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「沈黙を破って ― イスラエル兵士たちによる写真展」「『壁』が押し進める植民地政策」他(ナブルス通信)
http://www.asyura2.com/0406/war57/msg/394.html
投稿者 シジミ 日時 2004 年 7 月 06 日 21:04:23:eWn45SEFYZ1R.
 

この通信を作って、少し心の支えが取れた気分です。せっかくの翻訳
記事もありますので、それもまた発信していきたいと思っています。
(しかし、ガザでもナブルスでも若い人が次々と殺されています)
今回はインフォメーションを中心に。

      ***以下、転送を歓迎します***

      ○○○ナブルス通信 2004.7.6号○○○
       http://www.onweb.to/palestine/
        Information on Palestine

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◇contents◇

◇「沈黙を破って」──イスラエル兵士たちによる写真展

◇「「饒舌な」証拠写真」

◇「壁」が押し進める植民地政策

◇訂正:ウェブでの写真リンクを直しました

◇イスラエル人権団体「ブツレム」のキャンペーン・ビデオ

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◇「沈黙を破って」──イスラエル兵士たちによる写真展

6月中旬、テル・アビブで、イスラエル兵士たちによる写真展が開かれ
ていた。18や19歳で兵役に就き、ヘブロンに配属されていた若者たち
が、兵役中に撮っていた写真を集めて展示したものだ。

主催のひとり、イェフーダ・シャウルは、21歳のウルトラ正統派ユダ
ヤ教徒。かつては「超・右派」だったと自認する。「自分は軍に入るこ
とを夢見ていて、それだけが最も大事なことだった」。しかし、11年
生のときから、徐々に変わっていった。イスラエル国内を旅し、自分自
身で考えるようになる。「命を捧げるほど、国家は大切なものじゃな
い」と。

しかし、「兵役は合法なものだと思っていたし、拒否するやり方も知ら
なかった」とシャウルは言う。そのシャウルはヘブロンでの兵役で決定
的に自分のなかに「ひび割れ」が起こるのを体験した。

それがいつなのかをはっきりと指さすことはできないが、シャウルは次
のような場面を挙げている。

2002年の「防衛の盾」作戦が終わったとき。「薬局」と呼ばれていた
クリニック──軍部がパレスチナ人の診療所を占拠して使っていた──
に、休暇を終えて戻ってみると、「なにもかもがめちゃくちゃになって
いました。窓はすべて壊され、注射器は床に散乱し、排泄物があらゆる
物にかけられていたんです」。

また、司令官たちが駐留していたところに食料を届け、帰りにゴミを街
路に出すと、パレスチナ人の子どもたちが集まってきて、ゴミの中から
「食べ残し」を集め始めた。「僕はそれを子どもたちから取り上げたん
です。ゴミをどうすればいいのか、軍規がどうなっているのか、わから
ないからと思って。つまり、僕は「書類」のことだけを考えていたんで
す」

いったい、どこからが「黒旗が振られる(やってはいけない領域に入
る)」ことなのかも、作戦の中にいると摩耗してわからなくなっていっ
たとシャウルは言う。

18や19歳の若者たちが兵士として占領地に送られて、何に対面してい
るのか、何をしているのかがイスラエル社会ではあまりにも語られてい
ないと痛感したシャウルは、同輩たちがアジアに行って、ドラッグに
浸ってすべてを忘れる替わりに、占領地での若き兵士たちの姿を伝える
ことを考えた。そのとき、皆が「記念」に写真を撮していたのを思い出
し、シャウルはバイクに乗って、元・兵士たちを尋ね歩き、写真の提供
を呼びかける。

「提供を拒んだのはたった1人だけ。他の仲間は喜んで協力してくれま
した。誰もが自分の中にしまいこまれた思いを語る機会を待っていたの
です」

ハアレツ紙のカメラマン、ミキ・クラッツマンが展示のアイディアに協
力し、兵士たちの証言をビデオにすることも行われた。

「兵役から解放されて、私たちは胸の中にしまわれた記憶が同じように
兵役についていた者に共有のものだと気づいた。私たちは語ることを決
心した。私たちの話を伝えることに決めた。ヘブロンは他の惑星ではな
く、エルサレムからほんの1時間のドライブで着く場所なのに、ヘブロ
ンはテル・アビブから光年も離れている。私たちはヘブロンをテル・ア
ビブに持ってくることにした。

