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Re: 普通のおばさんの質問と感想です。
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投稿者 あっしら 日時 2004 年 9 月 07 日 17:22:00:Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: 普通のおばさんの質問と感想です。 投稿者 朧月夜 日時 2004 年 9 月 07 日 14:12:28)


朧月夜さん、お久しぶりです。
レス(突っ込み)をいただきありがとうございます。


>あっしら様にも阿修羅の読者の方々にも、こんなこともわからないのか、自分で考え
>ろよと怒られてしまいそうですが、そこらのおばさんの疑問としてうけとめていただ
>けると幸いです。

わからないことはどんどんひとにぶつけたほうがいいと思っています。

やり取りの過程を踏まえて考えることをせずに、それまでに醸成していた観念(判断)に囚われた対応をするひとを罵倒してはいますが、わからないことをぶつけてきたことであれこれいったことはありませんからご安心を...(笑)

>>“意図的ではない”インフレは、固定資本形成の純増加によって起きるものだか
>>ら、実質賃金が維持されている限り、生産性の上昇がもたらす財の価格下落のおか
>>げで手に入れられる財の量は増加する。

>インフレが経済を助けるとのご投稿は大変感銘を受けました。
>それでその後を楽しみにしていたのですが。
>あの、”意図的でない”(赤字財政支出ではない)インフレというのは、おこすこと
>が可能なものなのでしょうか。手段があるのですか(今まで記述済みであれば申し訳
>ありません)?


物価水準の基本は需要額/消費財供給量です。

需要額は所得のある割合(平均消費性向)ですが、それは消費財を生産する活動に従事して得られるものと生産手段など固定資本を生産する活動に従事して得られるものに区分できます。

固定資本形成(投資)が財の生産効率を超えるペースで増加する傾向にあれば、物価水準は上昇傾向で変動でします。

その前提として、あるレベルまで達した生活(消費)水準は下落しにくい、すなわち、最終消費財の供給量は増加することはあっても縮小することはあまりないという理解をしてください。
(経済活動で大きく変動するのは、生産活動の目的である消費財ではなく、消費財を生産する手段である固定資本だということです)

この論理を理解するためには、生産手段の物理的特性から、短い期間であれば、固定資本をいっさい形成しないでも現在と同じ水準の財を供給することができるということを想像するといいでしょう。

投資が増加傾向にあると物価水準が上昇するのは、消費財を生産しない固定資本形成に従事した人たちの所得が消費財の需要に向かうからです。
固定資本も“消費”される財ですが10年といった長い年月で消費されます。
でも、固定資本の形成に従事した人たちは生身の人間ですから、生存するために消費をしなければなりません。(300人が3ヶ月かけて形成した固定資本は10年間用を果たし続けるが、その活動で得た給与は3ヶ月でほぼ使ってしまうことを考えればわかるはずです)
この活動力と活動成果の“消費タイムラグ”が「超過需要額」になります。
そして、経済成長や物価変動は絶対額ではなく変化が重要ですから、この「超過需要額」が増加傾向にあるのか縮小傾向にあるかが物価水準(=景気循環)を決することになります。


”意図的でない”(赤字財政支出ではない)インフレは、従来的観念であれば、投資の増加でしか起こせませんが、物価変動論理から財の供給(産出)量の増加を超える所得(給与)の増加でも起こせます。

大型の新規商品もありませんし世界経済の動向からも、日本で投資が大きく増加することは考えられません。

投資の増加が物価水準を上昇させ企業の粗利益を増加させたと同じように、優良企業から給与を引き上げていけば、物価水準が徐々に上がり、企業の粗利益を増加させ、準優良企業も給与を引き上げられるようになり、国民経済全体が好循環するようになります。

このような波及効果で、最初に給与引き上げという“負担”をした優良企業も、粗利益を増加させることになり、“負担”を取り戻すことができます。

このような循環は、物価水準のデフレ傾向を緩和するだけではなく、投資も徐々に活発化させるので、確実にデフレから脱却できます。
(同じ平均消費性向なら、生産性の上昇分財の供給量が増加したとしても、生産性上昇率を超える所得の増加があれば、財の価格水準は上昇します。実質的な給与増加は、生産性の上昇しかありません)

