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元厚生省課長、二審も有罪 薬害エイズ事件で東京高裁判決 (東京新聞)
http://www.asyura2.com/0406/health9/msg/713.html
投稿者 愚民党 日時 2005 年 3 月 25 日 18:07:24: ogcGl0q1DMbpk
 

(回答先:  薬害エイズ 厚生省ルート 25日に控訴審判決 (東京新聞) 投稿者 愚民党 日時 2005 年 3 月 22 日 16:12:47)

元厚生省課長、二審も有罪
薬害エイズ事件で東京高裁判決

 エイズウイルス(HIV)に汚染された輸入非加熱血液製剤の回収などを怠り、患者二人を死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた元厚生省生物製剤課長松村明仁被告(63)の控訴審判決が二十五日、東京高裁であった。河辺義正裁判長は「危険な製剤の投与を控えさせる最後の手段を怠った」と述べ、患者一人の死について有罪と認定。禁固一年、執行猶予二年とした一審東京地裁判決を支持し、被告、検察側双方の控訴を棄却した。もう一人の患者の死については一審判決同様、無罪とした。 

■一部無罪も維持

 官僚個人の「不作為」が初めて罪に問われた前例のない薬害エイズ事件は、二審でも刑事責任が認められた。松村被告側、検察側とも上告を検討する方針。

 松村被告は、帝京大病院で一九八五年五−六月に非加熱製剤を投与された血友病患者(帝京大ルート)と、大阪府内の病院で八六年四月に旧ミドリ十字(現三菱ウェルファーマ)の非加熱製剤を投与された肝臓病患者(ミドリ十字ルート)の二人の死亡について罪に問われた。

 公判では(1)非加熱製剤の投与によるエイズ感染の危険性をどこまで予測できたか(2)実際にその危険性を回避できたか−が最大の争点となった。

 河辺裁判長は非加熱製剤の危険性を認識できた時期を一審判決と同様に「八五年十二月末」と判断。

 その根拠として(1)八五年三月に旧厚生省の専門家会議で初めてエイズ認定がなされた(2)同年十二月の同省審議会で「安全な加熱製剤が承認されたときには非加熱製剤は使用させないようにすべきだ」との意見が出たことなどを指摘した。

 その上で「八五年十二月下旬には安全性の高い加熱製剤が承認され、供給可能量に達していた」と判断。

 加熱製剤への切り替えが可能で、二人目の患者への感染は回避できたとした。

 弁護側は「原則として公務員の権限行使に法的義務はない」と主張したが、河辺裁判長は「当時は(危険を回避するための)権限行使が裁量の余地のない状況に至っていた」と退け、「製薬会社を通じて医師に危険情報を提供し、非加熱製剤の投与を控えさせることが不可欠だった」と松村被告の刑事責任を認定した。

 一人目の患者については「患者が感染した当時は、大多数の医師が加熱製剤への転換を提唱していなかった。非加熱製剤の投与を控えさせるように方針転換するのは現実的に不可能だった」と無罪の理由を述べた。

■薬害エイズ判決要旨

 ▽一審無罪の起訴事実について

 一九八五年五−六月の血友病患者への輸入非加熱血液製剤投与(第一起訴事実)当時、厚生省としては非加熱製剤による感染の防止策や血液製剤の在り方などを検討するために組織したエイズ研究班および血液製剤小委員会の最終報告を踏まえ、エイズなどの感染防止対策として、クリオ製剤の適応範囲を拡大することはできないと判断し、加熱製剤の承認に向けた作業を実行し始めていたものと認められる。

 第一起訴事実当時、厚生省血液製剤政策担当者に対し、クリオ製剤などの使用を前提とした結果回避可能性を認定するのは困難である。

 検察官は、エイズ研究班や血液製剤小委員会のクリオ製剤に対する評価はエイズに対する危険性認識の甘さがあり、狭きに失していたというが、前記の報告は十分な審議を経て当時の知見を結集したものと認められることを考慮すると、厚生省としてその結論を尊重するのが通例と解される。

 次に検察官は、八四年十一月ころまでにエイズに関する危険性情報が蓄積されていたのであるから、エイズ研究班などの報告内容は維持されるべき前提を失ったという。

 確かにエイズの危険性情報に変化が生じたと認められるが、第一起訴事実当時、共通理解が得られておらず、関係委員会が血液製剤に関し特段の意向を示していなかったことも優に認められる。