来て、見て、聞くのはあなたたち次第だ。そこで何が行われているのか
を知るために」

これがこの写真展『沈黙を破って』につけられた呼びかけの言葉だ。

*シャウルの発言はハアレツ紙週末特別版による

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以下、兵士たちの証言の一部。

(「インディペンデント」紙、ドナルド・マッキンタイア『ヘブロンの
恐怖を超え、沈黙を破る』より抜粋。いけだよしこ訳)

 ◆(パレスチナ人の)家に入って『子どもは全員1つの部屋に集まる
 ように。これからこの家を捜索する』って言うとして、もしこれが逆
 だったら自分はどうするだろうって思う。どうするだろうか、ほんと
 にわからない。もし(こんなふうに)誰かがうちに入ってきたら、僕
 なら逆上するだろう。銃を持った人が、小さい子が――4歳とか5歳
 の子どもがいる家に入ってきて、銃を突きつけて『よし、全員出てい
 け!』とか言ったら、僕の親とか家族ならどうするだろうって考えよ
 うとしたんだけど、ちょっと想像しがたい……。
 
 ◆力を持ってるってことが自分にはただもう嬉しいんだってことに気
 付いた日、僕は自分のことが恥ずかしかった。それがいいことだとは
 思わないし、(悪い)ことをするのが正しいとは思わない――相手が
 誰であっても。まして、自分に何の被害も与えてない人にそんなこと
 するなんて。でもそういう状況になったら嬉しくなっちゃうんだ。自
 分の命令通りに他人が動く。銃を持ってるからね。銃を持ってなかっ
 たら、仲間の兵士たちと一緒じゃなかったら、飛びかかられてぶん殴
 られる、刺されて殺される。でも段々そういうのが楽しくなるんだ。
 『楽しい(enjoy)』なんて言葉でも何か違う。それが『必要になる』
 んだ。そうなると、誰かに「いやだ」と言われると、「はぁ? いや
 だ、だと?」と思うようになる。一体どのツラ下げて「いやだ」とか
 言っちゃってるわけ?みたいな。あのユダヤ人(入植者)たちがいか
 れてると自分が考えてることも一瞬忘れ、自分が平和を望んでいるこ
 とも忘れて、占領地(the terrirories)に俺らがいちゃいけないって
 か、俺に向かって「いやだ」ってのはどういう意味だ?ってね。俺さ
 まが法だ! ここでは俺さまが法なんだ!ってね。そうなってから、
 俺こういうの好きなんだなってわかるんだよ……
 
 ◆こういうところで、その兵士が大人かどうか、思慮分別があるかど
 うかが関係してくる――そういうものがいつでもどこでもあるかって
 いうのはちょっとわからないのだけど。ここで悲惨なことがたくさん
 起きる。18歳の人間にそういう力を与えた瞬間、その人間がとても
 おそろしいことをしてしまうことがある……
 
 ◆まったく正気の沙汰じゃないよ。あんたはそこに立ってる、イスラ
 エル国防軍(the Israel Defence Forces)の制服を着た兵士として
 ね。あんたは銃を持ってる。銃弾も込めて撃鉄も起こしてある。
 で――あんたバカ?みたいな。俺の命令に逆らうとはいい根性してる
 ぜ、こっちは撃とうと思えばいつだって撃てるんだからな、銃の台座
 でボコボコに殴ったろか、みたいな。したら、司令官はきっと俺の肩
 をポンポンと叩いて「よし、ようやくまともに事ができるようになっ
 たな」って言うだろう。俺はほんの子どもだ、生きるってことについ
 てほとんど何も知らない。俺の持ってる力は制服と銃だけ。これがあ
 るから何とか決意できてるわけで。
 
