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9月11日 ◇◆ 外交機密費が半減した？ ◆◇ライブドア堀江社長の功績 ◆◇小泉首相の薄っぺらさとその正体を見抜けない情けなさ ◆◇
9月11日―メディア裏読み
◇◆ 外交機密費が半減した？ ◆◇
11日の読売新聞の囲み記事について、外務省予算の実態を知っている私としては
どうしてもコメントしておかなくてはならない。その記事は流用事件で問題にされた外
交機密費が、99年度予算の約55億7千万円から、02年度には約28億4千万円と
ほぼ半減したと報じている。民主党の長妻昭衆議院議員の質問主意書に対する外務
省の答弁書で分かったというのである。これだけを読んだ一般読者は、外務省が機
密費流用を深く反省し予算を削減したと思うであろう。ところが実態はそんなものでは
全くない。
そもそも外交機密費は、情報提供者から極秘の情報を金で買ったり、特定の人間
を工作したりという目的で使うものとして予算化された。従ってその金の機密性ゆえに、
あるいは相手方の行動の秘匿のために、領収書をとらなかったりその使途を外部か
ら聞かれても答えずに処理されることが認められる性格の予算であった。
ところが情報入手が多様化した今日、日本大使館の情報収集の必要性は低下し、
また大使館員の情報収集能力も意欲も完全に劣化してしまった。したがって本来機
密費として使われる予算が余るようになり、機密性をよいことに情報公開を拒みなが
ら飲み食いや不正使用に流用されるようになったのである。
今回の流用事件をきっかけに外務省は外交機密費予算を、世間の批判を目くらま
す為に、費目ごとに分散した。飲み食いなどに使う予算は本来の飲み食いに使われ
る予算項目に分散して予算化しむしろ増額して組み込まれている。
そして外交機密費は本来の機密活動に限定される事になったのであるが、そもそ
も機密費を使うに値する情報収集活動をやっていないわけであるから、半額にしても
なお多すぎるくらいである。そして使い切れない外交機密費がまた流用されるのであ
る。
予算はすべて公開できるような費目にして、何に使われたか納税者にさえも秘匿し
なければならないような外交機密費は極力限定すべきなのである。さもなければい
つまでたっても拉致家族に救済にいくら使われたかとか、小泉首相のパフォーマンス
のシナリオ作りに広告代理店に法外な金を使ったなどと為政者や官僚が自らの都合
のよいように金を使うという、およそ納税者を馬鹿にした金の使い方がなくならないの
である。
◇◆ ライブドア堀江社長の功績 ◆◇
私は今回のプロ野球の大騒動を、ある視点のみから興味深く見続けている。それ
は、「どこの馬の骨ともわからない」若造が、長年に亘って当然と受け止められて来た
既存勢力の根拠のない旧態依然としたルールをどこまで突き崩せるかという視点で
ある。
そういう視点で見ると堀江も古田もよく頑張っていると思う。勿論色々な意見はある
であろうし、プロ野球の将来という問題は単に合併反対という問題だけにとどまらない
多くの問題が絡んでいることであろう。堀江も古田も悪乗りをしないように注意する必
要はある。
しかし次の一点だけでも、堀江の果たした役割は大きい。11日朝のテレビを見てい
たらプロ野球に参入する時に60億円の参入費を払わなくてはならないという問題が
議論されていた。スト交渉の結果、プロ野球機構側がその障壁を撤廃する譲歩をす
る動きが出てきたのであるが、私がテレビを見て驚いたのは、その60億円の参加費
という障壁を作った張本人がインタビューに出て答えていた内容である。
なんでもこの制度は1990年ごろに当時の太洋ホエールズ（現ヤクルト）がどこかに
買収されそうになったとき、それを阻止する為に、とても払えないような法外な額の参
入費を設けて、買収を不可能にしたと本人が認めたのである。しかもその制度が出来
て以来、誰もその参加費の不当さに異議を唱えることなく、ただの一度も議論される
事なく今日まで続いた事、その参加費はやはり不当であった事を、提案者本人がテレ
ビで告白したのである。
これは何を意味しているのか。今の日本には実にくだらない理由で出来た様々な
規制が何の議論もなく放置され我々の生活や経済活動を縛っている。その多くは官
僚や権力者が自らの都合にあわせて思いつきで作ったのだが、誰もそのことをおかし
いと本気になって指摘しないがゆえに、その不合理がまかり通ってきた。
今回堀江が提起した重要な事は、近鉄を買収する金と意思があっても、「60億円と
言う不当な参加費のために参入できないのは市場原理から見てはおかしいじゃぁな
