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【奇っ怪ニッポン】
2004年8月19日 掲載
「3兆円の補助金削減」は義務教育を荒廃させる愚挙
http://www.gendai.net/contents.asp?c=025&id=15674
「生活保護や義務教育は、その実施主体を問わず、国家が責任を持って財源保証すべきである」。意外に思われるかも知れませんが、これは石原慎太郎知事が率いる東京都の主張です。「三位一体改革」と称する机上の空論が迷走する中、これは傾聴に値する主張なのです。
であればこそ、全国知事会議の開催を前日に控えた8月17日、保守論壇に属すると一般的には認識されているジャーナリストの櫻井よしこ、経済同友会顧問で元丸紅会長にして東京都教育委員の鳥海巌の両氏のみならず、リベラル派と目される経済アナリストの森永卓郎、京都大学経済研究所長の佐和隆光、国際基督教大学教授の藤田英典の各氏も出席して都道府県会館で会見が開かれ、「日本の義務教育を守る緊急共同提言」が発表されたのです。僕も賛同立会人として、同席しました。
「移譲する税源の額を論ずる前に、中央政府と地方自治体の役割の区分けを明確に行うべき」にも拘(かかわ)らず、「十分な議論もせず」「突然3兆円の補助金を自治体側の考えで削減せよと」「国からボールを投げられたからといって、全国一律に特定の補助金を削減するのが私達の目指す地方自治の自律に繋がるのでしょうか」。「何故、義務教育費なのでしょう」。「日本こそ人材によって成り立ってきた国」。「人材育成の為にも全国民に等しく教育を受けさせる義務教育費は削減の対象になってはならない」。
各省庁の権益を削ぐ補助金削減は、霞が関官僚の大抵抗に遭っています。ここでこそ政治主導を発揮すべき宰相小泉純一郎は、その義務を放棄し、そんなに税源移譲を望むなら地方自治体の側で考えてみれば、と公共事業と同じく“丸投げ”してきたのです。
「ふざけんな、アッカンベー」と書いて投げ返したって一向に構わないのに、偏差値教育の勝者たる旧自治省、現総務省に代表される官僚出身知事が何と半数を占める全国知事会は、3兆円枠を埋める上で一番安易な方法、即ち霞が関で最も発言力の弱い文部科学省の義務教育費負担金2兆5000億円を一般財源化しようと思い付いたのです。
実に不純な動機です。而(しか)して、被害を被るのは次代を担う子供達であり、増大する家庭教育費を負担する保護者です。
森永氏は会見で述べました。今回の改悪案は、財源が脆弱(ぜいじゃく)な地方に生まれた子供達は満足な教育など受けられなくても良い。都会に暮らし、私立「エリート校」で学べる子供が社会を牛耳り、その手下として地方の子供達は働け、と述べているに等しい、と。
だが、日本の経済を支えてきたのは、諸外国よりも優れた読み書き算数の教育を全国何処でも誰もが等しく受けられたからです。その経済をも壊滅させ兼ねない今回の改悪。18、19の両日、新潟で開かれる全国知事会議では、同様の認識を抱く知事とも共闘し、不純な改悪案の撤回を目指します。【田中康夫】