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イラク:聖地ナジャフ衝突 泥沼の戦闘の背景探る (毎日新聞)
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投稿者 彗星 日時 2004 年 8 月 24 日 05:48:18:HZN1pv7x5vK0M
 

イラク:
聖地ナジャフ衝突 泥沼の戦闘の背景探る

 イラクのイスラム教シーア派の強硬派指導者、ムクタダ・サドル師がシーア派の聖地ナジャフを拠点に、イラク暫定政府や米軍に対し抵抗を続けている。同師の民兵組織「マフディ軍」と米軍・イラク治安部隊との戦闘やにらみ合いは収まらず、主権移譲後のイラクの治安の最大の不安定要因になっている。聖地を舞台にイラクを揺るがすサドル師派の思惑や、泥沼の戦闘の背景を探った。【バグダッド斎藤義彦】

 ◆サドル師 狙いは「反占領の英雄」

 「ムクタダは私の体に流れる血だ」。バグダッドからこれまで5回、ナジャフに行き、マフディ軍に参加したというバグダッドの男性(22)は興奮した様子で語る。

 18日まで2週間、ナジャフ北部の墓地を拠点に活動した。昼は地下で寝て、夜間、米軍を狙撃する作戦に従事した。食料、武器とも十分手に入り、旧イラク軍の暗視装置まで活用して「米兵を5人倒した」と自慢げだ。

 実家は陶器工場で金に不自由はなく、自動小銃も10万イラクディナール(約7500円)で簡単に手に入れた。家族も応援しているという。

 「占領はまだ続き、米軍は聖地を汚している。祖国と名誉を守るため戦う。死ぬのは怖くない」。数日中にまた、ナジャフに向かうという。

 マフディ軍は数百人程度とみられるが、イラク全土や国外からも熱狂的な支持者が集まり、力の源泉になっている。

 支持する動機は「反占領」だ。ナジャフに食料を運んでいるという無職の男性(45)は「サドル師はサダム時代もイラクを離れず、今もただ一人占領に抵抗している。真の愛国者だ」と話す。

 ●一般信者「盾」に

 ナジャフの聖地イマーム・アリ廟(びょう)には、約1000人が立てこもっている。廟に入ったメディアによると、サドル師支持者が大半を占めるが、中には「聖地を守るため」に来た女性や子供を含む一般信者が「人間の盾」として残り続け、医師、エンジニアなど知識層も少なくない。ある信者は「いつでも殉教する用意がある」と話している。

 サドル師一派がアリ廟にろう城を続けるのは「人間の盾」やアリ廟そのものの存在が大きい。米軍・イラク治安部隊が下手に突入して一般信者を傷つければ、人道上の問題が発生するだけでなく、「聖地を侵した」としてイラク人口の60%を占めるシーア派のほか、同派が主流のイランなどイスラム諸国から猛反発を招きかねない。

 同師としては「イスラム教徒対米軍」の対立図式を容易に作れるし、「聖地を守る英雄」になれる。ろう城には、そんなしたたかな戦略が見え隠れしている。

 ●治安悪化広がり冷める市民

 暫定政府は19日に「数時間以内の攻撃」をちらつかせたが、同師がアリ廟を明け渡すそぶりを見せたため突入のチャンスを失っており、困惑しきっているのが実情だ。

 一方、シーア派だけでなく、スンニ派の宗教勢力にも、暫定政府や米軍への反発が広がりつつある。スンニ派のイラク・イスラム聖職者協会は「サドル師を救うため」ナジャフに使節団を派遣することを決めた。同師の身の安全を保証するよう暫定政府との交渉にあたるという。

 ただ、一般市民は冷め切っている。バグダッド市内でも治安が悪化したため、薬局店主は「すっかり客足が落ちた」と困惑顔だ。男子高校生(16)は「スクールバスまで止まった」と語り、市民生活に大きな影響が出ている。

 自営業の男性(50)は「事実上、占領が続いているのは確かに嫌だが、武力で戦っても米軍に勝てるわけがない。じっと我慢して、少しずつ主権を回復していくしかない」と過激な抵抗運動を批判している。

 ◆自制の米 本音は「殺害か拘束か」

 「殺し屋集団」「自由なイラクの敵」「テロ組織との結束を誓った人物」−−これらはイラク暫定政府への主権移譲を控えた今年4月、武力闘争を激化させていたサドル師とマフディ軍に対し、ブッシュ大統領や米政府高官らが用いた表現だ。

 当時、ブッシュ政権はサドル師一派を国際テロ組織「アルカイダ」と同列視し、掃討作戦の主要対象とした。イラク駐留米軍はサドル師について「殺害するか拘束するかだ」と公言していた。

 6月末の主権移譲を経て表面的な状況は変わった。今、ホワイトハウスや国務省の報道官が語る米政府の公式見解は(1)イラクの主権は暫定政府が行使(2)サドル師とマフディ軍への対処も暫定政府がその権限と責任で決定(3)米軍は治安維持を支援するだけ−−というものだ。同時にマフディ軍が立てこもる聖地アリ廟について、宗教的配慮から米軍が攻撃を自制していることを強調している。

 こうした姿勢をとる狙いは、イラク国民とイスラム世界からの反発を回避することにある。暫定政府は米国の「かいらい」だという印象を薄めたい思惑も透けて見える。

 しかし、サドル師の「殺害か拘束」と、マフディ軍の壊滅が望ましいという本音は、変わっていないようだ。ラムズフェルド米国防長官は最近1週間に「サドルと支持者の行為は違法かつ有害だ」「彼(サドル師)はいずれ、今のような振る舞いは出来なくなる。平和的にそうなるかは疑問だ」といった発言を重ねた。穏健派のパウエル国務長官でさえサドル師らは「無法者の活動」をしていると非難している。

【ワシントン中島哲夫】

 ▽政治アナリストのサアド・ハサニ・バグダッド大教授の話 サドル師は政治家としても宗教者としても経験が浅い、いわば「アマチュア」だが、「反占領」を強く訴えることで、イラク戦争後、日の目を見ていない中下層階級から英雄扱いされるようになった。

 ただ、彼は世界を変革するような途方もない夢を描いているだけで、具体的に何を求めているのか分からない。そのため暫定政府が交渉に難渋しているだけでなく、支持者さえ、このままついて行くかどうか考え直し始めている。

 暫定政府は政治的プロセスに彼を参加させるつもりだが、もしそうなれば、具体的な戦略も目標もない彼は政治的に自滅するだろう。

 【ことば】ナジャフ バグダッドから約160キロ南にあるイスラム教シーア派の最大の聖地。預言者ムハンマドの後継者としてあがめられるアリの廟があることで知られ、シーア派の法学研究の中心地にもなっている。同派が多いイランからも年間数百万人の教徒が巡礼に訪れる。人口約60万人。

毎日新聞 2004年8月23日 0時56分
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/afro-ocea/news/20040823k0000m030126000c.html

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