★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板 > 戦争57 > 1022.html
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
中国動乱を招きかねない史上最大の米海軍機動演習[チャルマーズ・ジョンソン氏/TUP]
http://www.asyura2.com/0406/war57/msg/1022.html
投稿者 なるほど 日時 2004 年 7 月 24 日 17:21:11:dfhdU2/i2Qkk2
 

TUP速報341号 米海軍台湾演習 04年7月24日

米海軍、台湾周辺で史上最大の演習!?

今の時期、中国沖合に空母艦隊が7群も集結するとは、驚くべきスクープです
が、日本では一片の報道さえも見かけないようなので、第二次世界大戦中の報
道管制すら想起します。本稿で筆者は戦争勃発の危険を指摘していますが、演
習の実施だけでも、中国を軍事大国化の道へ追い込むでしょう。そして、台湾
海峡は日本の“周辺”にあたります。/TUP 井上
================================================================
04夏の鼓動作戦(Operation Summer Pulse '04)
中国動乱を招きかねない史上最大の米海軍機動演習

――チャルマーズ・ジョンソン
ロサンジェルス・タイムズ 2004年7月15日
----------------------------------------------------------------

米海軍は音無しの構えであり、米国内での報道も最小限に抑えられているが、
台湾近海の中国沖で“04夏の鼓動作戦”と称する演習を、7月中旬から8月
いっぱいまで実施すると表明した。


米国が保有する12空母戦闘群のうち7群が同時に1ヵ所に集結することにな
るが、これは米海軍史上でも初めてのケースである。平時ながら、ノルマンデ
ィー上陸作戦にも比較しうるもので、不測の事態を招きかねない。

単一空母戦闘群は、最少の構成のばあい、旗艦である航空母艦1(通常10飛
行中隊および計85機の艦載機搭載)、誘導ミサイル装備巡洋艦1、誘導ミサ
イル装備護衛艦2、攻撃型潜水艦1、高速戦闘支援艦1で編成されている。

紛争地域にアメリカの国威を示すばあい、通常では1空母戦闘群のみ、または
多くとも2群を派遣するだけである。戦闘作戦では、3群か4群を展開するだ
けであり、2度のイラク戦争でもそうだった。1ヵ所に7群の派遣とは、前代
未聞の事態である。

“04夏の鼓動作戦”は、米太平洋軍司令部のパールハーバー中央司令部およ
び同司令官トーマス・B・ファーゴ提督が発案し、国防総省に巣くうネオコン
が後押ししているものであると考えて、ほぼ間違いない。議会に諮られたかど
うかは疑問である。これによって、アメリカの対外政策がますますペンタゴン
主導になっていることが明確になるだろう。

中国からの報道によれば、今回の7航空母艦が集結する19世紀砲艦外交の現
代版には、台湾の艦船も加わる予定になっている。海軍は、表向きには、この
演習の目的は緊急事態における大部隊の結集能力を実証するためであると言う
が、米大統領選挙の年に中国を仮想敵に仕立てるとは、これはネオコンが試み
る最後のあがきのように思える。

言うまでもなく、中国にとっては不快な事態である。中国の海空軍戦力に地上
配備ミサイルを合わせれば、1群ないし2群の空母戦闘群に対処できるが、7
群となればお手上げであると中国筋は言う。そのため、まだ1隻の空母も台湾
海峡に姿を現わしていない段階から、北京は、7群の米空母攻撃艦隊に対処し、
撃破する能力を10年以内に確保するための突貫計画に着手すると表明した。
先に戦争に見舞われなければ、中国がこの計画を完遂する見込みは十分ある。

経済成長率を見れば、昨年度、中国は9.1パーセントを達成し、世界で抜群
の急成長を誇る経済大国である。海外からの直接投資受入額で言えば、中国は
米国を追い抜き、世界最大になっていると、BBC放送が6月28日に伝えた。
2003年中の新規工場進出投資を比較すれば、中国では530億ドル相当で
あり、それにひきかえ米国では400億ドルにすぎず、またインドでは40億
ドル、ロシアにいたってはわずか10億ドルである。

米国から軍国主義者たちが干渉しなければ、やがて中国は韓国や台湾(両者と
もに1980年代まで米国の支援を受けた軍事独裁国家)と同じような経過を
辿って民主化することがほぼ確実である。だが、強い大陸中国が米国内の反中
国ロビーを刺激している。反中国ロビーは北京に対する数十年来の敵意を捨て
ようとせず、あらゆる機会を捉えて波風を起こそうとしている。「台湾防衛」
が格好の謳い文句である。

