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職場から 働けど働けどじっと手を見る (SENKI)
http://www.asyura2.com/0406/hasan36/msg/916.html
投稿者 愚民党 日時 2004 年 9 月 27 日 14:15:00:ogcGl0q1DMbpk
 

職場から

働けど働けどじっと手を見る

  http://www.bund.org/culture/20040925-2.htm

これで会社を辞めました 会社の成果主義の言葉にハメられた

徳岡圭子

 会社を辞めた。チラシのデザイン等をパソコンを使って行っていた私の職場環境は、2年前を境に大きく変わってしまった。残業また残業。そしてそれはサービス残業だったりする。しかし会社はその状況をちっとも改善しようとしない。そんな会社に将来の展望を見いだせなくなって辞めた。

 2年前に何があったかと言えば、それは給料体系の見直しだった。当初それは、年功序列で年々の微々たる給料アップしかもたらさない体制の改善となると、大きな声で社員に受け入れられたのだが。ああ、だまされた〜という思いだ。

 改善となるはずの給料体系見直しが、なぜこんな結果を招いたのか? 会社の言い分を真っ正直に信じた自分が呪わしい。2年前、成果主義が導入された。やった実績に応じて給料を見直す、前月より売り上げが落ちれば当然それは給料にも反映すると説明された。それが現状打破の希望の光と皆活気づいた。

 実績が全て……となれば時間の概念は無用と、残業代も無くなった。残業代はなくなったが、その分職務手当がアップしたので、むしろ以前より毎月の給料額は安定した。問題はこの後で、3ヶ月ほど実績を見てから査定を行うと告げられ、みな成果を上げる事に必死になったが、3ヶ月過ぎても特に変化はなかった。私の受け持っていた仕事は単価が安かったため、数をこなさなければならない。しかし人間一人に出来る数の上限は決まっている。時間は有限、締め切りはすぐそこ、なのに後から後から追加で、訂正・差し替えがどんどん入る。そんな仕事ばかりなので、実績を上げることは容易ではなかった。しかし確実に売り上げがあるはずの仕事を受け持っている部署でも、給料アップは行われていなかった。これはいかに……当然社員間でも不満が溜まった。会社はそれをのらりくらりとかわす。

 忙しくて査定をする間がないとか(それが上の仕事でしょう!)、部署によって仕事の内容が違うから売り上げに差が出るから不公平とか(じゃあ均等に割り振るような編成にするか、査定基準売り上げを部署ごとに変えて!)。なにより最悪だったのが、中途半端な競争原理の中で、がむしゃらに仕事をこなしていた自分自身だった。成果は上がらず、神経は常にぴりぴりとした状態だった。それでも会社自体の売り上げは増加していた。そりゃそうだ、変更前の2倍の仕事をこなす毎日だったのだから。しかしそれは査定がきちんと行われないので社員には還元されず、会社ばかりがもうかるということでしかなかった。

■昇り龍は主張する

 今となってはむなしい給料体系変更には、もう一つ社員を説得する材料があった。チラシのデータ制作を受け持つ社員は、チラシ全体のバランスを見て整える事が一番の仕事だ。人手が足りずイメージの伝達も難しいので、結局は最初から最後まで一人で作ってしまうことも多いのがチラシのデータだ。その中に配置するパーツは誰が作っても構わない。それで会社は中国に進出しているチラシ作成業者にもパーツ作成を依託した。ネットがあればデータは日本海をあっという間に渡ることができる。その結果ものすごい数のパーツがやってくることになった。

 矛盾を感じても口は貝。「自分の手際が悪いから」と自分の非を探してしまうのだ。しかし違っていたのは、仕事を依託していた中国の労働者だ。「また(依託してる中国の)賃金上げてくれって」「え〜!」という会話を、何度か聞いた。「集団職務放棄とかにもなりかねないって」「それってストライキ?」と、また電話でやりあっている。不当に安かった中国人労働者の給料が、どんどん上がっていったということだろう。

 平均13人ほどの正社員で賄っている私の所属していた制作課は、今年に入ってから5名の欠員を出した。この数の中には私も入っている。長く一緒にがんばってきた仲間達だったが、結局改善されない状況に皆失望していった。週のほとんどを、日付が変わるまでがんばってもなにもならないのでは、自分の人生の意味さえ疑ってしまいたくなる。皆辞めてしまったのだ。会社は欠員をパートで補おうとしているが、私達がやってきた仕事がそれで補えるとは思わない。

 ともかく私は8月に会社をやめた。会社ではこの秋にやっとちゃんとした給与査定を行うそうだ。おそいっちゅーの!        (失業中)


