000円; 304; 04053421; 4-00-023403-X

イラクだけでなく、紛争まみれの現代世界ですが、この紛争を女性の視点から眺めるとい
う著作が刊行されました。ぜひ読んでみたいと思っています。

|紛争下のジェンダーと民族 ナショナル・アイデンティティをこえて
|シンシア・コウバーン著; 明石書店; 4500円; 367.2; 04053581; 4-7503-1998-8

さて今回の特別のお勧めは、『監視社会』の著書のあるライアンの新著の翻訳です。

|9・11以後の監視 〈監視社会〉と〈自由〉
|デイヴィッド・ライアン著; 明石書店; 2500円; 316.1; 04049157; 4-7503-1979-1

監視カメラによる市民の監視や、インターネットの利用の監視、生体認証など、
ぼくたちの周囲の監視ネットワークが強まってきました。ぼくたちの知らない場所で
すでに多数の個人情報が収集されているのです。この書物はその最新の現状を
ありありと描き出します。必読の一冊でしょう。

同時多発テロ以来「公然と加速度的に到来する」ようになった監視についての
実感的なコメントである序章が出版社のサイトでよめます。
http://www.akashi.co.jp/menue/books/1979/jobun.htm

ついでに目次をご紹介。
序章
監視と急激な変化 本書について
第1章 監視を理解する
真意の探索/破壊と露呈/9・11以前の監視/監視の眼差しを理論化する/批
判的問い/プリズム、展望、実践
第2章 監視の強化
目に見える犠牲者、消え去る自由/「テロリスト」の捕獲:疑いの文化/テロリ
ストとは誰か/萎縮的風潮:秘密主義の文化/監視に動員される市民/監視を強
化する
第3章 監視の自動化
監視を売る/監視技術/バイオメトリクス/IDカード/CCTVと顔認識/9
・11以後の技術監視/結果と批判
第4章 監視の統合
全情報認知(TIA)/収斂、コード、カテゴリー/新しい統治/テロリズムと監視
第5章 監視のグローバル化
グローバル化、テロリズム、監視/グローバル化した監視/旅客機搭乗者データ
/ハイジャックの歴史/ダンスのような進歩/グローバルな統合に向けて?/反
監視のグローバル化/グローバルな監視?
第6章 監視への抵抗
糸を寄せ集める/難題に立ち向かう/社会的問い/新しい政治への取り組み/テ
クノロジーの市民権/疑念と秘密を超えて
エピローグ 日本の読者へ 9・11前後の日本の監視
テロのターゲットとしての東京/日本の監視を理解する/日本の監視情勢/日本
における監視への抵抗/結論


========
あと、英語で多数の学術雑誌を刊行しているSAGEが、今月末までサイトをフ
リーにしています。多数の注目すべき論文を全文読めます。 Philosophy &
Social Criticism、Philosophy of the Social Sciences、Politics,
Philosophy & Economicsなどが全文検索でき、PDFファイルで全文を読めます。
デリダで検索すると、実に1072件の論文がヒットします。
時間があまり残されていないですが、お試しいただければと思います。

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