イデオローグたちは、かれらの機会が残っているうちに、中国との対決を煽り
たてようとしているようである。現在、図らずもかれらは台北と東京に熱心な
反中国政府の同盟者に恵まれているが、これら両政府とも自国民の広い支持を
得てはいない。

アメリカの軍国主義者たちが戦争勃発に成功すれば、結末はあまりにも明白で
ある。中国が共産主義から脱却する方途を破壊し、中国指導部を軍国化させ、
アメリカを破産に追い込み、中国侵略の再開をめぐって日本の国論を真っ二つ
に裂き、戦争に負けることになる。またアメリカは人口で世界最大の国から末
代までの敵意を向けられることになるだろう。

---------------------------------------------------------------
Sailing Toward a Storm in China
U.S. maneuvers could spark a war.
By Chalmers Johnson, Los Angeles Times online, July 15, 2004
The article is available at:
http://www.commondreams.org/views04/0715-04.htm
Copyright C 2004 Chalmers Johnson TUP配信許諾済み
================================================================
本稿のTUP配信準備中に、筆者チャルマーズ・ジョンソン氏より、本文の裏
付けになる詳細な背景情報がTUPに寄せられました。これをお読みになれば
分かるように、“04夏の鼓動”演習に関する一次情報は、今のところ、東ア
ジアのメディアに偏っているようです。日本でまだ報道されていないのも、米
国内でさえ十分に報道されていないせいかもしれません。/TUP 井上
================================================================
筆者チャルマーズ・ジョンソンによる背景解説
---------------------------------------------------------------

わたしのロサンジェルス・タイムズ記事に激怒した批判をいくつか頂戴したが、
わたしの反論は次のとおり――

わたしが空母戦闘群が整備されて以来で最大の米海軍演習の重要性を過大評価
していると、またわたしの過ちは公的な海軍広報を厳密になぞっていない点に
あると示唆したのは、あなたが最初ではありません。

わたしが“夏の鼓動”作戦に関して国防総省のウェブサイトを信じなければな
らないと言われているのだとすれば、わたしに対する論難者たちは、アブグレ
イブ監獄における拷問が“6人の腐ったリンゴ”だけによる犯行であると(す
る統合参謀本部議長リチャード・B・マイヤーズ将軍の上院軍事委員会におけ
る証言を)了解していて、チャラビ=ゲート(おそらく出所はイランの諜報機
関であり、国防総省の初心[うぶ]な当局者たちに吹き込まれた亡命イラク人
情報をペンタゴンが真に受けたこと)にしても、完全に筋が通った話であり、
CIAおよび国防総省による嘘についての上院諜報委員会報告は正確ではない
とおっしゃるだろうとわたしは推測する。わたしが“夏の鼓動”作戦について
間違っていることはありうるが、アメリカ海軍のウェブサイトにある列挙事項
を読んでも、わたしは納得しないし、この問題に関心のある誰にしても納得で
きるものではない。国防総省は、軍国主義者たちの思いのままに信じ込んでし
まうように一般大衆の考え方を誘導するための良くできたプログラムを保有し
ている(詳しくは、わたしの新刊書『帝国の悲哀――軍国主義、秘密主義、共
和制の終焉』[未邦訳仮題。メトロポリタン・ブックス、2004年刊]を参
照のこと)。7月15日付ロサンジェルス・タイムズ掲載のわたしの記事は、
それほど秘密でもない情報の断片をいくつか関連づけることによって、中国と
の関係の悪化を企む重大な軍事的陰謀を暴露したであろうし、その記事に対す
る海軍最高司令部の反応がわたしの論点を証明していると、わたし個人として
は信じている。まもまく、わたしは、もっと詳細な中国=台湾=日本=アメリ
カを結ぶネオコン事情を網羅した分析を公表するつもりである。

