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「貨幣的富の集中・中産階級(自営業)の破壊・産業の集中・国際借り入れの導入」を目的とした“意図的破壊行為”です。
http://www.asyura2.com/0406/idletalk10/msg/246.html
投稿者 あっしら 日時 2004 年 7 月 19 日 02:59:55:Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: 第1次大戦後のドイツのハイパーインフレーションは、誰が、どんな目的で描いたシナリオなんでしょうか? 投稿者 ジャック・どんどん 日時 2004 年 7 月 19 日 01:12:28)


ジャック・どんどんさん、どうもです。


>第1次世界大戦後のドイツのインフレーションは、誰が何を目的で描いたシナリオ
>だったんでしょうか?それとも、単なる金融・経済現象だったのでしょうか?


金融・経済現象には違いありませんが、金融・経済現象は、集中豪雨や降雪のような自然現象ではないので、意図や目的があり作為的に起こされたものです。
インフレは、デフレと違って抑制が可能な経済事象です。
中央銀行や銀行が「信用創造」を縮小すれば抑制できるものです。

第一次世界大戦後のドイツは、工業地帯のラインラントを仏に占領されたり、賠償金の支払いで苦境に陥っていましたが、インフレを起こしたらどうにか解決できるという問題ではありません。

お金がなければどんなに宣伝しようとも買えないのと同じように、財がなければどんなにお金があっても、財の価格が高くなるだけで買える財の量は変わりません。

議論板に投稿したように、適度のインフレは「経済成長の効率的な運搬手段」です。
しかし、ハイパー・インフレは、物資の隠匿や生産サボタージュという経済活動の混乱を招き、何より自営業者を中心とした中産階級の破壊につながります。
(インフレは本来財の生産活動を促進するものですが、過剰になると、ただ財を持っていて時間が経過するのを待ったほうが得という判断を醸成します)

ジャック・どんどんさんがインフレの推移を引用されていますが、そのような物価変動状況であれば、手元に財を保有している強欲な人はどうするでしょう?


例えば、金持ちが23年8月8日に10ドル相当(5000万マルク)の鉄材を保有していれば、「自分にはお金はあるから、鉄材はもっと値が上がるまでしばらく売るのはやめよう」と思うはずです。(いわゆる「売り惜しみ」です)
そうしていると、わずか5日後の8月13日にはそれが10億マルクになります。
もっと金持ちの強欲なら、自分は鉄材を使うあてはないけど値上がり益を得る目的で鉄材を“仕入れる”暴挙に出るはずです。(いわゆる「買い占め」です)

「売り惜しみ」や「買い占め」は、財を市場に出さない(財の隠匿)経済行為ですから、同じ需要でも財が少なくなれば物価は上昇に向かいます。

しかし、「無い袖は振れない」のですから、貨幣供給量が増加しなければ、高くなった財を買える人が限られるようになり、生存必需品を除き物価は鎮静化に向かいます。

生活必需品である食糧も、野菜やパンは腐敗し商品価値がなくなるものですから、高くなって手が出ない人が増えれば否応なく価格が落ち着きます、
また、その他の“耐久”必需品も、自営業者により製造・販売されているものならば、手持ち資金に余裕がないはずなので、ほどなく財をお金に変えなければ事業も生活をできなくなるので、売り惜しみは縮小し価格が落ち着きます。


このようなことから、第一次世界大戦後のドイツのハイパー・インフレは、中央銀行を中核に、金融家や大企業などお金に不自由しない連中が財の供給量と貨幣供給量を調整しながら仕組んだものであることがわかります。

貨幣を発行できるのは中央銀行だけです。そして、あれほどのハイパー・インフレを起こすためには、銀行もはちゃめちゃな「信用創造」を行う必要があります。
銀行が「信用創造」した相手は、財閥グループや大手商業資本(個人企業も含む)だったはずです。
言ってしまえば、財の供給元に大量の貨幣を供給した“やらせハイパーインフレ”です。
たぶん、“お仲間”のAが売りに出した財をBが高値で買うような取り引きをしながら、物価を意図的に上昇させたはずです。(バブル期の“土地転がし”と同じです)
ハイパー・インフレの仕掛けは、全部の財をそのように扱う必要はく、鉄鋼とか銅とか石炭といった基礎的な財を操作するだけで済みます。
例えば、石炭の価格を急上昇させれば、石炭を使う事業が供給する財は否応なく値上げせざるをえません。(当時だとほぼ全業種です)
そして、ある財の価格が上がることで他の財の価格も上がるという連鎖反応が瞬く間に起こります。


ハイパー・インフレを仕掛けた目的は、貨幣的富の集中・中産階級(自営業)の破壊・産業の集中・国際借り入れの導入だと推測します。

天文学的な物価上昇についていけない事業家は、物価高に対応して増やした債務を背負って倒産することになります。(「信用創造」が銀行が行うのですから、あそこは今日で潰そうと思えばハイパー・インフレ下では資金繰りがつかなくなりすぐに倒産します。銀行家はそれにより担保物件を手に入れます)

債務がなくとも、パン屋とか八百屋といった小規模必需品を扱っているところは生き残りますが、製造業は物価上昇に対応できなくなり事業を継続できないところがほとんどになります。(工場や機械が高く売れるからと思って売ったら、1週間後にはそれでシャツも買えないという悲惨な結末になります)
当時のドイツ産業は自営業者は多かったのですが、あのハイパー・インフレで多くが倒産したり廃業して、産業の集中が進みました。

このような変動が没落中産階級のひとたちをナチスをはじめとした国家社会主義に引き寄せることになりますが、ハイパー・インフレ自体は、そのような政治的変化をつくることを意図したものではないと思っています。


最後の「国際借り入れの導入」は、「ハイパー・インフレになるのは、外貨準備が貧弱だからだ」と説明すれば、政府が外国から大量にお金を借り入れることを反対する人は少ないからです。(米英支配層は、こうやって、ドイツを食いものにする条件を手に入れたわけです)

★ 参照書き込み

「「産業資本主義」の終焉:インフレーションと経済成長(デフレーションと不況):インフレは産業への“賛助”である。」
http://www.asyura2.com/0403/dispute18/msg/786.html

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