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Re: 島尾敏雄の小説 『死の棘』
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投稿者 バルタン星人 日時 2004 年 12 月 08 日 08:08:58:akCNZ5gcyRMTo
 

(回答先: きだみのる著 『氣違い部落周遊行』 と 『まぼろしの市街戦』 投稿者 ジャック・どんどん 日時 2004 年 12 月 07 日 23:28:53)

ジャック・どんどん さん どうも です。

>むかし、むかし、岩波文庫で『ファーブル昆虫記』を林達夫と共訳していた山田吉彦が、
>きだみのるのペンネームで発表したのが『氣違い部落周遊行』でした。
岩波新書ですよね。最初に読んだのは高校の図書館にあったものですが今も持っています。
きださんは「価値判断」を棚上げすれば「西欧的知性の持ち主」で鶴見と同じくらい希有な人です。柳田国夫が『遠野物語』でやろうとしたことを全く別の方法で実現した。しかも柳田よりはるかに優れた方法でです。

>『まぼろしの市街戦』は、第一次大戦のために精神病院が扉が開いてしまい、
>戦闘中の兵士と遭遇するブラックコメディ。戦争で殺人している奴らと、
>精神異常者とホンマにどちらが「くるって」いるのか?不思議なフランス映画でした。
ご紹介ありがとうございます。

この間雑談板で書き散らした事につながるんですが、非常に俗な言い方ですが、人間は二本足歩行をするようになって胃下垂と腰痛に悩まされるようになった、そのおかげで脳の容量が爆発的に増加して、「知性」を手に入れたが狂気も同伴するようになったんじゃないでしょうか。
中村雄二郎の『共通感覚論』(岩波現代文庫)に有名なチンパンジーの例があるんですが、天井からヒモでぶら下げたバナナのそばに踏み台と棒を置いておくと、台の上に上がって棒でバナナを取るという話です。ところが次に踏み台と棒をバラバラに部屋の隅に置く、あるいは踏み台に別のチンパンジーが座っていると困惑?してバナナを取れない。つまりチンパンジーの思考?は具象に張り付いている、抽象化、シンボル化が弱いということです。台や棒を「高さ」「長さ」という抽象度の高い概念で捉え切れていない。人間はシンボルを操作して「今、ここ」にないものを構想できるわけです。ですから「現実を見ろ!」とかいっても現実というのが視覚、触覚、嗅覚等々自体がシンボル化され意味論的に再構成されたものであって、いつ崩壊するか判らない危うさがある、あるきっかけで非日常的な世界がガバッと出現する、もしかしたら「狂気」というのはそういう事なんじゃないかと妄想しています。(笑)

で、また話しがぶっ飛ぶんですが(苦笑)、宣長と秋成の論争の続きですけど、ジャック・どんどんさんご指摘の様に上田秋成は『雨月物語』の作者ですから「幽界」を知っている。しかし秋成は「作家」ですから議論板の下の方にある三島由紀夫じゃないけど「『彼女は花のように笑った』って川端康成が使ったなぁ、やめやめ」とか「こういう書き方だとウソっぽいな」とか他者の眼があって現世と幽界を行ったり来たりしている。作家(文学者)だから感性で書き殴っているというのは違うんじゃないか、実は非常に計算高い。
本居宣長君は自分を突き動かしているものは何かという所まで眼が届かない、「真理の探究者」は他人は関係ない。理性的であればあるほど「妄想一直線」になるんじゃないでしょうか。作家といえば島尾敏雄の『死の棘』は映画(松坂慶子、岸部一徳)にもなりましたが、あれは凄いですね、私は狂っているのはミホさん(奥さん)じゃなくて島尾敏雄の方なんじゃないかと思いました。狂気と正気の間を行ったり来たりして小説を書いている、恐るべしです。

なんか分裂気質そのままで、まとまりませんが、時間切れですいません。

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