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見事にブッタ斬られてしまった。降参です。
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投稿者 バルタン星人 日時 2004 年 11 月 17 日 07:53:26:akCNZ5gcyRMTo
 

(回答先: 本居宣長をぶった切った、上田秋成の「天皇論」 投稿者 ジャック・どんどん 日時 2004 年 11 月 16 日 04:56:08)

ジャック・どんどんさん どうもです。

>1920年からの対日計画や開戦当時からの占領計画など、面白い話ありがとうございました。
空耳板で石原莞爾について書いたのはご存知のとおりなんですが、石原は「世界最終戦争の廃墟の上に八紘一宇の人類の理想郷ができる。(バイオ技術のようなもので)食糧問題は解決しているから、人間は日がな一日哲学的思弁に耽るんだ」とか、ほとんどアブナイ人なんですが「軍事的勝利とはなにか」「そのために何が必要か」という過程論では糞リアリズムです。だから日米開戦にも、時期尚早といって反対した。敗戦後は「全て終わった」と言って完全武力放棄、絶対平和主義で社会党みたいになったわけです。
じゃあ大本営はどうだったかというと石原の様なリアリズムがまるで無い。これは外から批判した左翼より、軍中枢にいた憤懣やるかたないという人が沢山本を書いています。他でも触れましたが堀栄三中佐の『大本営参謀の情報戦記』(文春文庫)を一読すると腰が抜けて、しっかり「自虐史観」になりますね。なにが英霊だ、こんな戦争で死んでたまるかって。
一例を挙げれば南方でマトモな地図一枚なく手書きのガリ版刷りの地図(マンガ)を頼りに戦争していたとか、信じられません。
堀氏が書いていますがアメリカ軍は航空機の航続距離を地図にコンパスで落として「飛び石」で拠点を占領する。それも1平米あたり2〜3トンの爆撃と艦砲射撃で真っ平らにしてから上陸してくるわけです。制空権さえ押さえれば日本の輸送船は近づけないから、飛び越した島の日本軍は戦闘能力を失うことになる。
この辺の話はあっしらさんの「山本五十六問題」に関連しますが、対米戦争での「軍事的勝利とは何か」というイメージはまるで無かったんじゃないか、(まさかホワイトハウスに日の丸が立つと信じていたとも思えないし)要はやる気があったのか、勝つ気があったのかということです。「和平」というのは無いでしょう、アメリカはやる前から勝つと判っているのだから早々と占領計画を立てた、勝てるのに途中で降りるバカはいませんよね。


>鶴見俊輔の司法取引ってホンマですかね?(5%ぐらい怪しそうです(笑い))
95%くらい嘘です。(笑)しかし鶴見のオヤジ鶴見祐輔は全米を遊説して回った「親英米派知識人」としてアメリカでも有名でしたし、なにせ後藤新平の孫というエスタブリシュメントの家系です。本人も優秀だしほとんどアメリカ人になっていた。(日本人の女性とすれ違って挨拶しようとして日本語がでてこない、というより頭の中から日本語がスッカリ消えていた。心の中までで「なんてこった」じゃなくて「Oh! Jesus!」)
日系移民の強制収用もありましたし、鶴見が「残りたい」と言ってもタダ置いてくれたとはとても思えません。「対日工作に協力したら放免して市民権を与えるがどうする」くらいの話はあって当然だと思います。アメリカから見たら鶴見は明らかに「使えるタマ」でしょう。

