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11/05 18:21 やめられぬ「覚せいの葉」 政府動かず気をもむ支援国
「アラブの最貧国」と呼ばれるイエメンの国民的嗜好（しこう）
品カート。アカネ科の低木で、葉のエキスに軽い覚せい効果がある
。健康を損なう恐れもあり、多くの国では麻薬扱いされているが、
サレハ大統領自身が愛好者のイエメンでは合法で生産、消費量とも
年々増えている。
成人男性の多くが毎日数時間を「カートタイム」に充てるため社
会活動が停滞するなどの影響もあり、規制を求める声も強いが、問
題を深刻視しているのは政府より、主力産業である農業への支援が
カートに化けることを憂う「日米欧など経済支援国」（外交筋）と
いうのが実態だ。
昼下がりの首都サヌア。勤務中の警官、運転手、店番の少年まで
、片方のほおをボールのように膨らませた姿が目立つ。若葉をかん
でエキスを吸い、残りかすを片ほおにためるため、次第に膨らむの
だ。市場を歩けば「朝もぎの上物」と、カート商人から声がかかる
。
値段は小さな買い物袋一袋で二―六ドル（二百二十―六百六十円
）前後。一人当たり国民総所得が約五百ドルのイエメンでは決して
安くはない。全国民が一年間にカートに費やす額は国家歳入（二〇
〇二年度で約二十七億ドル）に匹敵するとされる。
昼食後に一袋を数時間掛けてかみ、覚せい感を味わいながら、友
人と議論や情報交換。これに合わせ官庁や銀行は正午から午後四時
まで業務を停止、長い昼休みとなる。
かつて中産階級以上が楽しんだカートは、社会不満のはけ口とし
て、貧困層にも広がった。多くの農家は輸出作物だったコーヒーや
、主食の小麦、トウモロコシの栽培をやめ、手軽な換金作物として
カート栽培に転向。今では「水資源の５５％がカート栽培に使われ
、労働人口の２５％がカート生産、流通業に携わる」（イエメン紙
）。
しかし、カートは食欲減退作用があるほか、青少年の骨格形成に
悪影響を与える。女性にも愛好者が増えているが、カート栽培には
大量の農薬を使うため、母乳から農薬が検出されるなど、健康上の
問題を指摘する研究者もいる。
サレハ大統領は一九九九年、自ら「カート断ち」を宣言、「生産
性の高い生活を」と国民に呼び掛けたが、九月、アラブの衛星テレ
ビで、今も「週三回」楽しんでいると“告白”。カートは簡単にや
められない「悪魔の伝統」（同国紙社説）であることをあらためて
印象づけた。（サヌア共同＝小熊宏尚）
20041105 1821
[2004-11-05-18:21]
11/05 18:22 イエメン
イエメン アラビア半島南西部のイスラム教国。人口約１９５０
万人。紀元前のシバ王国の時代から栄え、１９９０年に共和制の北
側と親ソ連路線の南側が統合しイエメン共和国が成立。経済政策な
どの対立から９４年、旧南北軍が衝突し内戦に突入、北側が主要拠
点を掌握し内戦は終結した。９９年に初の直接選挙による大統領選
でサレハ大統領が再選。アラブで最も開発が遅れた国とされ、経済
発展とイスラム過激派対策が課題。（共同）
20041105 1822
[2004-11-05-18:22]
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。