 ◆ここで自分的に普通になっちゃったのは、いわゆるデモクラシーっ
 てのがヘブロンでは跡形もなく消滅してるっていうこと。ユダヤ人は
 何でもやりたいようにやってる。ほんとただ単に、ルールなんてもの
 は何もない。
 
 ◆6ヶ月いて最終的にわかったのは、実際のところ、ヘブロンでは、
 ユダヤ人の襲撃からパレスチナ人を守らなければならないんだってこ
 と。ユダヤ人を守るんじゃなくてね……
 
 ◆家に押し入る。その家の人たちは別にまったく違わない、別の種類
 の人間ではない。体の特徴が僕の祖父に似てたりさえする、そんな人
 たちだ。……検問所を通してくれとあなたに頼み込まなければならな
 い老人、あるいはレントゲン写真をあなたに見せなければならない老
 人。どうしてこんなことがという理由はわからない……
 
*記事の訳文全文は、以下のいけだよしこさんのウェブサイトに。

http://www.geocities.co.jp/SilkRoad/2838/translation/macintyre_062004.html

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*写真展に展示された写真のいくつかは以下のサイトで見られる(ヘブ
ライ語なので、キャプションは読めないが)。写真はクリックすると拡
大される。(1枚を拡大すると、右上に「進む」「戻る」を表す「→」
系のボタンがあるので、それを押すと、全部の写真が見られる。「アラ
ブ人はガス室へ」と英語で書かれた落書きの写真も。目隠しされ、手を
縛られたパレスチナ男性たちが街路にぽつん、ぽつんと座らされている
写真 no.55が印象的。)。

http://www.shovrimshtika.org/hebrew/modules.php?name=coppermine

この写真展はイスラエル内を巡回する予定。テル・アビブでの会期中
に、イスラエル軍による捜索を受け、証言のビデオテープが没収され、
主催者たちは取り調べを受けたという。名目は「軍規に反した者を軍法
裁判にかけるための証拠探し」ということのようだ。占領のなかで犯さ
れる罪は、徹底して個人の兵士の責任になすりつけるという姿勢がわか
る。また、このような兵士たちの証言が今後も行われることを抑えるた
めに、軍法裁判を持ち出していると推察される。


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◇「「饒舌な」証拠写真」 編集部・ビー・カミムーラ

 イスラエル兵士たちによる写真展について、ハアレツやインディペン
 デントやガーディアンで記事が流れた直後、ナブルスでの活動家7人
 の暗殺が行われた(作戦名:「full court press」)。このナブルス
 での作戦を追っていて、奇妙な一連の写真が流れていることに気づい
 た。
 
 AP通信が流していたものだが、ナブルスで兵士たちが家宅捜索をし
 ている様子を撮したものが数枚。パレスチナ人の家に押し入った兵士
 たちの様子が数枚。カメラマンの名前は、ヨッシ・アロニとなってい
 て、イスラエルの「マアリヴ」紙とも提携しているようだ。
 
 今まで、そのような写真は見たことがなかった。作戦中の様子を間近
 から写真に撮らせることなど考えられないからだ。
 
 この1枚だけでも見てほしい。
http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/040624/481/jrl11806241814

 パレスチナ人宅の家宅捜索の様子を知っている人は誰もが「ありえな
 い!」と思うに違いない。(それどころか、日本の警察でもこんなふ
 うにするとは思えない)。タンスのなかを「非常に行儀良く」点検し
 ている兵士たち。タンスの中は全部放り出され、衣服は破かれ、食べ
 物まで散乱させて……というお馴染みの光景はここにはない。
 
 他にもこんな写真が。

規律をもって、捜索しております(6月24日) 
http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/040624/481/jrl12006241814

子どもたちもいる家庭に家宅捜索に入るイスラエル兵(24日)
http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/040624/481/jrl12406241856

家宅捜索に入ってきた兵士たちに子どもを抱いたまま向き合うパレスチ
ナ女性(24日)
http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/040624/481/jrl11706241816

