★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板 > 政治・選挙5 > 232.html
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
平和をないがしろにする最近の政界、マスコミに反省を求める(森田実の時代を斬る)
http://www.asyura2.com/0406/senkyo5/msg/232.html
投稿者 すいか 日時 2004 年 8 月 17 日 10:10:40:LY5kOdCz7scms
 

2004.8.16

Q君への手紙(PART3[24])

平和をないがしろにする最近の政界、マスコミに反省を求める


「自分の経験はどんなに小さくとも百万の他人の経験より値打ちのある財産である」(レッシング 18世紀ドイツの劇作家)


 Q君。君から「森田さんの平和主義の原点はなんですか」と聞かれました。私の場合は私のもつ価値観と体験です。価値観のことは改めて書くことにします。

 8月15日が来ると、1945(昭和20)年、46年のことを思い出します。不思議なことですが、この頃の記憶は鮮明に残っています。過去にも書いたことですが、おそらく私は学徒動員の最年少世代だと思います。1945(昭和20)年3月、静岡県伊東市(当時は田方郡伊藤町の西小学校を卒業、4月から小田原市の相洋中学(私立)に通学しました。当時の相洋中学は、今の堂々たる立派な校舎と異なり、木造建ての小さな学校でした。当時は一時的に陸軍の駐屯地になっていました。このためもあったのかもしれませんが、私たち中学1年生も入学当初から動員されました。当時、陸軍は本土決戦を行うつもりだったのでしょう。陸軍の土木工事の手伝いに動員されたのです。材木を運んだこともありました。

 このあと農村の手伝いに行きました。麦刈り、田植え、芋植え、雑草取りなどをしました。私は馬鹿正直に真面目にやっていたので叱られるようなことはほとんどなかったのですが、よく叱られた同級生もいました。当時はいつも集団責任です。農家の老主人(若い男性はみな兵隊になっていたのです)から一緒に叱られたことも何度かありました。昔は頑固親父がどこにもいました。

 Q君。どうでもよいことをくどくど書いてしまいました。ただ、農家の老主人はどこの農家の人も、きびしい道徳観の持ち主でした。嘘をついた生徒にはとくにきびしい態度をとりました。

 大変だったのは通学の時でした。母は4時頃起きて朝食の支度をします。家族は5時頃起きて5時半頃に皆で食事をします。それから駅へ。6時半頃の電車(当時は電車とは呼びませんでした。汽車と言っていました)に乗り、8時頃学校に着きます。直接動員先に行ったこともありました。

大変だったのは米軍機による空襲です。東海道線は米軍機の通り道でした。伊東線もそうでした。時々爆弾を落とされました。米軍機から爆弾が落とされると、ゆっくりとこちらに向かってきます。どこに落ちるのか見当がつきません。はじめは安全かどうかわからないまま逃げたのですが、何回かの体験を通じて、やられるかやられないかは運次第と考えるようになりました。ある時から逃げても仕方ない、やられたら仕方ないと考えるようになりました。戦闘機から機銃掃射を受けたこともありました。外れたから無事でしたが、間一髪でした。

 8月15日の玉音放送はそんなさなかに家族とともに聞きました。姉の「負けた」の一言で事態を知りました。一瞬「これで生きられるのかな、死ななくて済むのかな」の思いが頭の中をよぎりましたが、そんなことを考えるのは恥ずべきことだと思い、その気持ちを抑え込みました。

 Q君。私は、この一瞬、命への希望をもったことを最近まで正直に語ることができませんでした。戦時中は潔く死ぬことばかり考えていたのでした。戦中戦後の生活苦は大変でしたが、母が頑張りました。私も畑仕事を手伝い、よく働きました。

 8月15日の玉音放送は私にとっても衝撃でしたが、最も衝撃を受けたのは翌昭和21(1946)年3月15日に昭和19年以来中国で行方不明になっていた長兄の死が伝えられたときでした。母をはじめ家族の悲しみは筆舌に尽くしがたいものでした。この日から私の気持ちが変わりました。少年ではなくなりました。戦争を主導した軍部とそれに従った政治家への怒りに火がつきました。反戦主義者になったのです。

 昭和21年頃から各地で東京の文化人や学者の講演会が行われるようになりました。評論家の荒正人氏や哲学者の高桑純夫氏の話を聞きに行き、マルクス主義を知りました。中学2年の時でした。マルクス主義哲学の本を読むようになりました。マルクス主義にひかれたのは、戦争をなくすには資本主義をなくすしか道はないと考えるようになったからです。(Q君。少年期のことです。こう考えたのは10代のことです。念のため)

 Q君。私の反戦思想の原点は昭和21年3月から昭和26年9月に住居を東京に移すまでの伊東における生活にあります。この間、私は父母とくに母の深い悲しみをすぐ近くで見つづけたのです。昭和26年3月相洋高校卒業、同年大学入試に失敗。浪人生活の途中の9月、東京にいる姉二人の世話になって予備校に通うため東京に移りました。この間、母をあれほど深い悲しみの底に突き落とした戦争に対する怒りの気持ちは、抑えても抑えても抑え切れるものではありませんでした。もちろん母だけではありません。多くの女性が母と同じ悲しみを味わいました。

