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311調査委員会の報告:なぜ国民党政府はETA説に固執したのか
http://www.asyura2.com/0406/war57/msg/487.html
投稿者 バルセロナより愛を込めて 日時 2004 年 7 月 10 日 04:22:58:SO0fHq1bYvRzo
 

311調査委員会の報告:なぜ国民党政府はETA説に固執したのか


311マドリッド事件のミステリーの一つが、国民党前政権が一体なぜあそこまでETA犯行説にこだわったのか、ということです。単に、選挙前で気が動転していてちょっとでも有利な情報にしがみついた愚かさ、と言ってしまえばそこまでなのですが、どうも割り切れません。20名を越す幹部・閣僚が誰一人として見解の修正を言わなかったのでしょうか。

過去の話に「もしも」は禁物かもしれませんが、あえて、もしも事件翌日の12日にでも『イスラム過激派の犯行の可能性が高い』と発表していたら、と仮定したくなります。もしそうだったなら、私は、国民党はあそこまでの敗北は喫しなかったのではないか、と思っています。社労党に僅差で敗れても保守系民族主義政党と連立して国民党内閣を守ることができたと思います。「うそつきめが!」「今までよくもだまし続けたな!」という怒りの爆発があの大逆転を呼んだと確信するからです。

選挙の3ヶ月近く前から「ETA!ETA!ETA!」と叫び続け、左派系政党をETAと結びつけてイラクでの大量破壊兵器の嘘をカバーしようとしていたのはミエミエでした。私が思っていた以上にスペイン国民は冷静にこれを見抜いていました。少なくとも有権者の20%くらいは。そして国民党は、狼少年が狼に食い殺されたように、最後まで「ETA!ETA!」と叫びながら墓穴に入っていったわけですが、もしも翌日にでも「ETAの可能性は薄れた。イスラム・テロの可能性が高い。我々は万難を排して国際テロと戦わねばならない」とアスナールが言っていたら・・・。

しかし現実にはご存知のとおりで、「スペイン国民はイラク戦争が311テロの原因だと判断してアスナール政権を退けた」つまり「テロへの恐怖→イラクからの撤退を選んだ」という『国際的常識』が作られてしまったようで、新政権の電光石火の撤退劇がその『常識』を打ち固めてしまった観があります。

私のような『国際的非常識』が笑いものになるのなら喜んで笑われましょう。しかしそのような『国際的常識』で、国民党前政権が一体なぜあそこまでETA犯行説にこだわったのか、という疑問に答えることは不可能でしょう。「誰か」が背後から国民党をそのようにコントロールしていた、と仮定しない限りは。そしてその「誰か」が昨年末からのETAの動きをコントロールし、同時に「イスラム過激派」の動きを秘密裏に作らせていた、と仮定しない限りは。また、その「誰か」がスペインに社労党政権を作ることでイラク戦争後の欧州と世界の新しい流れを演出している、と仮定しない限りは。


前置きが長くなったのですが、スペイン国会311事件調査委員会で、国民党はこの「なぜあそこまでETA犯行説にこだわったか」という疑問を、警備当局(国家警察、マドリッド警察、国家防衛隊)からの「誤った情報」のせいにして「責任逃れ」をするのに必死になっているように見えます。一見そのように見えます。しかし、それが彼らの背後にあったものを隠蔽するための工作であるとしたら、どうでしょうか。社労党は、国民党と対立して国民党の「責任逃れ」をしにくい証人を呼び、その判断のいい加減さを浮き彫りにする作戦のようですが、一見そう見えますが、「ETAが犯人だ」という誤った情報を流した責任者を明らかにしてそれを信じ込んだ国民党の責任を追及することで、逆にその背後を覆い隠そうとしている、と仮定したら、どうでしょうか。

何よりも、この委員会ではモサドやCIA、MI6、CNIなどの肝心要のデータが一切無いのです。その上で「イスラム・テロ」の神話だけが作られていきつつあるのです。

では7日と8日の新聞報道から、311委員会関連の記事を拾ってみましょう。すべて目次と簡単な内容の紹介だけとします。


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●まず、国家警察作戦行動部の元副部長ディアス・ピンタドの証言で、爆発物処理班の結論がまだ出ていないのに犯行に使用された爆薬が「ETAのものだ」という情報を警察幹部に伝えたのが、都市保安総局長官のサンチアゴ・クアドロである、とされました。そしてディアス・ピンタドは「これは重大な間違いだった」と認めました。一方で彼は「密告屋」の元鉱山労働者スアレス・トラスオラスの情報を手に入れる立場だったのですが、今年に入って「精神的な病気にかかるという不運」のためにトラスオラスの情報をつかめずに311を防ぐことができなかった、と証言しました。

『ETAの爆発物だと言ったのは都市保安総局長』(エル・ムンド)
http://www.elmundo.es/elmundo/2004/07/08/espana/1089286234.html

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●ところで、証人になったマドリッド警察の長官ランカニョは、事件翌日の12日午前中にはこの事件をイスラム・テロリストの犯行とほぼ断定して捜査を進めていたことを証言しました。「不発弾」となったカバンから発見された携帯電話のカードが手掛かりになった、というのがその理由です。

