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ミロセビッチ「歴史の偽造」を非難(エル・ペリオディコ)
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投稿者 バルセロナより愛を込めて 日時 2004 年 9 月 02 日 07:37:21:SO0fHq1bYvRzo
 

ミロセビッチ「歴史の偽造」を非難(エル・ペリオディコ)


9月1日付のエル・ペリオディコ紙(電子版)は、ハーグの国際刑事裁判所で審理の続いている元ユーゴスラビア大統領ミロセビッチへの裁判に関して、次のような記事を載せています。(全訳します。)


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ハーグでの裁判
『気位の高いミロセビッチは、裁判官が「歴史を偽造している」と非難』

・ 元ユーゴスラビア大統領は1000名以上の証人を要請するだろう

(エル・ペリオディコ:ハーグ)

微妙な健康状態のために2回延期された後、ユーゴスラビア元大統領スロドバン・ミロセビッチは昨日、旧ユーゴスラビアに関して彼の戦争犯罪を裁く国際刑事裁判を「憐れみ深い嘘で固めて歴史を偽造している」と非難しながら、自分の弁護を開始した。ミロセビッチは150日を使ってその主張を論述するのだが、彼自身が自分の弁護人になり、すでに頼んである1000名以上もの証人を個人的に集める、と主張している。その中には英国首相のトニー・ブレアーと米国元大統領ビル・クリントンも含まれている。

63歳のミロセビッチは、以前よりも控えめだが、気位の高さを見せ、そして旧ユーゴ国際刑事裁判を「違法である」と述べた後、「ユーゴスラビア紛争で真に罪を問われるべきは西側諸国、特にドイツ、米国である」と断定した。その後この元大統領は次のように主張した。「わが国は、自らの崩壊を拒否したという理由だけで国連から追放された。」

一方、進行役を勤めるオランダの法律家ハイケリナ・ヴェリンジン・スツアルトは、「彼の言い分は法的には有効かもしれないが、この裁判の中では通用しない。なぜならミロセビッチはあの紛争で起こった人権の蹂躙に関して罪を問われているからだ。

このセルビア民族主義者の元リーダーは、延々と続く罪状に直面しているのだが、虐殺、戦争犯罪、人権蹂躙の66件に責任を問われるだろう。そして、90年代の間にそのバルカンの国を分けたクロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナとコソボでの紛争の最重要責任者の一人として告発されている。9月7日にミロセビッチによって求められた最初の証人の陳述は、まだそれが誰か確認されていないが、「ある重要な専門家」であるとされる。

http://www.elperiodico.com/default.asp?idpublicacio_PK=5&idioma=CAS&idnoticia_PK=144771&idseccio_PK=7&h=040901

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上の訳文で、見出しの「気位の高い」と約した”altovo”は「威張った、高慢な」という訳もできまし、「偽造する」は”falsear”でこれは「偽る、歪曲する」とも訳せます。また1段落目の「憐れみ深い嘘で固めて歴史を偽造している」と訳した箇所の「憐れみ深い」という単語は”piadoso”という形容詞なのですが、これは辞書的には「敬虔な、信心深い、情け深い」という意味で、「嘘」に付いた場合にどのようなニュアンスになるのか、今の私にはよく分かりません。ミロセビッチの敵に対してばかり「情け深い」という意味なのか、反語的表現の単なるイヤミなのか、あるいは一見高邁で人道主義的な姿勢を見せびらかしながら実際にはそれで薄汚い野望を覆い隠している米国を中心としたNATOと国連への痛烈な皮肉なのかもしれません。

スペインの他の新聞にもこの裁判の記事があったのですが、見出しにミロセビッチ自身の「歴史を偽造している」という言葉を載せているのはエル・ペリオディコ紙だけでしたので、これをご紹介しました。

旧ユーゴの紛争は、ボスニア・ヘルツェゴビナでのセルビア人による「強制収容所」報道が真っ赤な偽物であったり、コソボ紛争で大量の劣化ウラン弾が使用されたり、中国大使館がミサイル攻撃を受けたり、と、さまざまな疑惑・胡散臭さに満ちたものでした。

今ちょっと資料が見つからないのですが、コソボ紛争当時にこちらのテレビニュースで、スペイン、ドイツ、イタリアの兵士数名が謎の癌にかかって死亡したことが報道されていた記憶があります。そのとき「劣化ウラン弾の関係かな」と感じたのですが、その後全く取りざたされなくなりました。

どちらの紛争もあらゆるマスコミは「セルビア人が悪い」と一方的に決め付けていたようで、その上で米軍を中心とするNATO軍がコソボ紛争に介入して、挙句にミロセビッチが逮捕されました。

この経過を見ていますと、第2次大戦末期の、大量のドイツ・ナチス幹部(クロアチアのナチス、ウスターシャを含む)がアメリカとの密約とバチカンの協力によって南米に移住したことを想起します。もちろんその後の「冷戦」中に旧ナチ特務機関の流れを汲むゲーレン機関が米国諜報組織の一部として働いたことも。ナチスに最も抵抗したのはセルビア人たちですが、この悪魔集団の流れが邪悪な蛇のようにしつこくかつての恨みを晴らしつつ以前無し得なかったバルカンの支配を果たそうとしているのではないか、と、そんな妄想すら沸いてきます。

確かにミロセビッチは排外主義者、独裁者だったかもしれませんが、それとてもマスコミが一方的に作り上げた虚像かも知れず、その虚構の上に戦争という現実を積み上げていったようにも思えます。この旧ユーゴ紛争は、湾岸戦争からイラク戦争へとつながる十数年の現代史の中で、米英イ支配層のやり口が如実に垣間見れる好例の一つなのでしょう。

この裁判の過程もまた今からの注目点の一つです。ミロセビッチがどのように自己自身の弁護をしていくか、どのように欧米支配層の欺瞞を暴いていくか、そしてマスコミが、あるいはインターネットの情報網が、どのようにこれを報道するか、じっくりと見ていきたいと思います。

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