★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板 > 雑談専用11 > 114.html
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
【現代アメリカの陰謀論】デーヴィッド・アイク──ニューエイジ陰謀論者
http://www.asyura2.com/0406/idletalk11/msg/114.html
投稿者 エンセン 日時 2004 年 9 月 20 日 01:36:00:ieVyGVASbNhvI
 

(回答先: 【現代アメリカの陰謀論】ジム・キース──UFOと職業的陰謀論者 投稿者 エンセン 日時 2004 年 9 月 20 日 01:25:55)

 
【現代アメリカの陰謀論】デーヴィッド・アイク──ニューエイジ陰謀論者

デーヴィッド・アイク──ニューエイジ陰謀論者

デーヴィッド・アイク(1952−)はずっと華々しい人物である。彼は陰謀理論や異星人に関係する前から英国ではそこそこの有名人であり、自己宣伝の才覚を活かして全世界の英語圏に読者層を拡げていった。彼は陰謀論者として名を上げる前、ふたつの公的な職業に就いている。最初彼は、BBC−2(英国放送協会のテレビチャンネルのひとつ)テレビ網のスポーツキャスターとして世間の注目を集めた。その後、英国放送協会と揉め事を起こしたアイクは、英国の緑の党のスポークスマンとして有名になった。生来の芝居掛かった勘のよさのためか、オブザーバー紙は彼を「緑の党のトニー・ブレア」と呼んだほどである。

慢性関節リウマチ症を緩和するために心霊治療師に相談した1990年以降、アイクの人生は劇的な転換を遂げた。初期の治療期間中、治療師はアイクに、「あなたこそ地球を癒す治療師であり、いまに世界に名を轟かせるだろう」と高らかな心霊メッセージを送った。このお告げに鼓舞された彼は「いてもたってもいられなくなり」、1991年にペルー(霊力の強く作用する土地としてオカルト主義者の昔からのお気に入りの場所)を訪れた。アイクがここで「両手から厖大な力でエネルギーが注がれ……両足は約24時間、燃え立ち、震え続けた」という強烈な体験をしたのはもはや驚くにあたらない。ペルーで幻影を見た彼は、もともと気乗りのしなかった英国放送協会や緑の党をただちに見切ってニューエイジの伝道師となった。やがて彼は、作家と講演者という新たな職業に踏み出したのである。

日進月歩のアイクの世界観は、ニューエイジ陰謀主義の形式を取ったもので、7年間に出版された4冊の著作にその大枠が示されている。『ロボットの反乱』(The Robots' Rebellion)(1994)、『……そして真実があなたを解放する』(…And the Truth Shall Set You Free)(1995)、『大いなる秘密』(太田龍監訳、三交社、2000)、『マトリックスの子どもたち』(The Children of the Matrix)(2001)の4冊である。これらは数年間に次つぎと出版され、すべて世界支配を目論む悪人たちの秘密結社と称するものを描いているが、各巻にはまったく異なる内容が含まれている。なかでも邪悪な権力の特性が変化しており、非人類の役割がますます強調されている。

『ロボットの反乱』にみられる陰謀理論は、一般に新世界秩序の概念と呼ばれるものと大差なく、完全な自由を許さない「操縦者」に人類が囚われているとするものである。アイクはこれらの謀略者を「ブラザーフッド」(結社組合)と呼んでいる。このブラザーフッドは「厖大な秘密結社網」から構成され、その頂点に位置するのがイルミナティであるとする。この網の目状の一連の陰謀は、「世界の金融体制」の支配や「マインド・コントロール」技術を統御することによって目標を達成する。アイクによれば、この目標とは、「すべての大陸が服従する世界政府」であり、その計画は、「シオンの長老たちの議定書」に示されているとする。アイクは、この『議定書』を書いたのはユダヤ人ではなくイルミナティであると、クーパー流の逃げ腰の示唆に留めているが、アイクが危険な反ユダヤ主義の領域に足を踏み入れたのはこのときが最初であった。

『ロボットの反乱』に示された大枠は、第3章で説明した初期の新世界秩序概念の繰り返しにすぎない。これらはウェブスターやパット・ロバートソンたちにみられる題材とほぼ同じである。ここでは地上の陰謀者たちが地球外生命体と連携しているとするクーパーの主張に多少同調している点を除けば、UFOにはほとんど触れられていない。

