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天木直人・メディア裏読み(9月19日)政治家の手柄を演出する官僚(9月18)戦争は議論する対象ではない。許してはならな 
http://www.asyura2.com/0406/senkyo5/msg/599.html
投稿者 天木ファン 日時 2004 年 9 月 19 日 11:32:36:2nLReFHhGZ7P6
 

9月19日 ◇◆ 政治家の手柄を演出する官僚 ◆◇
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□★□ 天木直人9月19日 メディア裏読み  □
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 ◇◆ 政治家の手柄を演出する官僚 ◆◇
 
 小泉首相の外遊にまつわる記事には中身のある興味深い記事はまったく見られな
い。それはそうであろう。今回の外遊そのものが真に必要な外遊ではなかったからで
ある。国内政治の都合上日本をしばらく離れたい外遊であったからだ。それでも大勢
の記者が多大の経費をかけて同行している。そうであれば何か記事を書かねばなら
ない。予定された行事を役人のブリーフィング通り、どの新聞も見事に同じように垂れ
流している。記者会見中もまた泣いた、三度目の会見では泣かなかったなどと、芸能
人じゃぁあるまいし、それが記事に値する事なのか。大袈裟に報道されている自由貿
易協定などは担当大臣が署名する程度の話なのである。
 
 そんな中で18日付の東京新聞夕刊におもしろい記事を見つけた。ブラジルに到着
するや、マンゴーを試食した小泉首相は「うまい」と舌鼓を打って、その後の首脳会談
で一気に輸入解禁を即答したという記事である。私は個人的体験に基づいてこの記
事を腹立たしい思いで読んだのである。何故か説明しよう。

 農水省は輸入果実については害虫の駆除を義務付ける。ブラジルのマンゴーにつ
いては地中海ミバエという害虫の卵が完全に駆除できるという技術をブラジル政府が
証明しなければわが国は輸入を認めないことになっている。そしてその技術が十分で
あっても、今度は日本の果物関係者の間で公聴会を何度も開いてその輸入が国内業
界に及ぼす影響について慎重に吟味しなければならない。これら一連の国内手続き
の過程で実に煩瑣な要求を次から次へと輸出国に課すのである。その間に多大の年
月を要する。これは眼に見えない貿易障壁、つまり非関税障壁なのである。

 私はレバノン大使の頃、レバノンのオレンジを日本に輸出しようと努力をした。周知
のようにオレンジはその昔米国の政治的圧力で解禁をして以来、いくつかの国が日
本に輸出するようになった。レバノンの隣国イスラエルもかなり前から日本にオレンジ
を輸出している。
 しかしイスラエルのオレンジよりもレバノンのオレンジのほうが甘く美味い。何よりも
安い。もしレバノンのオレンジが日本に輸出できるようになれば間違いなく米国やイ
スラエルのオレンジより人気が出る。軍事力ではイスラエルにいじめられているレバ
ノンが経済競争でイスラエルに勝つ。何とすばらしい事だろう。そう思って私はレバノ
ンの地中海ミバエの駆除技術の向上に協力しようとした。ところがわが農水省は、そ
もそも日本の果実業者を保護するという基本方針があるので、敵に塩は送れないと
いわんばかりに技術協力をしようとしない。おまけに次から次へと煩瑣な調査をレバ
ノン側に要求する。しかもたとえ技術的に要件を満たしても直ちに輸入の許可が下り
るわけではない。なんだかんだで許可が下りるまで10年から20年かかるのである。
そのうち輸出国のほうでも嫌になって諦める。「それが狙いでわざとハードルを高くし
ているのだ」と本音を話してくれた農水省の職員がいたほどである。
 
  ブラジルの場合も1998年からの地中海ミバエの殺虫技術の開発に着手して以来
の懸案であったという。しかし小泉首相がブラジル訪問する。何とか間に合わせて花
を持たせなければならない。公聴会を8月に開いたばかりで普通の手続きでは間に
合わない。しかしそこはパフォーマンスの小泉首相である。認めろと総理が要求すれ
ば官僚は無理を通してこれを認めざるを得ない。そうであれば少しでも小泉首相のパ
フォーマンスに貢献しようと豹変したのであろう、あたかも小泉首相の決断一つで決
めたという形をつくったのである。あるいは多国籍軍の派遣約束と同じように、小泉首
相が国内手続きを無視して農水省の頭越しに即決したのか。いずれにしても「9月解
禁」という思わぬ輸出許可の取り付けについて、ルラ大統領は驚き、感激した様子で
あったという。

 それにしても役人の仕事は恣意的であり不透明である。レバノンのオレンジ輸出の
場合には大使だった私がいくら頭を下げても、どの役人も動こうとさえしなかった。地
中海ミバエの駆除技術をレバノンの果樹園業者がいくら習得しても、「民間企業の証
明は認めない、レバノン農林省の許可がなければならない」と規則どおりの要求をあ
くまでも求めるという態度に終始した。
 ところが狂牛病の検査については米国の政治的圧力の前にはいとも簡単にこれま
での規則を捻じ曲げ、民間業者の全頭検査でも認めようとしているではないか。これ
も小泉首相に頼まれたのか。
 