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じっと手を見る前に、行動に出たぞ

稲森遊宇

 市場の玉子屋に勤務しているが、今年始めの鶏インフルエンザ騒動で卵相場は暴落した。しかし春から夏になり、ここ数年下落し続けた卵の価格が久しぶりに上を向いている。私達は卵の価格を通して、なんとなく景気が回復してきたのだと思っている。しかし我が零細玉子屋の売り上げは目に見えては回復を見せず、今年も夏のボーナスなし、給料アップもなし、おまけに先輩従業員は減り、仕事量は増えるという疲れる結果ばかりだ。

 「働けどー働けどー」と、じっと手を見ていても未来は見えてこない。本格的な苦しみの前に、経営者と闘おうと決意した。私の勤めているところは、労働組合はもちろん、共に闘ってくれるような同僚すらいない。しかしその小ささが闘うことの利点でもある。私一人が欠けても、困る位労働力が不足しているのだ。一人がストにでも入ろうものならば、たちまち店の機能がストップする。また経営者と同じ場所、同じ時間を働いているため、すぐさま意見を言える。この身軽さは大きい企業にはないものだろう。

 私は、不満とストレスが頂点に達する前に行動に出た。行動といっても、ただ社長に一言こう声を掛けるだけなのだ。「近いうちに話し合いましょう」。社長も私の顔に浮かんでいた不満の相に気づいていたのだろうか、二つ返事で数日後に話し合うということになった。

 その日までに私は決着をつけねばならない意見書をまとめ、密かにカバンに持っていた。口頭で話し合いを進め表面的な言葉でかわされるのを避け、具体的な回答を得るためだ。といっても、労働運動を勉強したわけではない私には、使える知識は高校の公民でならった労働基準の内容くらいだった。

 それでも、私なりにルールを決め、それを頭に焼き付けて事に当たった。不満を言い放って自分のストレスを解消することを目的としないこと。抗議を申し立てることは、会社をつぶすとか壊すことが目的ではなく、むしろ会社の雰囲気を前向きにして、経営に新しい風を入れ会社を盛り立てるということ。一時的な話し合いに終わるのではなく、継続的に機会を持つことを目標とすること。

 意見書は、次の内容で作った。月1回の、経営者との話し合いの場所を持ち、店の経営について従業員と話し合うこと。今年の分のベースアップと、曖昧になっていた残業代をしっかり払うこと。給料条件面については、1年に1回話し合いの場所を持つこと。もし経営状態によってそれができないということならば、経営内容を開示すること。遅れているITのシステム面の普及についてはどうするのかということ。最後にもっと営業を積極的にして、売り上げを伸ばす努力をすることを入れた。回答をすぐにできない場合は、後日文書によって回答をすることも末尾の文章に付けた。

 しかし何せ慣習的なやり方が横行している市場の片隅の小さな店だ。社長が感情的に反対を言ってくることは十分考えられた。そのため言葉をオブラートに包んで柔らかくまとめ、当日には叩き台となるようにした。

 話し合いは、結果的には成功だったと思う。いつも顔を見合わせ気心は知れている。穏やかに始まった話し合いは、時にお互い渋い顔、時に笑顔という感じだった。お互い完全に相手を怒らせる意図もないため、交渉は私の意見書の内容で、ここは通すけど、この言い分は私の考えを聞きなさいという感じで進んでいった。結局残業については、早上がりの時と相殺という形にされて退けられたが、さしあたりのベースアップと、従業員を増やすことと、経営状態がよくなった時はボーナスを支給するなどの条件面での改善は受け入れられた。なによりも、定期的な話し合いを持つということに対しては、社長の側も望むところと意見の一致をみた。

 私の方も、より会社に貢献するという条件はついたが、それは覚悟はしていた。営業については大変だからとしぶる社長に頼らず、私がすることになり、IT面でも、詳しい人間がいないので、多少なりとも触ったことのある私が中心に進めることが確認された。

 結果的に仕事の量は一層増えるかもしれない。しかし泣き言だけでなにもしないでは、自分のプライドが許さない。会社の金でいろいろな勉強が出来ることをむしろ喜ぶことにした。

 後日談。いつも昼を一緒に食べている人が不満を言っていたので、一緒に組んで申し入れましょうかと持ちかけたこともあった。しかし、これは丁重に断られた。ただでさえ時間がないといっているのに、そんなことをしている暇はないと。それでは変わらないよなあと思ったので、自分がああしたこうしたと語っていると、彼女はこれまた一人で話しあったらしく、結果的には社長が詫びてきたんだよと笑っていた。