また話が「わらしべ長者」しますが、最近マレーネ・デートリッヒの伝記ドキュメンタリーをDVDで見ました。(監督がデートリッヒの孫、母親(デートリッヒの娘)も協力)
デートリッヒはプロイセン貴族の娘でヒトラーが大嫌いでアメリカに亡命したのですが、OSS(戦略情報局 CIAの前身)のドノバン中佐が友人で、自ら工作員に志願したそうです。ありえる話とは思いましたが、やっぱり驚きました。
BBCでドイツ向け放送をしたり、ヨーロッパの最前線をGIを慰問して回ったのですが、万一捕虜になったときスパイとして処刑され無い様に「アメリカ陸軍中尉」の階級も与えられていたようです。本人はヒトラーが勝ったら自分の命はないし、祖国ドイツへの屈折した思いがあったんだと推測します。プロパガンダの効果というのは計測不能なのですが、デートリッヒぐらいだとかなりの破壊力だったでしょうね。後からだと「利用されただけ」とか色々言えますけど戦争というのは皆アタマが狂っちゃうから....
あとデートリッヒがジャン・ギャバンの愛人だったというのは有名ですが、ドゴールの自由フランス軍に志願して戦車隊々長になって祖国に凱旋したギャバンと劇的な再会をするのですがデートリッヒが泥だらけの道をハイヒールで必死に走っていくという、ほとんど映画「モロッコ」のエンディングか ...って時間がありましたら是非ご覧ください。(笑)


>マジめにわかろうとしたんですね。これが対日心理作戦に結実させるところは、プラク
>マチックなアメリカですね。
以前ジャック・どんどんさんご紹介のマーガレット・ミード?ご夫妻の話もそうでしたね。
「押し付け憲法」とか言いますけど、価値判断を停止すればアメリカ人の描いたグランド・デザインが60年もったわけで、これはこれで凄い事だと思います。右も左もその卓袱台=パラダイムの上で勝手なことを言っているという押さえが重要ですね。じゃあ、その60年の間に日本人が新しいグランド・デザインを自ら作れるほど賢くなったのかと考えると暗澹としますが。


>天皇についてのエッセイでは、江戸時代に本居宣長をぶった斬った上田秋成(『雨月物語』
>の著者、劇作家、世俗時評家)のような曇りのない目でみた天皇制がすんなり納得できます。がーん、鋭いところを突いてきますね。見事にブッタ斬られてしまった。降参です。

本居宣長は伊勢−松坂の出なんですが、南紀新宮出身の作家中上健次は物語作家、同じ被差別者としても上田秋成に物凄く傾倒してましたね。本居宣長はヘーゲル主義者(メチャクチャなこと言い出しますが)だと思います。現在の原因を過去に投影(求める)する、いや作ってしまう。それが可能なのは鎖国とという「制度」のおかげだという事にはつゆとも気がつかない。「神国ニッポン」どうせ外の人間は誰も見てないんだから何言ったって平気さ、というノリですね。ほとんど石原慎太郎じゃないか(笑)
上田秋成のいた江戸時代の大阪は経済の中心で地理的にも朝鮮、中国の風が吹き込む「世界交通の場」だったと思うのです。しかも秋成は堂島の生まれでしょう。だから秋成はものの捉え方が垂直的でなく空間的なんじゃないか「天皇?少しも特別じゃない、よその国にも沢山あるぜ」みたいなシビリアンの感覚ですね。
だから「理」をからごころとして排したはずの宣長こそ理で立っている、理で上田秋成を批判するわけです、笑止千万。
これじゃあんまりなんで少し弁護すると(笑)宣長といえば「もののあはれ」なんですが、もののあはれじゃなくって「もののあはれをしるこころ」なんですね。「枯葉がひらひら落ちてさみしいわん」とか乙女チックな下らない事を宣長ぐらいの知性が言う訳がない。
上の方の考察者Kさんへのレスで書いたことですが「何故かなしいのか考える」ということで現象学的還元に近いものだと思います。この辺は子安宣邦さんの口寄せですが。子安さんだと『伊藤仁斎論』もありますけど江戸思想史というのは盲点ですが非常に面白いですよね。丸山真男の『日本政治思想史』という稀代の悪書がじゃまして避けてしまうのですが。
秋成の話は勉強して出直しますが、ジャック・どんどんさんがご紹介してくれるとうれしいなとか独り言。
#また、空約束してしまった。ベラスコの話も忘れたわけではありません。(陳謝)


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