フランスの各メディアも、どうやらこの犯行声明をテンから信用していない。扱いはごく小さく、これを見出しに使っている新聞は１紙もない。先月、地下鉄車内でイスラム系の若者に襲われたと女が訴え出て、４日後に嘘だったと自白した狂言事件以来、メディアも当局も今回は慎重に構えている。ユダヤ、イスラムの対立関係を増大させまいとする配慮も見える。ただ有力ユダヤ人団体が「放任主義だ。早く犯人を捕まえろ」「手ぬるい治安体制を一新せよ」などと盛んに息巻いているのが目立つ。シャロンが何も言わないのが気味悪いくらいだ。

シャロンとブッシュは恐らく、対アラブ戦略、目下はイスラエル対パレスチナの戦いを、対テロ戦争という名目でヨーロッパに拡大したいと思っているだろう。最近フランスで頻発しているいわゆる反ユダヤ主義的事件はその兆候に見える。フランスはそれにどこまで抵抗できるか。明日水曜日はパリ解放６０周年、記念行事が予定されているが、何かが起こりそうな気がする。

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