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国家破産(債務不履行)に伴う損得勘定から国家破産を考える
http://www.asyura2.com/0406/idletalk11/msg/1444.html
投稿者 あっしら 日時 2004 年 12 月 08 日 16:27:42:Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: 確かにそうだと思うのですが、政治家の方々のとる行動が心配で(笑) 投稿者 オニオン 日時 2004 年 12 月 08 日 02:43:10)


オニオンさん、こんにちは。


● 統治者の意図的破壊行為や無能の可能性

国家破産(債務不履行)の可能性は、それによってどういう損得が発生するかということを軸に考えると見えやすいと思います。

ざっくばらんに言えば、国家破産したほうが支配層にとって得であれば、意図的にでも(必要がないのに)債務不履行に踏み切ることもあるし、損であれば対応策がある限りそれを追求して避けようとするというものです。

(アルゼンチンなど政府部門が外貨で債務を積み上げ外貨不足から債務を履行できなくなるケースは、無い袖は振れない“お手上げ”状態によるものです。敗戦後の債務切捨てや新円切り換えは、占領軍による懲罰や供給力の瓦解に対応したもので、そのような荒療治を採用したのは基本的に占領に由来します)

現状の日本で政府部門が債務不履行に踏み切ると、得をするのは金融資産のない低所得者層であり、損をするのは金融資産を保有する富裕層や優良企業であり政府部門です。

80年末以降、徴税構造は低中所得者にウエイトを傾けるかたちで変化してきていますから、1000兆円にも達している公的債務を切り捨てれば、その履行のために課税されている部分の負担が軽減されます。
そして、低所得者層は“その日暮らし”が基本ですから、債権(預金や公債)を失うこともほとんどありません。

富裕層や優良企業も、債務不履行で課税負担が軽減されますが、その“代償”として債権を失うことになります。
10億円の金融資産を失う代わりに、年間50万円程度税負担が軽くなるというシナリオに納得する金持ちはほとんどいないはずです。

政府部門は、無能の烙印を押され信を失うことになります。
債務不履行により預金の喪失を経験した人たちが新たに稼いだお金をタンス預金や“国外逃避”にするため借り入れができにくくなります。そのような状況に対応するためには、負担能力がある富裕層に増税するか日銀からの借り入れするか外国から借り入れするかしなければなりません。
外国からの借り入れに依存すれば、韓国などのように金融・経済政策の自立性をまったくといいほど失うことになります。(ただ保身にこだわっている人はともかく、エリート意識や国士を気取っているまっとうな官僚や政治家そして利権にこだわっている連中には耐えがたい状況です。外国勢力は債務をきちんと履行させるために日本の官僚や政治家が利権を貪るのを抑制します)
日銀からの借り入れに依存して済ませられるのなら、債務不履行の前にそうするはずです(笑)。
借り入れができないから金融資産を増やすほど余裕がある人(企業)たちに増税するという選択を行えば、政治的に失権するのは間違いないでしょう。

このようなことから、政府(支配層)は、国家運営及び国家債務履行の負担を低中所得者にシフトさせていくことは考えていても、国家債務の不履行に踏み切ることは考えていないと判断できます。
(日銀の国債保有残高が100兆円に達したように、正常なかたちで「国債サイクル」が維持できないときは、ちゃんと奥の手を使って対応しています)

国家破産が喧伝される状況は、公的負担の増大もやむをえないという雰囲気を醸成してくれるので支配層にとってありがたいことです。
国家破産や財政破綻は“幻想”でありしかるべき対応をすれば避けられるとみんなが考えれば、公的負担の増加を仕方なく受け容れるという空気も雲散霧消してしまいます。
だからこそ、たんなる納税者(官僚など政治支配層は税金から税金を納めているみせかけの納税者)は、国家破産なる“脅迫”を笑い飛ばさなければならないのです(笑)


(官僚は、有権者の票に依拠している政治家の習性を知っているので、知っていても国家破産や財政破綻は“幻想”だとは言わないでしょう。負荷のない借り入れで財政支出ができるということになれば、税負担を忌避する動きが正論のようになり、裏づけのない通貨の増発で歯止めのないインフレに陥りますからね)


日本の支配層はそうだとしても、世界の支配層は別の考え方をしているかもしれません。
世界の支配層が日本政府の債務不履行に利を見い出すことはあるでしょうか?