『マドリッド警察長官は、12日にはイスラム・テロの線で動いていた、と証言』(エル・ムンド)
http://www.elmundo.es/elmundo/2004/07/08/espana/1089279833.html

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●次に、警察中央情報部のラヨンは、3月13日の正午にはETA犯行説を完全に捨ててイスラム・テロとみなしていたことを明らかにしました。元内相のアセベスはそのときもそれ以降もETA説を固執していたのです。

『警察は3月13日にはすでに、アセベスがETAを第一にしていたにもかかわらず、イスラム系の犯行とみなしていた』(エル・ムンド)
http://www.elmundo.es/elmundo/2004/07/07/espana/1089204010.html

ところで全く同じ証言が新聞によっては次のように紹介されています。

『警察は13日までETAの犯行とみなしてPPの当初の見方を裏付けていた』(ABC)
http://www.abc.es/abc/pg040708/prensa/noticias/Nacional/Politica/200407/08/NAC-NAC-025.asp

ABCという新聞は、日本で言えば産経新聞にあたるようなもので、とにかく国民党べったりです。今年の1月にカタルーニャ左翼共和党党首がETAと接触したことをすっぱ抜いたのもこの新聞で、何のことはない、ABCの編集長の兄弟が中央情報局(CNI)にいるわけです。311事件までのドタバタ劇と3月14日の選挙での逆転劇は、実はこの報道がスタートラインになっているのです。

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●一方、国民党の委員で元内閣広報担当のサプラナは逮捕・拘束されている者たちを証言台に立たせるように再三要求しているのですが、311事件の捜査を担当する大法院判事デル・オルモは「機密」を理由に断り続けています。特に「密告屋」であるトレスオラスとラファー・ゾウヒエルに対してはガードが固いようです。

『捜査を担当する判事は「秘密」を繰り返す』(エル・ペリオディコ)
http://www.elperiodico.com/default.asp?idpublicacio_PK=5&idioma=CAS&idnoticia_PK=132118&idseccio_PK=8&h=040708

(なお、エル・ペリオディコは、過去の記事については会員制なのですが、登録さえすれば良く会費は無料です。少しでもスペイン語が分かる方は登録してはいかがでしょうか。)

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●一人ピエロ役を演じているのが元内相のアセベスで(この人、博多のニワカセンペイのような垂れ目で下あごを前に突き出して甲高い声でキンキンとしゃべるピエロのはまり役なのですが)、ETA説に固執したことへの言い訳に必死になっています。次の記事にあるように、イスラム系の犯行であることを強調しなかった警察が悪い、ということにしているようです。

『アセベス、警察はイスラムの線を強調しなかった、と断言』(エル・ペリオディコ)
http://www.elperiodico.com/default.asp?idpublicacio_PK=5&idioma=CAS&idnoticia_PK=132358&idseccio_PK=8&h=040709

ところが、エル・ペリオディコは上記の記事のすぐ後に次の記事を載せて完全にアセベスの言い分を否定しています。国家警察作戦行動部の元副部長ディアス・ピンタドは、11日の段階では「誤った判断で」ETAの爆薬であるとアセベスにつたえたのですが、事件翌日の12日夜にはETAの爆薬であることを否定しており、それにもかかわらずその後もアセベスがETA説に固執した、ということです。

『アセベスは警察の否定にもかかわらずETAの爆薬であることに固執した』(エル・ペリオディコ)
http://www.elperiodico.com/default.asp?idpublicacio_PK=5&idioma=CAS&idnoticia_PK=132383&idseccio_PK=8&h=040709

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今日までのところは以上です。

なぜ国民党政府がETA説に固執したのか、の本当の理由がこの委員会で明かされることは無いでしょう。せいぜい警察(の一部)の「誤った判断」を鵜呑みにして、また「イスラム・テロでは選挙に不利だ」という政治的判断から、固執し続けた、という「常識的な結論」が導かれるくらいでしょう。しかし私が現在までに阿修羅への投稿で訴え続けてきたように、それ以外でも多くのなぞや矛盾が露呈しているのです。これらの矛盾をつなぎ合わせることによってしか、深層を探ることは不可能だと思います。

なぜ担当判事のデル・オルモは「密告屋」たちの証言を許さないのか、なぜ社労党政権はそれをかばうのか、この辺に鍵が隠されていそうです。CNIの機密情報の一部はどうやら少しは公開されそうな気配なのですが、「イスラム・テロ」の全体像を把握するために必須のモサドやCIAの資料の公開はありえないでしょう。何せ自分らの正体もばらすことになりますからね。

【参考資料】

http://www.asyura2.com/0406/war57/msg/460.html
投稿者 バルセロナより愛を込めて 日時 2004 年 7 月 09 日 09:28:30
311調査委員会:社労党は「密告屋」の証人喚問を拒否

http://www.asyura2.com/0406/war57/msg/430.html
投稿者 バルセロナより愛を込めて 日時 2004 年 7 月 08 日 07:14:35
311調査委員会の経過報告:矛盾だらけ、バラバラ証言

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