 要するに役人の規制などというものは政治的圧力の前にはどうとでも運用できるの
である。役人の保身にかなうのであれば、先取りして規則を曲げ政治家を喜ばせるの
である。私は三年近くレバノンの地中海ミバエと戦ってきて結局何も進展させることな
くレバノンを離れた。小泉首相が「うまい!」と叫んだだけですぐに輸入解禁となる話
を新聞で知って、この国の役人の権利の私物化にこの上ない憤りを覚えた。誰かこの
いかさま振りを国会で追及してくれないであろうか。


September 19, 2004 in 経済・政治・国際 | 固定リンク | トラックバック (0)

9月18日  ◇◆ 戦争は議論する対象ではない。許してはならない絶対的暴力だ。 ◆◇
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□★□ 天木直人 9月18日 メディア裏読み □
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 ◇◆ 戦争は議論する対象ではない。許してはならない絶対的暴力だ。 ◆◇
 
「いかなる備蓄も発見されておらず、今後も見つかりそうもない」というパウエル米国
務長官の議会証言に引き続いて、イラク国内で大量破壊兵器の捜索に当たってきた
米調査委員会(チャールズ・ドルファー団長)が、9月中にも「対イラク開戦前には大量
破壊兵器は存在しなかった」との結論を明記した報告書を発表するという。AP通信
など米主要メデアが17日報道した。大量破壊兵器の有無をめぐる論議はこれでやめ
よう。先制攻撃をした米国の責任をどう問うかだけである。

 これが気に食わないのだろう。18日の「産経抄」は次のように書いている。
 「 戦争の大義はどこに?と鬼の首を取ったように言い立てている新聞がある。・・・
小欄はこれまで再三、戦争に大義や正義を主張することのおかしさや、胡散臭さを書
いてきた。「歴史をふり返れば客観的な大義に立って行われた戦争はない」とは作
家・塩野七生さんの卓見だが、その見解を借りるまでもない。戦争の大義はすべて相
対的なのだ・・・イラク戦争の大義を問うても始まらない。戦争は正邪善悪の尺度では
なく、どう対応するのかが究極の国益にプラスか、それを冷徹なリアリズムで量るしか
ない。イラク戦争はそれを肯定するのがつまるところ国益であり、選択の余地がなか
ったのだ・・・」

 これでは戦争はなくならない、テロはなくならない。戦争を肯定する事がどうして国
益なのか。我々日本国民がイラク戦争から何を得たと言うのか。イラク戦争を支持す
る以外に限りない選択の余地があったではないか。卑怯だぞ、産経抄。実名を出して、
我々に顔を出して反論してもらいたい。

 パウエル長官の発言を聞き届けたかのように、15日、アナン国連総長はBBCのイ
ンタビューで「イラク戦争は違法である。イラク攻撃を合法とするには、国連安保理に
よる二度目の(攻撃容認の)決議が必要だった」と発言したらしい。彼が憲章違反を指
摘したのはこれが初めてではない。しかしそれならばマレーシアのマハティール首相
(当時)が声を上げたように、何故彼は米国が違法な先制攻撃を強行したとき、即座に
国連事務総長を辞職して米国に抗議しなかったのか。国連があれほどあからさまに
ふみにじられたと言うのに、その国連の長がどうして平気でその職にとどまっていられ
たのか。
 同じように私は緒方貞子氏に不信感を抱く。国連難民救済機構の長として評価さ
れた人の口から、私は今度のイラク戦争に対する批判を聞いたことがない。それを支
持した小泉首相を批判した言葉を聞いたことがない。アナン氏も緒方氏も政治家、外
交家、国際政治学者ではあっても戦争の犠牲者側に立った真の平和主義者ではない。
彼らがどのような演説を行おうと私の心には響くものはない。
 
 私が未だ評価出来ないでいる一人にベトナム戦争の指揮をとったマクナマラ元国
防長官がいる。彼はその後繰り返し「ベトナム戦争は間違いであった」と反省の言葉
を述べてきた。
 そのマクナマラ元国防長官のあらたな告白を映画化した「フォッグ・オブ・ウォー」に
ついて、9月17日付の産経新聞が製作者モリス監督の製作意図を取り上げている。
その記事のなかで当時陸軍中佐だったマクナマラ氏が日本爆撃の効果を上げるため
B29による低空爆撃をルメイ少将に命じ、一晩で10万人の一般市民を殺したことが
述べられていた。はたして正しかったのか、日本に原爆を投下する必要があったのか、
マクナマラ氏は「私もルメイも戦争犯罪を犯したのだ」と述懐しているという。
 モリス監督が「フォッグ・オブ・ウォー」で明らかにするのは、権力中枢がいかに悩み、
判断を誤ってきたか、絶対悪などは存在せず、「人間の限界」という不幸だけだという。
モリス監督は「我々は過去からなにも学んでいない。この作品の根底にあるのは『人
間は間違いを犯すものだ』という確信なのです」という。しかしそれでは不十分ではな
いのか。無責任ではないのか。
 
  今でもファルージャで毎日のように犠牲者がでている。その多くは政治とは直接関
係のない一般市民である。この事に思いを馳せれば、戦争はいかなる意味でも許さ
れない暴力であることがわかる。「議論するもの」ではなく「やめさせるべきもの」なの
だ。そしてそれを始めた者は裁きを受けるべきである。

http://homepage3.nifty.com/amaki/pages/ns.htm

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