これが、供給額が需要額を生み出すという「供給→需要」論理です。

※ 後述するように、徐々であっても投資をスムーズに増加させるためには、銀行の「信用創造」が回復している必要があります。

このような国民経済の好変動により、政府部門の税収も増加します。
(所得税率が累進という現行制度であれば、インフレにより“自然増収”になります)
また、政府部門の債務残高も、インフレにより実質的に軽減されることになります。
これは、家計や企業の将来的公的負担を相対的に低くするので、持続的な好循環をもたらすことになります。


このような政策で心配されるのは、給与を引き上げたら国際競争力が弱くなるということでしょう。
変動相場制の外国為替レートは長期的には物価変動の差で決まりますから、物価上昇率が米国経済よりも高ければ「円安」になり、給与引き上げが国際競争力に与える影響は解消されていきます。
(日本は世界最強の産業国家で10兆円もの貿易収支黒字がありますから、短期的に国際競争力(その内実は粗利益の多寡)に影響があっても乗り越えることができます。だからこそ、日本が大きな貿易収支黒字を維持している状態で路線転換を行う必要があります)


>>今からだって遅くはない。今だったら30兆円で済むはずだから、それを実行すれ
>>ば公的債務の積み上げを大きく減少させることができる。

>ええと、すみません。30兆円をどうつかえばいいかの投稿はいままでなされてらっ
>しゃったでしょうか(見つからないのです・・・。)。
>日本経済を立て直すために使うと考えてよろしいのでしょうか。


その前に書いた「無能な政治家と官僚は、おそらく50兆円程度で済んだはずの公的負担(それも回収可能)で「信用創造」機能の回復を行わなかったことで、税金で返済しなければならない300兆円もの余分の債務を積み上げる愚を行い、今後もそのような国家運営を続けようとしている」に続くものです。

それがいやな銀行は別として、30兆円の公的資金を銀行の自己資本として注入し、どうしようもない不良債権に限って処理するとともに自己資本比率を高めるという政策です。
銀行の“看板”はこれまでと同じでもかまいませんが、ともかく実質的には「銀行国有化」を意味しますから、それを多くの国民が嫌うのなら、経済回復後に徐々に政府保有株式を売却するという前提で行えばいいでしょう。
(普通株式と優先株式で資金注入し、優先株式分は途中で返済してもらい、普通株式のみを売却するかたちでいい。これで、インフレで実質価値は下がっているとはいえ、公的資金30兆円は戻ってくるはずです。国債の利払いが国庫にまた戻るという側面もあります)

98年のように半端な公的資金注入ではそれまでの膿をぬぐうだけで、前向きな力を引き出すことはできません。

赤字財政支出は10兆円なら10兆円の力しか持っていませんが、銀行の自己資本は10兆円増加すれば120兆円の「信用創造」(マネーサプライ増加)につながる“潜在力”を持っています。

デフレ解消策である給与引き上げと「信用創造」を回復させる銀行の自己資本増強を同時に行う政策が現在の日本経済を回復させる絶対必要条件です。

(デフレのまま「信用創造」機能を回復させても、前向きな借り手は少ないので“潜在力”のままで推移する可能性が高い。国有化しているからといって政府が貸し出しを煽っても、デフレであれば不良債権化は通常よりも高くなります)

>別の生存様式を作り出さなくてはならないのですね。それはとても難しそうな。
>あっしらさまがその提案の本でも出されてくだされば嬉しいのですけれど。

現在の生存様式(経済社会)の規定論理を理解すれば、それが持つ“毒”も理解できるわけですから、新しい別の生存様式を考えるのもそれほど難しいことではないと思っています。

「新型社会主義」が打ち出されるときまでには、みんなでそれをなんとかまとめられればいいなと思っています。

(上述の“改良策”とはまったく違った説明になるので、「あいつ精神分裂なんじゃないか」とか、「あいつが言っていることは支離滅裂だ」と誤解を受けることを心配し、あまり深入りしないようにしています(笑))

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