 兵士たちの様子がどこかぎこちないことがよくわかる。
 
 撮した者、流しているメディアの意図はどうであれ、この映像が存在
 することができた理由は「エンベッド(従軍)」取材だからだ。
 
 見る者はそのことをどこかで嗅ぎ取らないとならないことを私は感じ
 た。個人的には、「沈黙を破って」写真展がイスラエル社会に突きつ
 けた兵士のイメージを「是正」すべく働く映像ではないかと思ってい
 る。
 
 それにしても、人の家でこんなふうに「おくつろぎになる」様子とい
 うのは、端から見ると、「ヘンだ」とは思うのだが。これでも「ピー
 スフル」ということなのだろうか↓。

パレスチナ人の家に押し入り、勝手にくつろぐ兵士たち(24日)
http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/040624/481/jrl12206241845

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◇「壁」が押し進める植民地政策

仏ルモンド・ディプロマティークからの記事で、重要な文章が日本語訳
されて出されているので、お知らせを。

「パレスチナ分離壁の陰の工業団地」メロン・ララポート特派員
(近藤功一訳)

http://www.diplo.jp/articles04/0406-3.html

パレスチナ農民から奪い取った隔離壁とグリーンラインの間の土地に工
業団地を建てるという計画を書いた記事で、「パレスチナ人の雇用につ
ながる」という美名で語られている植民地政策について書かれている。
そこはイスラエルの労働法の適用も、環境基準の適用も受けない「治外
法権」の場所。パレスチナ人が低賃金で労働させられるというだけでは
なく、工場からの廃棄物も規制されることがない。しかも、この記事に
よると、その工業団地を推進するパレスチナ人実業家が存在していて、
おそらくはその背後に自治政府も存在していることが記事から推測され
る。腐敗の根はとことん深いのかもしれないと気分が悪くなるが、大事
な文章。先日、来日されていたトゥルカレムのファエズさんも登場して
いる。

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◇訂正:ウェブでの写真リンクを直しました

7月1日付の通信のウェブ版にあった写真リンクがうまくいっていな
かったので、やり直しをしました。ついでに数枚を追加。直したものと
追加したものには「追加」と書いてあります。今なら、全部を見られる
と思います(時間が経つと、リンク先が消えます)。

http://www.onweb.to/palestine/siryo/nab1jul04.html

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◇イスラエル人権団体「ブツレム」のキャンペーン・ビデオ

アラブ風なポップスが流れ、パレスチナの検問所、道路封鎖などの様子
が映し出されるビデオクリップを「ブツレム」がキャンペーンの一環で
作っています。それが様々なPC環境から見られるようになりました。

http://palestine-heiwa.org/misc/ewo/
(パレスチナ情報センター)

「Eyes Wide Open」というキャンペーンソングは、イスラエルの有名
なアーティストたちが参加して作られたものだそうです。
もう少し詳しいことは

http://nekokabu.blogtribe.org/entry-50de36735dab0456d5bf9c67edad76a2.html

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◇編集後記◇
この間、事件が多くて、収録できなかった情報をまとめました。『沈黙
を破って』写真展は是非とも伝えておきたいものでした。兵士たちの証
言はいくつかが英語になっています。その一部を読んで思ったことは、
「所属組織にどっぷり浸かった日本のサラリーマンや官僚に似ている」
ということです。/ウェブで見られる兵士たちの写真で、もっとも強く
心を捉えたのは、数人の兵士が笑ってVサインをしている楽しそうな写
真でした。屈託のない笑顔を見せる若さ真っ盛りの青年たちが、また同
時に凄惨なことをしてしまっている/させられている事実に心がおのの
きます。(ビ)

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◇この文章は以下に掲載予定
http://www.onweb.to/palestine/siryo/breaksilence04.html

(掲載に少し時間がかかります)

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◇P-navi info  <http://nekokabu.blogtribe.org/>
[ほぼ毎日更新中。編集者ビーの速報、ミニ・インフォ、コラムなど]
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http://www.melma.com/mag/84/m00109484/
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