他にも、わたしが中国人コミュニスト情報を引用したとして、アメリカの被害
妄想的な軍事社会の目から見て、とてもじゃないが正確ではありえないと非難
されている。わたしの情報源のいくつかは中国人であるが、大陸中国のもので
はない。そのひとつは、シンガポールの保守系新聞ストレーツ・タイムズ20
04年6月30日付に掲載された報道記者チン・チェオンの記事である。この
広く読まれた記事は「米国、太平洋で巨大規模の軍事示威を計画」と題されて
いる。チェオンは書いている――「米国は中国近海の太平洋で北京に照準を合
わせた一大軍事示威を計画している。“04夏の鼓動”作戦というコード名で
呼ばれる演習で、7月後半以降、空母戦闘群(CSGs)が未曾有の7艦隊、
中国沿岸から安全距離を保ちつつも、攻撃力の届く海域に集結すると予想され
ている。……ひとつの戦域に7群のCSGsを派遣するのはこれまでなかった
ことである。……“夏の鼓動”作戦はあからさまな威嚇であると見なされるだ
ろうと中国軍事筋が語った。『これは21世紀の砲艦外交である』と同筋は論
評し、これが1世紀におよぶ西洋列強による深刻な屈辱を中国人民に思い起こ
させ、中米関係を危険に晒すことになると付言した」(UPI通信2004年
6月30日付配信記事「米国、太平洋で巨大規模の軍事示威を計画」をも参照
のこと)

軍事アナリストのゴードン・プレイサーが(2004年7月5日付記事「アジ
ア危機」に)、アメリカは、みずからがイラクにおける失態で足を取られてい
る間に、中国が台湾を封鎖するのではないかと恐れていると書いている――
「中国が台湾を海上封鎖すれば、比較的たやすく、また国際社会からの抗議を
最小限に抑えつつ、台湾を屈服させることができる。主要海上交通網に継続的
な妨害を加えれば、地域の生命線である貿易、およびエネルギー需要のほぼ3
分の2を占める石油輸入の頼みの綱である海運に大きく依存している台湾経済
社会にとって経済的な大惨事になるだろう。……『確実な戦闘能力を地球全域
に送る海軍力を誇示する』ため7空母戦闘群の同時に配備する“夏の鼓動”作
戦は、およそ航行可能な事実上すべての海軍保有艦船が、“戦闘”準備を整え
て海上にあり、しかも大半が太平洋に集結する(ことを示す)」

海軍の企画作戦主任調整官ジョン・D・スタッフルビーム少将が、ペンタゴン
における7月8日の記者会見で、夏の鼓動作戦は誰に対してもメッセージを送
ることを意図するものではないと語ったが、「カーテン(なんのカーテン
だ?)の向こう側の他者がそれ(海軍保有の12空母戦闘群のうち7群の配
備)から教訓を得るとしたら、好都合であると本官は考える」とも付言した。
換言すれば、海軍がどこかの国を威圧する意図を持つことは公式には否定して
いるが、“カーテンの向こう側”の不特定の国が意外にも脅威を感じるとすれ
ば、勝手にどうぞということである。(AP通信の軍事記者ロバート・バーン
ズの2004年7月8日付記事「海軍演習にメッセージの意図なし」参照)

韓国ソウルの保守系大手新聞・東亜日報の記者ヨーセオン・ワンが、6月11
日、「7月中旬から8月にかけて、7隻もの航空母艦が東太平洋海域に合同演
習目的で集結する」と伝えた。

AP通信によれば、7月中旬時点で航空母艦7隻のうち太平洋上に配属されて
いるのは3隻のみであるが、なにもかも作戦の決着をつけるために海軍の計画
に織りこまれた“出動”である。アレキサンドリアの安全保障問題研究機関グ
ローバル・セキュリティ(GlobalSecurity.org)の理事長ジョン・パイクは
「1年前のイラク戦争中、海軍はこのような複数の空母を“出撃”させる能力
を誇示していた」と語る。……「今、海軍はそのようにする用意が整っている
ことを見せつけている」とパイクは語った。「どこの誰であれ、なにかやらか
す気になるようなら――つまり北朝鮮がはしゃいだり、赤い中国人が危なくな
るようなら、半ダースの空母が急行する手はずである」(AP通信ソニア・バ
リスティック2004年6月3日付記事)

