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イラク情勢ニュース ２００４年６月２４日 木曜日
［飛耳長目録］
☆主権移譲の前夜、米国が石油支配への布石
ニュー・スタンダード ６月２３日 英字報道から訳
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☆★Iraq's 'Sovereign' Government to Have Little Control
Over Oil Money
イラクの「独立」政府は石油収入をほとんど支配できない
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ニュー・スタンダード ６月２３日 水曜 by Chris Shumway
http://newstandardnews.net/content/?action=show_item&itemid=592
６月２２日発： アメリカ主導の占領暫定当局（ＣＰＡ）による最後の
騒動と、イラクの主権を定める国連安保理の文書は、イラクの石油
収入をめぐって、暫定政府が意味のある管理を行使する権限を制約
するようだ。
ＣＰＡのウェブサイトに掲示された文書によると、ＣＰＡのあまり知ら
れていない計画評価委員会（ＰＲＢ）は、イラクの何億ドルもの石油収
入を新しい契約に、そっと委託した。批評家たちは指摘する−−そ
の契約は、新イラク暫定政府がＣＰＡから６月３０日に主権を引き継
いだ時点で、それが処理することになる莫大な収入を制限する一方
で、米国と英国の法人を富ませるものになるだろう。
ＰＲＢの議決権を持つ１２人のメンバーの全員がＣＰＡのブレマー代
表によって任命され、またブレマーに直接報告するというもので、２人
だけがイラクの内閣からの代表である。他のメンバーとしてはオース
トラリアとイギリスの政府から各１人、国際協力理事会のメンバー１
人、ＵＳＡＩＤから代表１人、ＣＰＡの各局部門から６人の代表が参加し
ている。
ＣＰＡのウェブサイトに掲示された表によると、イラク開発基金（ＤＦ
Ｉ）が支出可能な約９０億ドルと、２００４年６月１８日時点の現金収入
の総額２００億ドルを掌握した。ＤＦＩはイラクの石油収入およびフセ
イン政権から確保した資産、石油・食糧交換プログラムから移された
金額を集めるために、２００３年５月に国連によって創設された。
最初、ＤＦＩはイラクの２００４年予算を計上するためにイラクの内閣
によって使用されることになっており、その一方で、米国議会によっ
てＣＰＡに流用された１８４億ドルが、主に復興事業に支出されること
になっていた。
しかしＣＰＡは公の監視のもとにあるその基金を使用するのが遅く、
『ニューヨーク・タイムズ』によると、わずか３２億ドルのみが実際の復
興事業のための契約にまわされた。その結果、ブレマーによって選
ばれた評価委員会（ＰＲＢ）に監視されたＤＦＩは、最近になって、気に
入った分野に素早く回せる財源を求めているＣＰＡ高官にとっての好
ましい財源となった。
そしてＰＲＢは資金を提供するのにとても寛大だった。
５月１５日に開かれたＰＲＢの会議議事録（ＣＰＡのウェブサイトに議
事録が掲示された最新の会合）は、ＰＲＢが選別された１０事業に２０
億ドル近い支出を承認したことを示している。
支出項目には、フセイン政権によって「収容された土地およびその
他の不動産」にからむ資産問題の解決に１億８０００万ドル、電力設
備の再建に３億１５００万ドル、イラクの石油設備の復興に４億６００
０万ドル、イラク人治安部隊のために５億ドル（これは４月に認められ
た治安関連の支出５億ドル、および２００４年度の治安支出として米
議会が承認した３２億ドルへの追加支出）−−といったものがある。
世界的な融資家ソロスの公共社会研究所が設立した団体イラク・
レベニュー・ウォッチの報告は、土壇場になってのＰＲＢの支出承認
を「焼け残りの特売」と比較して、その支出は「使い道を選ぶべき・・・
暫定政府およびその後の選挙を経た政府の能力に重大な影響をも
たらすだろう」と論じている。
その報告は、「ＰＲＢが任務を終える最終期限（６月３０日）の前夜
になって、あわてて考えついた事業」を承認したものとして、ＰＲＢを
特に非難している。
報告は、「なぜそのように多額の現金を支出する裁量が、予算執
行の仕組みが成立する前に承認されているのか？」と問いかけてい
る。「それに、なぜこれらの支出が将来の政府に決定させるのでなく
土壇場になって提案されたのか？」
５月１５日の会議議事録は、提案された事業の具体的な目的につ
いても、ＰＲＢから提供されたか他の資金源から供給された事業の効
果についても、資金を要求した占領当局の高官はＰＲＢのメンバーか
らの質問に答えることができない。それにもかかわらず、議事録によ
ると、ＰＲＢメンバーは資金提供のすべの要請をわずかに修正しただ
けで承認した。
いったん決定されると、もしイラク暫定政府が同基金を他で適切に
使うべきだと決めても、ＰＲＢの支出承認を取り消すことはできないの
である。
アメリカとイギリスが起草し６月８日の安保理で感情一致採択され
た国連決議１５４６は、新しい政府がＣＰＡによる全部の契約を尊重し
なければならないと述べている。
国連決議はまた、憲法が起草され憲法にもとづいて選ばれた政府
が生まれるまで、国際諮問監視委員会（ＩＡＭＢ、大部分が非イラク人
の機構。国連が設立）、国際通貨基金（ＩＭＦ）、世界銀行が継続して
ＤＦＩ（イラク開発基金）を「積極的に監視」し、監査することを決めた。
国連の計画表によると、そのような状況は１２月３１日までは（２００５
年まで）実現することを予測できない。
イラク新政府の構造を批判し大衆的な抗議と反政府運動の力学に
ついて論文を発表してきた社会学教授マイケル・シュワルツによる
と、石油収入を管理するイラク政府の権限をこのように制限すること
で、早期に再建される社会基盤のための最大の資金源が米国議会
によって配分されるものとなるだろう。
１８０億ドルの多くがまだ支出されてないなかで、イラク問題の将来
にワシントン（米国政府）が潜在的に決定的発言権を与えられること
になり、金額の分配には米国高官が完全な裁量を持ちつづけるので
ある。
シュワルツはTomDisptach.com（トム・ディスパッチ）のブログに掲載
した文章で、アメリカは「今後数年にわたって、（イラクの）社会基盤と
経済を再建し維持するのに必要な資源をほぼ完全に支配するだろ
う」と主張している。
「いくつかの点で、石油収入は経済基盤を提供するためイラク政府
へじゅうぶんに解放されるかもしれないが、しかし、それが実現する
より以前に、アメリカの金融の力が圧倒することになるだろう」とシュ
ワルツは書いている。
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