★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板 > 政治・選挙4 > 524.html
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
ミニ政党 票得にくく…個人分『死に票』 参院選制度 中村敦夫さんが斬る(東京新聞・特報)
http://www.asyura2.com/0406/senkyo4/msg/524.html
投稿者 すいか 日時 2004 年 7 月 15 日 15:49:39:LY5kOdCz7scms
 

ミニ政党 票得にくく…個人分『死に票』 
参院選制度 中村敦夫さんが斬る

 二十万票で落選、片や一万七千票で当選−。参院選比例で起こった奇妙な現象だ。比例は個人名と政党名の得票合計で各党の議席数が決まる。政党名での得票があれば、自身の得票が少なくても当選する。逆にミニ政党の候補者はこの制度が大きな壁だ。本来「幅広い見識」が売りのはずの参院で、二大政党化を進めたこの制度に疑問はないのか。比例落選者で最高得票を得た中村敦夫氏(64)が、選挙制度の問題点を“斬(き)った”。

■候補10人、供託金は6000万円

 「良識の府を選ぶ選挙なのに実態は組織団体戦。良識のある候補者ではなく、組織のエゴ代表を選ばざるを得ないシステムだ。これで民意を反映させるなどできるわけがない」

 今回の参院選に十人を擁立したミニ政党「みどりの会議」の代表委員として出馬、落選した中村敦夫氏は、参院選のあり方に疑問を突きつけた。

 中村氏は、比例候補者の個人得票で二十一位(比例当選者は四十八人)の二十万四千票を獲得した。これは比例落選者の最高得票数だ。一方、同じく比例候補で、最下位当選した鰐淵洋子氏(公明)の得票数は一万七千票で、実に中村氏の十分の一に満たない。

 なぜこのような“逆転現象”が起きたのか。

 比例は届け出時に候補者の順位を付けない「非拘束名簿式」だ。三年前の参院選から導入された。投票は政党名でも党公認の名簿登載者の氏名でもどちらでも有効となる。個人、政党双方の得票総計が党全体の総得票数となって議席が割り振られる。その際、候補者の獲得票数の順番が名簿順位となるという仕組みだ。

 中村氏のように一人で二十万票以上獲得しても、そもそも政党の得票が当選圏に達しなければ、個人票はすべて死に票になってしまう。逆に鰐淵氏のように個人としての得票が少なくても、所属する党の総得票数が多ければ救われることになる。大政党有利といわれるゆえんだ。

 中村氏は一九九八年の参院選では東京選挙区から出馬、七十二万票近くを獲得、当選した。中村氏個人に対する票は五十万票以上も目減りしたことになる。

 得票減は覚悟の上だった。「知名度のある人は大政党から出馬すると引き立つ。逆に政党そのものが新しいと、知名度があっても、有権者に名簿の中から名前を探し出してもらわなければならなくなる」からだ。

■組織票集めた人が上位当選

 それでも比例に鞍替(くらが)えしたのは「環境問題は二十一世紀の政治課題であり、全国にメッセージを伝え、潜在的な有権者を掘り起こしたかった」からだという。

 個人名でも政党名でも投票できる制度は一見、有権者に選択肢を与えているようにもみえる。しかし実際は「組織票を多く押さえられる人が上位当選した。事情は自民も民主も同じだ。有権者の多くは政治団体にかかわりのない無党派層だが、選挙では(業界団体などの)組織代表を選ぶ以外、選択肢がなくなりつつある」と現行制度では民意を反映させることは難しいと指摘する。

 参院が衆院のカーボンコピーと言われて久しい。それだけに「参院がきちんとしたチェック機能を果たすには多様な人材を集めることが必要。しかし現実には組織と金にものいわせる選挙で、そこにケバケバしい有名人が乗っかっている。政治の質とはかけ離れたものが選挙を牛耳っている」と話す。

■多様な人材送れず 大政党に有利

 立候補するにも、ミニ政党にとっては不利だと言う。公職選挙法では、衆参両院の所属国会議員が五人以上いるか、または直近の国政選挙での得票率2%以上の獲得が政党要件だ。それを満たせないミニ政党が参院比例に立候補するには、比例と選挙区で最低十人の立候補が必要。供託金は比例は六百万円で、十人で六千万円かかる。

 「政党要件を満たせないと、なぜ十人以上の候補者を立てなければならないのか、何の根拠もない。ミニ政党はこんなことで苦労しなければならない。物理的なハンディが多すぎる。選挙に勝てなければ結局は一過性のものに終わってしまう。絶望的な中でしかも素手で戦ったが、これがわれわれの限界だと感じた」

 その結果、今回の選挙では二大政党の議席占有率は、三十年ぶりに八割を超えた。参院も二大政党制へ行きつつある。

 落選直後、中村氏は政界引退を表明した。二大政党制そのものを否定しているわけではないが、参院の行く末を強く憂う。

 「理念の違いから二大政党制に収斂(しゅうれん)していくなら理解できる。しかし今の自民、民主の二大政党制は理念ではなく、小選挙区制度によってつくり出されたものだ。どちらかに所属していないと当選できないから、空いている方から立候補しようというだけで理念のかけらもない。実態は大きな雑居ビルが二つあるだけだ。小手先の権力闘争はするものの実は談合体質が著しい。この二大政党の中にミニ政党は埋没してしまい、このままでは大政党以外から参院に人材を送り出すことができなくなってしまう」

■無理やり『政党』の枠 実態は『第2衆議院』

 「参院選挙の制度的な欠陥があらわになった」と指摘するのは小林良彰・慶応大法学部教授(政治学)だ。

 「比例では、全国四十七選挙区を短期間で選挙運動するには大きな組織がなければ無理だ。無所属だと政見放送がないことも不利になる。定数不均衡が見直されていないことも問題。今回も選挙区で鳥取は田村耕太郎氏(自民)が十五万票で当選し、大阪は辻元清美氏(無所属)が七十一万票で落選した」と指摘。

 その上で「有権者の意識がこれだけ多様化している現状が選挙には反映されず、無理やり『政党』の枠に押し込まれている。制度自体が既存政党のお手盛りで、都合よくできているため、新たな意見の人やミニ政党が出にくい。現状は法の下の平等に抵触するのではないか」と疑問視する。

 森脇俊雅・関西学院大法学部教授(政治学)も「今や参院は、選挙の仕組みをみても、八カ月前の総選挙と似た結果をみても衆院を写した『第二衆議院』で、独自性を失っている」と参院本来の役割を担う選挙制度になっていないと言う。

 どう改革すればいいのか。小林教授は「参院が独立性を保つには自ら選挙制度の見直しに動くべきだ。例えば、比例区も都道府県やブロック単位で立候補し、集計は全国単位にした上で、議席を割り振ってはどうか。身近な選挙運動や候補者選びが可能になる。定数も大都市圏は東京の高校野球代表のように東西に分けて選び、定数を増やしていい。普通の人が立候補できるように、選挙資金を貸し出し、一定の条件で返してもらう公的助成も検討していい」と提案する。

 森脇教授は「地方分権の流れからいえば、参院は地方代表的な性格をはっきり出してはどうか。例えば知事をそのまま構成員にした『知事会議』にする。地方議会が代表を選ぶ方法もある。制度変更で憲法を変えなければいけないぐらいの大胆な見直しが要る。今のままではミニ政党は出番がない」と話した。

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20040715/mng_____tokuho__000.shtml

 次へ  前へ

政治・選挙4掲示板へ



フォローアップ:


 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。