太平洋に配備済みの3空母戦闘群は、横須賀のキティホーク米空母艦隊、ハワ
イのジョン・C・ステニス艦隊、ペルー沖のロナルド・レーガン艦隊である。
04夏の鼓動作戦に参加予定の他の空母戦闘群は、現在、地中海にあるハ
リー・S・トルーマン艦隊、目下、ナポリ訪問中のジョージ・ワシントン艦隊、
地中海のジョン・F・ケネディ艦隊、北大西洋のエンタープライズ艦隊である。
シンガポールの軍事アナリスト、チン・チェオンが書いている――「中国の有
力ウェブサイトであるシナ・コム(Sina.com)の投稿記事によれば、7空母戦
闘群のすべてが太平洋に集結する徴候がある。中国の読みでは、“夏の鼓動”
作戦は同国を対象観客に巻き込むものであり、この疑いは台湾軍が演習に参加
予定であるという報道で裏付けられていると北京の消息筋が語っている」

7月11日付シンガポール発のフランス通信記事が伝えている――「(コンド
リーザ)ライスによる木・金曜日(7月8・9日北京)訪問は、米軍が、公的
には軍事演習と称する未曾有の海軍力展開を囁いているなかで行われた。……
『これは前代未聞の軍事力誇示であり、砲艦外交の再来である』と、シンガ
ポールの防衛戦略研究所の安全保障問題専門家アンドリュー・タムがフランス
通信に語った。……『これは北朝鮮へのシグナルであるが、特に中国向けのメ
ッセージが強い。空母戦闘群が派遣されるのは、台湾海峡の現状維持と現在の
台湾の地位を米国が支えることを確認するためである』 3空母戦闘群がすで
に太平洋に配備されていて、別の4群が“2004夏の鼓動”という名の戦争
ゲームのために派遣されると、米海軍が6月に発表した」

ロイター通信7月15日付記事で、ジム・ウルフが「米国防総省が、6月5日、
必要に応じて戦力を動員する作戦を“発動”する海軍新戦略を実証するために、
空母7隻を展開すると発表した」と伝えた。7月15日をはさむ1週間、米国
は「台湾に対する中国の軍事的脅威の拡大」にもとづく危機シミュレーション
演習をワシントンで実施した。演習発動は8月に予定されていると言われてい
る。ブッシュ大統領が、2001年8月25日の全米テレビ放送の会見で、台
湾のために中国に対して“米軍の全力”を動員するつもりがあるかと質問され
て、「台湾の自主防衛を援助するためには何でも」と答えたのを想起するのは
重要である。

上記に紹介したのは、過去1ヶ月間に東アジア報道機関にあふれていた記事を
見本抽出したものにすぎず、中国の沖合で計画されている米軍戦力示威の全体
像の半分しか伝えていない。ロサンジェルス・タイムス論説記事で、この軍事
情報に注目を集めたことで、また当該問題に関して、海軍広報の信憑性に疑問
を差し挟んだことで、わたしが謝罪する必要があるとは考えない。アメリカの
対外政策は高位にある軍人たちによって秘密裏に立案されているというわたし
の見方はまったく揺るがない。

チャルマーズ・ジョンソン
---------------------------------------------------------------
From: Chalmers Johnson
Sent: Tuesday, July 20, 2004 11:55 AM
Subject: Re: Sailing Toward a Storm in China
Copyright C 2004 Chalmers Johnson TUP配信許諾済み
---------------------------------------------------------------
チャルマーズ・ジョンソンCHALMERS JOHNSON
『日本政策研究所』 http://www.jpri.org 代表。一九六二〜九二年、カリフ
ォルニア大学でアジア政治の研究・教育。『アメリカ帝国への報復』(鈴木主
税訳・集英社刊)新刊 The Sorrows of Empire: Militarism, Secrecy, and
the End of the Republic, Metropolitan Books, Jan.,2004
================================================================
[附録]
7月20日付ロサンジェルス・タイムズEメール版関連記事速報
「米中、台湾海峡で個別に大規模戦争演習」
[北京発]米中両国が、台湾島の国家主権をめぐる緊張が高まる台湾近海でそ
れぞれ別個に大規模軍事演習を主宰しようとしている。
――ジョン・M・グリオナ記
http://email.latimes.com/cgi-bin1/DM/y/eiBU0H4hRZ0G2B0F5360AI
================================================================
翻訳 井上 利男 /TUP


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
TUP速報
配信担当 菅原 秀 Schu Sugawara
電子メール: TUP-Bulletin-owner@y...
TUP速報の申し込みは: http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/
*問い合わせが膨大な数になっています。ご返事が書けない場合がありますので、
 ご容赦ください。
■TUP初アンソロジー『世界は変えられる』(七つ森書館)発売中!!

http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/358
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/

 次へ  前へ

戦争57掲示板へ



フォローアップ:


 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。