 毎年、5月1日に集会を開いている人や、ワンマンでかちかちの経営者ばかりの会社に較べれば、気楽な闘いかもしれない。われながらそう思わないではいられないけれど、とりあえず慣習的なルールの支配に楔を打つことにはなった。道のないところに道をつけれたかな? と思っている。

(市場労働者)


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48才、エアコンなしに転職も考えるけどね

河村けい子

 今年の暑さは記録的だった。毎朝テレビの天気予報は「今日も暑い」だった。それなのに、8月の中旬まで、私の職場はエアコンを入れたのがたったの5日間。しかも1日3時間程度、後は扇風機だ。比較的涼しかった昨年の夏など、エアコンは1度も動かさなかった。入社した年の夏は普通にエアコンを入れていたのに、全ては経費の削減のためだという。エアコンの入った5日間も、「梅雨が明けたら、エアコンを入れてもらわないと仕事にならない」と云って、社長がやっと入れた。

 入社した時は、社長も含めて8人の事務所だった。工業用品全般を取り扱っている会社である。私を含めて3人の事務員と他は営業と配達。イメージはちょっとマイナーだけど、それでも職が見つかっただけ良かったと思っていた。しかし、もの凄くワンマンな社長について行くのがむずかしく、1人辞め2人辞め、補充もしないので今は半分の4人になってしまった。全体の仕事量は減っているとはいえ、私の仕事量は当然増えて、定時で帰る事など殆どなくなっている。そして、この暑さである。

 朝から晩まで怒鳴っている社長にはうんざりだが、その商品知識の豊富さには驚く事がよくある。「困っちゃって、お宅の社長ならどういうのが良いか解るだろう」という引き合いがよくあるのはうなずける。それでも徹底したケチ振りには溜息が出るのだ。

 不用になったFAXの紙など赤鉛筆で×を付けて裏を使う。うっかり小さく切ってメモなどに使ったら怒られてしまう。メモにはもっとどうでもいい紙、例えば広告の裏とか、FAXの機械には用紙として入れられないような、そんな紙を使う。メモに使った紙に余白や裏があれば、それも捨てずに使う。会社の名前が入った「FAX用紙」の場合には、必ず鉛筆で書いて、また消して何度も使う。紙が擦り切れて穴があきそうだ。

 先日、4台ある内の1台のパソコンのモニターが壊れてしまった。パソコンのトラブルがある度に、社長の知り合いのEさんに相談する。

 「パソコン教室を経営しているEさんにいえば不用になったのが1台ぐらいあるだろう。電話してみな」と社長。〈そんなアホな〜〉と思いつつ、〈仕事だ!〉と、恥ずかしげもなく聞いてみた。モニターが壊れて困っている私の話に色々アドバイスしてくれたEさんも、「不用なのないか」には、「そういう話ですか。ありませんね」と呆れたようす。Eさんには色々相談したり、わざわざ来てもらったりしても、顧問料など1度も出したことがない。

 ケチもこのくらい徹底して物を大切に使えば、環境にもいいかも? と思いつつ、なんだか息が詰まりそうになる毎日である。

 今の職場に就いたのは3年前。他県から引っ越して止む無い転職である。19の時から働いている私は5回目の転職だ。しかも48歳の転職となると大変。前回の転職の時は37歳だった。あの時は、バブル景気が終わって会社が傾き、賃金の遅配が始まった。

 「早いとこ、次を探さなきゃ」。しかし、そうはいっても、仕事を休んでの職探しは簡単には行かなかった。探す時間に余裕はあったが、年をとって条件は良くない。それで贅沢は云っていられないと最初から覚悟していた。最初はあっさりダメ。2度目に面接した不動産会社は、1階が設計で2階が営業所になっていた、工事部門もあるらしい。面接をしたのは温厚そうな管理職だったが、玄関にドデカイ日の丸が狸の置物と一緒に飾ってあった、あれは何なのだろう? 採用OKだったらどうしたものか。

 幸か不幸か、5日後不採用の通知が来た。そして3度目の面接で、今の会社に採用が決まったのだ。  人が少ないから、何でもやらなければならない。そのお陰で勉強になった事もある。特許申請の仕方とか、パソコンの事など。もう少し頑張ってみるか! ここを辞めても、もっと良い職場があるとは思えないし。

 社長をケチだと思うのは、大量消費社会に慣れてしまっているからなのかもしれない。暑いのもあと少し、冷房で体を壊すより良いに違いないのだ。

 「セロテープはもっと小さく切って使え!」  「鉛筆は削りすぎるな! 減りが早いだろ!」  ああ、今日も茹だる様な暑い職場に、社長の怒鳴り声が響いている。

       (事務員)


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(2004年9月25日発行 『SENKI』 1156号6面から)

http://www.bund.org/culture/20040925-2.htm

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