かつてのような植民地的支配は厄介でコストがかかり利益にならないことを知っているので、あるとしたら、債務不履行に伴う金融機関や事業会社の破綻や混乱に乗じてそれらを手に入れるということでしょう。
しかし、国家破産してずたずたになった状態で金融機関や事業会社を手に入れることは得策ではありません。利益が出ない経済主体を手に入れても意味がないからです。

金融利得に最大の利益源を見い出している世界支配層は、借り手が債務を履行してくれることこそを望んでいます。自分たちは別として、政府部門にしろ民間にしろ借り手が安易に債務を放棄するような世界はぞっとするものです。

(“彼ら”は、アルゼンチンなどの国家破産でも、ツケやババを他に回したり、預かった外貨を持ち逃げするなどの手立てを講じて国家破産の火の粉が自分たちに降りかかってこないようにしています)


【オニオンさん】
「また、ちょっと意地の悪い論理展開をさせていただきますと、あっしらさんの予測する新型社会主義の世界でも国際金融家は国家に金を貸し利息を取る存在という事になっていますよね。となれば、”彼ら”(ほんと誰なんでしょう?)にとってもわざわざまた各国に借金をこさえさせるよりは今ある借金を利用したほうが手っ取り早くはないでしょうか(つまり、口実の一つとして利用されはしないでしょうか)。」


そのような手法も可能です。
銀行など金融機関を手に入れるのは、今ある政府の債務を利用することにつながります。
ただし、この場合は、政府部門が債務不履行に踏み切ることをなんとしても阻止しなければなりません。


● おカネの論理

【オニオンさん】
「 あっしらさん「とにかく、経済の根源的問題は、供給活動力であり、おカネではないということです。「近代」的枠組みにおける日本の将来は、政策で対応できる公的債務の多寡ではなく、産業力の優劣で決まります。おカネは経済社会の手段でしかなく目的ではないことを理解していれば、個人や個別企業はダメですが、国家当局ならおカネの問題だけなら解決することができます。(供給活動力はそうはいきません)」

 ざっくばらんに言って「金は食えない」ということでしょうか。よく考えてみれば当たり前の事なのですよね。
 ただ難しいなあと思うのは全体で考えれば確かにそのとうりでも個々の人たちの「現実」は決してそうではなく、「何を作るかよりも幾ら儲かるか」とならざるを得ないところです。僕自身、頭ではあっしらさんの仰る理屈も分るのですが、実生活的にはおカネの論理からは逃れられません。
 もちろん、景気や財務状況を考える上ではこれらの事を留意しているだけで十分ではあるのでしょうけども。」


おカネの論理というよりもおカネが持つ現実的呪縛性という点で、おっしゃられることは理解できます。
現実的呪縛性が、近代的おカネの論理を根源で支えているとも言えますし、それゆえ手段でしかないおカネが目的にまで高められているとも言えます。
(お金から逃げられると考えている人が多ければ多いほど、お金の論理は通用性を弱め、お金も価値も低下していくことになります)


私が言いたいのも、呪縛性を捨てろということではなく、呪縛性が何に由来しているのかを論理的に掴む必要があるということです。

個人や企業はお金が目的だとしても、いやお金が目的ならなおさらのこと、実のあるお金を増やす手段としてのお金の使い方を理解しなければなりません。
(おカネを使わないとおカネを増やせないのが近代経済社会の論理です)

国家機構で政策立案に携わっている人であれば、機能や手段としてのおカネを熟知していることが必要不可欠です。


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