いか」と訴えてまでも戦うと世間に公言したことである。誰が見てもおかしいのであれ
ば徹底的に戦って見せるという毅然とした態度を世間に示した事である。世論の前で
戦って決着をするという行動をとったことである。
これに対して参加費60億円の提案者が「あれは参入を邪魔する為に思いつきで
決めた数字である。ここまで高くしておけば誰も参加できないと思って浮かんだ数字
だ。不適当であった」とあっさりと白状したのである。
「王様は裸だ」と誰かが言えば、それまで誰もが疑わなかった事でも音を立てて崩
れていく、堀江はそれを示したのだ。そのことだけでも私は彼を高く評価したい。それ
以外の彼の評価がどうであれ、この事だけは私は彼の革命的言動を評価するのだ。
◇◆ 小泉首相の薄っぺらさとその正体を見抜けない情けなさ ◆◇
郵政民営化の閣議決定が10日なされた。これをめぐって連日大騒ぎである。こ
の大騒ぎはこれからも延々と続くであろう。なにしろ閣議決定後の後始末があまりにも
複雑かつ膨大であるからだ。そして民営化を推進する小泉首相はもはやすべては終
わったと後はお前らに任せるという無責任ぶりである。
私はこの問題は「小泉さん、それでは好きなようにやらせてあげるから、最後まで
責任をもってあなたの構想を実現してみなさい」と突き放せばよいと思っている。大騒
ぎをするから小泉首相はますます喜んで、すべてを敵に回しても一人戦うという英雄
気取りでいられるのだ。好きなようにやってみろと相手にしなければ、途端に彼は興
味を失い竹中や生田にまかせて次のテーマを探すであろう。何故ならば彼には郵政
民営化の中身はどうでもよいのである。理解さえしていないのである。あるのは民営
化を叫んで敵を相手に一人戦うという嘘だけである。
その小泉首相が、訪米を前にして外務省、防衛庁に「米軍再編についての日本の
独自案をつくれ」とはっぱをかけたという記事が11日の各紙に載っていた。これを読
んでいい加減にしろと言いたくなった。訪米直前の今頃何を言い出しているんだ。そ
もそもあなたには日本の安全保障をどうするかという理念があるのか。沖縄問題の重
要性について認識があるのか。訪米前にヘリ墜落の事故現場を視察する気構えがあ
るのか。これでは「自分は日米安保問題について考えはないが、日米首脳会談でブッ
シュ大統領に注文をつけられたときに答えられるようにしておいてくれ」と自らの無策
振りを認めているようなものではないか。
これに対する外務省、防衛庁の対応は小泉首相に輪をかけて情けない。そもそも
小泉首相がこのような指示を出したのは外務省と防衛庁の立場の対立があっていつ
までも日本の対応が決まらない事情がある。これに対する米国の苛立ちがある。
11日付の毎日新聞によれば、外務省が米軍再編協議に消極姿勢をとる裏には在
日米軍の再編が自衛隊と米軍の一体化につながることへの懸念があるという。一方
の防衛庁は「テロとの戦い」やイラク復興支援で進めてきた米軍との協力を強化する
代わりに、在日米軍基地の整理･縮小、負担軽減を求めるバーターを狙っているとい
う。
官僚や制服が権限争いや主導権争いで対立している時ではない。そもそも彼らに
はそのような対立をしている前に、在日米軍基地をなくし、安全で平和な日本を実現
したいという日本国民の願望に謙虚に耳を傾ける姿勢があるのか。国民の要望を米
国に伝えていくという本来の外交の基本姿勢があるのか。
そして何よりもこの国の指導者である小泉首相に、米国と対等に交渉していくという
政治家としても使命感があるのか。
残念ながら、「あなたはブッシュ大統領のプードルといわれているそうですが、私は
千切れんばかりに尻尾をふっているもっと忠実な忠犬ですよ」とよその国の首相に自
重しながら公言するようなこの国の首相なのである。
その小泉首相はかつて田中真紀子外相とともに更迭した野上義二元外務次官を
駐英大使に復帰させる人事を10日の閣議で了承した。田中真紀子が外国人特派員
協会での講演で「外務省スキャンダルが起きたときの責任を取るべき次官で、鈴木
宗男元議員の長い友人。この人事は米国人、日本人に対し侮辱であると思う」と批判
したのに対し、
「人事には人それぞれ見方がありますから。適材適所、そう思って起用した」と平然
と述べたという。これこそ、官僚と抵抗して改革を推し進めるポーズを売り物にしてお
きながら、その実は官僚の言いなりになって官僚に振付けてもらう、政策も信念もな
い小泉首相の正体である。
http://homepage3.nifty.com/amaki/pages/ns.htm
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。