 検察官が指摘するように、エイズ研究班などの報告書の内容の妥当性が欠けることになったと解するのは困難である。担当者としては、エイズ危険性情報を踏まえて報告書の提唱する加熱製剤への移行を図っていたと認めるのが相当である。

 ▽一審有罪の起訴事実について

 八五年四月開催のアトランタ会議の結果やその際の勧告の存在は、専門家委員をして従前の考え方を見直す契機となったと認められるほか、わが国において初めて厚生省の専門家委員会によってエイズ認定がなされたこと、これに加え、同じく専門家会議において非加熱製剤の使用回避の意見が出されたことは、いずれも第一起訴事実当時とは、弁護人の言葉を借りれば質的な相違があったと認められる。

 したがって、同年十二月下旬ころには、生物製剤課長の職にある被告は非加熱製剤の投与によりエイズ発症、死亡という生命への高度の危険性を認識したものと認めるのが相当である。

 厚生省として、加熱製剤使用に移行させようとの政策の下、八五年十二月下旬には安全性の高い加熱製剤の輸入承認がなされ、これの投与が可能となったこと、供給可能量に達していると認められることなどから考えると、治療に当たる医師に非加熱製剤の使用を控えさせる措置を講じることが担当課長として可能だったと解される。

 弁護人は被告には作為義務はなく、まして非加熱製剤の回収命令を発する義務もなく、そもそも一般的な行政の遂行には多様な要素を考慮しなければならず、また専門的な判断や政策的な判断を要するのであるから、原則としてその権限行使が法的義務となることはないと主張する。

 しかし、一審判決は回収命令などの諸権限、生物製剤課の所掌事務などに照らすと、その権限行使は裁量の余地のない状況に至っており、このような場合には、その権限行使は法的義務となると判断していると解されるのであって、この判断は正当といわなければならない。弁護人の見解には賛同できない。

 本件においては、最終的には医師に危険性情報を提供して非加熱製剤の投与を控えさせることが結果回避にとって最後の手段であるとともに、重要かつ不可欠の措置と考えられる。

 そして生物製剤課が安全性を確保し、その使用に伴う公衆に対する危害の発生を未然に防止すべき立場にあることにかんがみれば、前記のような高度な危険性情報を把握した以上、その防止のための措置を講ずべき義務が発生したと解するのが相当であって、その一環として関係部局への権限行使を促す義務も生じていると認められる。

 ▽量刑不当の主張について

 検察官は量刑不当を主張するが、一審判決は、被告が何らの措置も取らなかったのは、血液製剤に関する国の行政を担当する者として欠けるところがあったと評価せざるを得ないと説示し、被告の過失行為は結果発生の危険を全国に及ぼすものであったとしている。

 被害者の無念さ、遺族の被害感情なども考慮し、そのような量刑に至っていると解され、裁量を逸脱した不当なものであるとはいえない。

 本件結果を招来させた要にある者は誰かといえば被告と言い得るところであり、たとえば「被告が自ら行動を起こすことが求められていたというべきである」と説示する一審判決は、そのことを極めて重要な量刑事情としている。

 検察官は、第一起訴事実を無罪とした判断が誤りであるとし、被告の過失行為により何の落ち度もない二人の患者が死亡した結果は重大と主張するが、第一起訴事実の被害者の死亡については刑法上、被告に責任を負わすことはできないことが明白である。

 ◇メモ <薬害エイズ事件>

 エイズウイルス(HIV)が混入した輸入非加熱血液製剤を投与された血友病患者ら1400人以上がHIVに感染し、500人以上が死亡した戦後最大級の薬害事件。業務上過失致死罪で医師の安部英元帝京大副学長(88)、松村明仁元厚生省生物製剤課長(63)、製薬会社の旧ミドリ十字(現三菱ウェルファーマ)の歴代3社長が起訴された。安部元副学長は2001年3月、東京地裁で無罪判決を受け検察側が控訴したが、東京高裁は昨年2月、心神喪失を理由に公判を停止。3社長は実刑を言い渡され、1人は控訴中に死亡。残る2人は上告中。

 感染者らが損害賠償を求めた民事訴訟は1996年3月、国と製薬会社5社が一時金を払うことなどで第1次和解が成立。その後も和解が続いている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20050325/eve_____sya_____006.shtml

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