ところが、この1年後に出版された『……そして真実があなたを解放する』では、『ロボットの反乱』で示された思想が大幅に拡張されている。反ユダヤ主義的な題材(第9章で議論する)が数多く含まれているうえ、ブラザーフッドの概念がきわめて入念に練り上げられている。すなわち、まずこの会員を構成するという秘密結社がはるかに詳しく説明され、つぎにブラザーフッドと地球外生命体の黒幕との連環が明示されている。

アイクによれば、「地球エリート」がブラザーフッドを運営しており、彼らが「ピラミッド的な支配」を統括することでブラザーフッドを介した世界支配を行なっているとする。このピラミッドは一連の階層構造から構成され、各々の階層が人間生活の活動範囲を管轄している。この活動範囲には、銀行業、実業界、軍隊、政治、教育、通信メディア、宗教、諜報機関、医薬品会社、不法麻薬と組織犯罪が含まれている。各階層の下位の職員たちは、ブラザーフッドの政策を実行していることに気付いていない。このような陰謀の区分的な見方はさほど独創的なものではないが、アイクは領域ごとに解説を加えている。彼の論旨の独創性は、階級支配のさらに上で地球エリートが統括しているという新たな確信であった。

アイクは、この陰謀の最上層を「プリズン・ワーダー」(監獄看守)と呼んでいる。アイクはこのプリズン・ワーダーがどこから来たのか特定していないが、地球外生命体であると明言しており、「人類のピラミッド状構造は、地球外生命体であるプリズン・ワーダーとその全体支配者(ルシファー意識と称する)の権力や計画の下に創設されたものである。彼らはピラミッドの頂点に位置する人間の一派(これを地球エリートと名付ける)を支配している」とする。この地球外のプリズン・ワーダーがどのように支配力を揮うのかは、やや曖昧なままである。この作品でアイクは、「負のエネルギー」や「閉鎖振動」というニューエイジ的な用語を使いはじめた。異星人たちは、これらの力を用いて人類を「この惑星に向けて放射された周波数の網」の中に監禁するのである。

アイクの新たな信念からの帰納は、UFOとその搭乗者に対する顕著な関心の高揚であった。いまやアイクも「UFO隠蔽工作」に言及しており、このような隠蔽工作は、人類が「振動監獄」から抜け出るのを阻止するためのものと信じ込んでいた。彼によれば、いったん真実が露見すると、地球エリートやその黒幕たちの権力が失なわれるとする。

アイクの読者にとて、3冊目の『大いなる秘密』は予想外のものであった。この作品の表紙には「世界を一変させる著作……飛び切りの超ベストセラー」と書かれている。この本でアイクは、ロスチャイルド家や三極委員会などの一般的な題材に加えて、人類奴隷化の元凶である非人類の正体をついに突き止めたと主張する。

この著作を構成する論旨のエッセンスを以下に示す。竜星座(ドラコ)から地球外生命体がやって来た。彼らは直立歩行する爬虫類人(レプティリアン)で、一見すると「人間もどき(ヒューマノイド)」である。彼らは出身地の惑星だけでなく、この地球の地下洞窟やトンネル内にも住んでいる。アイクによれば、地球上には「現地産」の爬虫類人と「外宇宙」の爬虫類人が共存しているらしい。地球エリートやブラザーフッドの支配は、様ざまな手段を組み合わせて行なわれる。彼らは人類と異種交配を行なった結果、外見は人間であるが、内部は爬虫類人という生物が創られた。これらの「交配種」は、「全血」の爬虫類人の主人に「所有」されているという。そのうえ、この交配種の「血脈」が次つぎと交配を繰り返していく結果として、ブラザーフッドはたんなる非人間ではなく、意図的に操作された連合体の産物になるとする。

