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薬漬け輸入割りばしが森林を破壊する！
日本人の食卓にかかせないはし。ふだん何気なく使っていますが、今このはしが大問題を投げかけています。あらためてはしについて、考えてみました。
◇93％から薬品検出
「ちょっと調べてみましょう。二酸化硫黄が残留していれば濃い紫色に変化します」
農民連食品分析センターで、市販の竹割りばしと木割りばしを分析してもらったところ、竹割ばしを入れた試験管の水が、みるみる濃紫色に変化したのにはびっくりしました。
｢中国産の竹割りばしは､薬漬けで真っ白にして危険だ」
昨年十月、一部週刊誌に報道された割りばしの流通業者からの内部告発で、大騒ぎになっている竹割りばし。農民連食品分析センターが、去年の十月から今年二月にかけて調べた結果、なんと竹割ばしの９３・５％から二酸化硫黄が検出されました。
二酸化硫黄は、亜硫酸ガスによるくん蒸や、亜硫酸ソーダに浸して漂白したため残留したと考えられますが、これらは呼吸器系の障害や胃腸炎をおこしたりします。テレビニュースでは、竹割りばしを入れた水中の金魚が一週間後には死んでしまったことが紹介されました。
食品衛生法では、二酸化硫黄の「その他食品」への残留基準は、一キログラム当たり０・０３グラム。割りばし一ぜんに換算すると約０・２２５ミリグラム。このたび厚労省がやっと重い腰を上げ、定めた安全基準は、一ぜんあたり二酸化硫黄１２ミリグラム以下。毎日口に入れ、しかも熱湯につける（溶け出しやすい）こともあるはしが、その基準で安全なのかとの質問には、口を閉ざしています。
◇便利に使っていたはしが
竹割りばしは、美しくしっかりしているので、お弁当に付いていたのを持ち帰り、調理に使う人も多いでしょう。毎日使っているはしがそのような状況とは、思いもしませんでした。
以前から「カビが発生しにくい竹割りばしが販売されている」という話は、関係者の間では言われていました。そこで都衛生研究所が九年前に調べたところ、割りばし六検体から発がん性のある防かび剤を検出。しかし、厚労省は、安全基準を定めてきませんでした。
◇輸入ばしが産地を直撃
「日本人の健康より、コスト第一主義というのが許せない。それがまた日本産の割りばしを圧迫し、衰退させてきた。竹割りばしは、いまや一〇〇％輸入ですから」と、国産の割りばしを扱う老舗、箸勝本店の社長、山本権之兵衛さん。国内産の割りばしはたった３・２％、なかでも国産材を使っている量はさらに低く、２・７％です。
そのことによって何がおきているのか。よい木を残すために切り出された間伐材の使い道がなくなり、日本の森は荒れ、中国では大洪水の原因にもなっていると､いいます｡
◇端材利用の日本人の知恵
美林で知られる奈良県吉野は、割りばし生産発祥の地。なかでも吉野町は、八十軒の割りばし製造業者の残る一大産地。吉野川に沿った街道の脇には、割りばしの材料となる木皮（こわ）を干す家がぽつぽつとあります。
「昔から吉野は林業が盛んでしたから、同時に割りばし製造も盛んになった」と吉野製箸工業協同組合理事の涌本友晴さん。明治の初めに、酒だる製造の端材が捨てられるのを惜しんで、割りばしづくりを考案。樽製造が少なくなった後も、間伐材や柱などをとった後の端材（木皮）を利用して、杉やひのきの割りばしがつくられています。
手入れの行き届いた美林からは、はしづくりにも適したまっすぐな木が育ちます。ところが日本では、輸入材の影響で林業が衰退し、森林管理の維持さえできない状況。
「割りばしが安いから、手間がかかる間伐材は使えない」。間伐材の利用をふやすことが森林保全につながりますが、今は切っても、林に置かれたまま。四年前の台風で破壊された林が、いまだ手付かずという姿も、あちこちに見られます。
「国の補助金がでても、それ以上に持ち出すとなると、百年先を見越して木を植える余裕はとてもない」と涌本さん。政府が決めた地球温暖化対策大綱の温室効果ガス削減６％の目標のうち、３・９％を森林吸収効果でまかなうことにしていますが、現状は２・９％どまり。日本の７０％を占める森林の活用を抜本的に高める以外にありません。
◇輸入割りばしが森林破壊をも
一方で、日本の割りばし消費量、二百五十億ぜん（一人あたり二百ぜん）のほとんどを日本に輸出する中国では、森林を根元から伐採して割りばしを生産している場合が多く、その影響による水害が大問題に。材料をロシアにまで求めて、森林破壊をするほどになっています。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。