 私は自分自身の中の怒りを抑えることができず、翌年4月大学入学と同時に学生運動という反戦運動に飛び込みました。1952(昭和27)年のことです。1960年の安保闘争の終了とともに私は左翼の世界と訣別しました。それから44年間、一時出版社に勤めた以外はいかなる組織にも属さずに、自由人として言論活動の中で生きてきました。1970年代からは政治評論が主な仕事になりました。

 Q君。私は最近、日本の政官財学指導層のある重大な“変化”に気づきました。大多数が米国指導層と似た価値観をもつようになっていることです。いわゆるアメリカン・グローバルスタンダードです。政治と軍事の面でも経済運営の面でも、米国の価値観と論理を肯定しているのです。彼らは米国政府に忠誠を尽くすことが日本の国益にとって必要だと考えているのです。極端な場合、日本が米国と一体化し、事実上米国の一つの州になってもよいと考えている者すらいます。日本のエリート層が米国第一主義の考えをもつようになったのです。見方を変えれば、米国に留学して米国第一主義に洗脳された日本人学歴エリートが米国から日本に送り込まれた、ということにもなります。

 その結果、今日の日本の指導層は、戦後日本の指導層がもった平和思想を捨ててしまいました。

 Q君。おそろしいことに、憲法第9条の改正問題すら、米国政府の指導者が指揮をとり始めました。「日本が国連安保常任理事国になりたければ、集団的自衛権を行使できるようにしなさい」と言うのです。パウエル国務長官とアーミテージ国務副長官の発言です。

 このような米国政府指導者の内政干渉発言に抗議したのは共産党と社民党だけです。自民党、民主党、公明党の3党は沈黙しています。国会議員の8割が憲法改正に賛成しています。このままでは米国政府の注文どおりの憲法改正が行われる可能性が高まってきました。

 Q君。それにしても、米国政府指導者の“遠慮のなさ”にはあきれます。これに怒らない日本人もどうかしているとは思いませんか。

 Q君。最近、日米関係と防衛問題にタッチしてきた複数の知人から「米国が狙っている日本の憲法改正の最大の狙いは徴兵制にある」との情報が入ってきました。何人かの情報通に確かめてみると、「国会議員とマスコミと国民が憲法改正論でまとまったら、米国政府は最終段階で改正草案の中に徴兵制を可能とする条項を入れるように求めるのではないか。その時、日本は従わざるを得ないだろう」というのです。

 米国の狙いは、日本に憲法を改正させ、集団的自衛権と徴兵制を可能にするところにあるというのです。これによって、日本人が米軍の尖兵として戦うことが可能になります。日本軍は米軍の指揮のもと、米軍の先頭に立ち最前線で戦うことになるのです。日本の若者は米軍の、給料のない傭兵にされるのです。この危険性については共産党も社民党も何も言いません。

 それでも、自民党、民主党は憲法改正に積極的です。公明党も最近憲法改正に前向きに変わってきました。この動きをマスコミが応援しています。憲法改正に抵抗しているマスコミはほんの一部に過ぎません。

 このまま憲法改正が行われ、日本の若者が米軍の前衛部隊になることを許してはいけないと思います。憲法改正は阻止しなければなりません。

 Q君。少し長い手紙になりました。私の立場は古代ローマの政治家キケロと同じです。キケロはこう言いました――「最も正しき戦争よりも、最も不正なる平和を取らん」。

 インド独立運動の指導者ガンジーとも同じです。ガンジーはこう言いました――「非殺生は、何物も敵しえない強力な武器で、人間の最高善である」。私はガンジー哲学を支持してきましたし、今も同じです。

 Q君。憲法改正を憲法の改正規定に従って行うためには国民投票が必要です。衆議院、参議院の両院において3分の2の賛成で改正草案を可決しても、国民投票で過半数を取ることができなければ改正できません。女性の大多数が反対に回れば、改正を阻止することは可能になります。徴兵制と集団的自衛権の合成により、日本の若者は米軍の手先として使われるようになるのです。このことを知ってなお、憲法改正に賛成する母親はいないでしょう。いや、全女性が反対するでしょう。

 Q君。憲法改正問題は、日本が米国から真に独立し、真の独立国家になってから、じっくりと取り組むのがよいでしょう。わが国は1947年に「マッカーサー憲法」を押しつけられました。今また「アーミテージ憲法」を押しつけられようとしています。二度目は断らなければなりません。

 日本は独立国です。米国の要求を二度も受け入れたら、日本は米国の奴隷国家になってしまいます。これだけは拒否しなければなりません。


http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C0789.HTML

 次へ  前へ

政治・選挙5掲示板へ



フォローアップ:


 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。