『マトリックスの子どもたち』は、実質的には『大いなる秘密』で示された爬虫類人の論旨を精緻化したものである。このなかでアイクは、邪悪な蛇類の概念をいままでの著作に含まれていた伝統的な陰謀論と統合している。たとえば、一般的な陰謀者であるイルミナティやロスチャイルド家、三極委員会などが盛り込まれた『……そして真実があなたを解放する』の陰謀構造において、その冠石に位置するのが爬虫類人とする。さらにアイクは、爬虫類人の出自が「異次元」であると強調する。彼らは別次元を行き来するため、これが究極的な隠蔽となっているのである。これらの思想は、キースが晩年に発展させたものと似ているのは明らかであるが、アイクがキースの考えをどうして知ったのかは不明である。

『大いなる秘密』と『マトリックスの子どもたち』で示されたアイクの概念は、現代の陰謀理論をもっと大きな枠組みのなかで捉えても奇怪なものと言わざるを得ない。次章で説明するが、邪悪な地球内の爬虫類人という概念を生み出したのは彼ではなく、この考えはすでに1990年代に急速に広がっていた。ところが、これを拡張したのはアイク以外にいなかったのである。彼は、『大いなる秘密』が出版後の数ヶ月間で3万部を印刷したと喧伝している。

その一方でアイクは、第4次元、第5次元から爬虫類人が支配するという考えが、仲間の陰謀論者たちにも受け入れられていないことを認めている。「わたしがこの本の出版後に被った罵言雑言のうち最も激烈なものは、一般大衆からではなく、じつは物理的なものを超える存在を一切理解できない、ほかの陰謀研究者たちからであった」。悪人は異次元からやって来るというアイクの興味深い主張にはいくつかの長所があった。これによって爬虫類人が宇宙のどこから、どうやって来たのかという答えに窮する質問を逃れることができるうえ、突然姿や位置を変えることで、自然法則を勝手気儘に無視することができる。そのうえアイクは、ほかの批評家たちをこの新たな枠組みが理解できず、旧套を脱し得ない物質主義者と酷評できたのである。

アイクは読者層を増やすために精力的な活動を続け、手の込んだウェブサイトを公開したたけでなく、北米、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカと講演して回って著作やビデオテープを販売した。彼はニューエイジの信奉者には精神的な啓示や成長を訴え、陰謀論者、陰謀に熱心なUFO研究家、反政府右翼にはそれぞれ異なる文句で講演した。2001年にテキサス州フォートワースで開催された講演会のプロモーターは、アイクを「宗教的な教育や団体の所属と関係なく、真実を追究し、個人の精神的発展を目指しているすべての人びとに教示する」と宣伝した。さらに、1996年にネヴァダ州リノで開かれた「憲法正義会議」は、これとは対照的にマリンズや白人国家主義弁護士のカーク・ライアンズをはじめとするブレディ拳銃法の反対者が大勢を占めるものであったが、ここでもアイクは講演しているのである。

アイクは、フェニックス出版の編集者と現在も関係を結んでおり、この出版社は、ハトンという名のプレデアス星団の地球外生命体から受け取ったと称する伝言文書を出版している。これらの出版物は、UFO研究のなかでも露骨をきわめて反ユダヤ的なものである。これらは世界的なユダヤ人陰謀に対する妄想的な恐怖感が突出しており、ハトンと称する地球外生命体が、これらに対抗するように高潔なる地球人に警告するという内容である。アイクは1997年と1999年にこの定期誌から長々としたインタビューを受けている。1997年に彼はワシントン州イェルムにあるヴァル・ヴァレリアンのリーディング・エッジ研究グループでも講義を行なった。ヴァレリアンのUFO研究と新世界秩序の巧妙な融合はすでに説明済みである。

アイクと民兵やキリスト教愛国者との関係は複雑である。1995年にロンドン・イヴニング・スタンダード紙が(正しく)伝えている記事によれば、「アイクの思想と……米国の武装民兵運動の古参人物の著作は、薄気味悪いほど類似点が際立っている」。アイクが極右の教化を望んでいたのはたしかであるが、その努力は緊迫感を伴なったものではなく、ほとんどが彼の政治思想に付随するニューエイジ理論の産物であった。結果として彼の米国の極右に対する姿勢は、賞賛と挫折が入り混じったものであったと思われる。

アイクの屈折した心境の肯定面は、キリスト教愛国者が新世界秩序の真相を知る唯一の米国人という信念であり、「彼らが陰謀の諸局面を暴こうと尽力しているのに大きな共感を覚える」と述べている。彼は極右を「全世界的な陰謀の数多くの要因を理解する」運動と称え、スポットライト誌を「長年、優れた研究と……正確さを誇ってきた」と賞賛する。

その一方でアイクは、キリスト教愛国者が敵対者に劣らず強情な独善的教条主義者であるとみなしている。アイクは彼らと話した結果、「わたしは、ブラザーフッドに支配された世界と、それに代わるもの(おそらくキリスト教根本主義者たちに支配される世界)の、どちらが嫌なものかわからない」と述べている。さらに彼は、右翼の信念を「ニューエイジのがらくたでもって難解至極な表現をする神経は、血まみれの悪魔にも等しいものだ」と退けている。


キース、アイク、極右

キースもアイクも、極右に直接関与しなかったのは明らかである。両人とも、民兵やクー・クラックス・クランやクリスチャン・アイデンティティなどのサブカルチャーの中核組織には属していない。キースはスチームショベル・プレス誌に書き、出版社が陰謀論者の手許に届けている。アイクの初期の作品は、英国のニューエイジ系出版社のゲートウェイから発行していたが、この出版社は、反ユダヤ的な題材を懸念して彼との関係を断ったと言われている。アイクの後期の作品は、彼の著作やそれを支持するものを専門に出版するブリッジ・オブ・ラヴ出版から発行されている。

結局のところ、純粋に組織の観点からも、両人とも米国の極右とは一線を画していた。その一方で両者とも、極右の世界観は実質的にそっくりそのまま吸収している。事実、新世界秩序思想を完全に整った形式で正典化するのに、マインド・コントロールとブラック・ヘリコプターの解説ではキースの著作を嚆矢とするし、統治エリートの信念の説明ではアイクの作品ほど完璧な内容はない。

その一方でキースもアイクも、物理的な証拠のみが新世界秩序の実態を洞察するのに必要なすべての情報を提供するとみなす極右の認識論にも挑戦していた。アイクは、爬虫類人が4次元、5次元からこの世界に影響を及ぼすという主張で彼らの見方を撥ね付けた。キースも亡くなる直前に同様の方向に進んでいたのは明らかである。両人とも、超人的能力が付与される超異次元に空飛ぶ円盤や異星人を置くことで、UFOやその搭乗者を新世界秩序と融合させようと試みていた。しかしこのような手法が、大多数の民兵サークルを納得させたという兆候はない。陰謀に関する初期の議論でも述べたように、新世界秩序の信奉者たちは、陰謀の存在や策略を伝統的な証拠の形式に則って確証することを常々求めていたからである。

しかしながらキースの最後の推論やアイクの最近の著作は、明らかに即興的千年王国論の範疇に落ち込んでいる。両人とも、善と悪が最終戦争で闘争する歴史の終焉という筋書きを展開している。すなわち、バビロニアの秘儀宗教や『シオンの長老たちの議定書』、フリーメイソン魔術師、UFO、イルミナティ、国連などの要素である。

陰謀論者の世界ではすべてのものが相互に繋がっているとみなすため、いったん有用とあらば、いかなる禁忌があろうと、どこの鉱床からでも見境なく採掘する。実際、以前にも指摘したが、汚名が強ければ強いほど拒絶度の強さが真実性の指標とみなされ、その源泉はさらに魅力的なものとなるのである。アイクが爬虫類人の文献に惹かれたのも、そのあまりの法外さのゆえに、逆に真実性の保証となるという理由があったのは確実である。

アイクが爬虫類人のテーマ(あまりにも奇怪であるにもかかわらず)を採用し、彼の書籍や講演、ウェブサイトを介して普及に成功したことから、この思想の起源はいったいどこかという疑問が湧き起こった。これらが登場したのは第二次世界大戦のUFO目撃情報とほぼ同時期であるが、その情報源は、オカルト主義や神秘主義と、大衆空想小説というまったく異なるふたつの分野であった。

次章ではこのふたつが1940年代のなかばから後期にかけてどのように統合され、どのようにして異星人の来訪とただちに結び付いていったかを調べる。



 次へ  前へ

雑談専用11掲示板へ



フォローアップ:


 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。