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「日米中トライアングル・クライシス」 寺島実郎 日本の戦略は米軍基地なき安保への移行である
http://www.asyura2.com/0406/war60/msg/1004.html
投稿者 TORA 日時 2004 年 10 月 03 日 15:39:24:CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu80.htm

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「日米中トライアングル・クライシス」 寺島実郎
日本の戦略は米軍基地なき安保への移行である

2004年10月3日 日曜日

◆司令部移転の合意目指す 米軍再編で政府
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040917-00000004-kyodo-pol

政府は16日、在日米軍再編問題で、米側が早期実現を強く求める在日米軍の司令部機能移転に関して年内にも基本合意を目指す方針を固めた。複数の政府関係者が明らかにした。
 小泉純一郎首相が21日にニューヨークで行う日米首脳会談で、早期合意に努める姿勢をブッシュ大統領に伝える見通し。協議が進めば12月に外交、防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)を開く方針だ。
 協議の対象は、日本側が求める横田基地(東京)の軍民共用化と管制権返還や、米側提案のうち大規模な部隊、訓練の移転を伴わない(1)横田基地の米第5空軍司令部とグアムの第13空軍司令部の統合(2)米ワシントン州の陸軍第1軍団司令部の「キャンプ座間」(神奈川)への移転−−などが柱。
(共同通信) - 9月17日2時38分更新

◆日米中トライアングルクライシスをどう制御するか 寺島実郎 中央公論
http://www.chuko.co.jp/

今回の安保再定義について、日米安保の性格が一九六〇年の安保改定当時のソ連封じ込めのための極東有事対応同盟から、広くアジア・太平洋地域の平和維持装置に変質しようとしていることについての懸念一か指摘されている。確かに「極東条項」の拡大解釈は危険であり、個人としては反対である。

しかし、この点は、湾岸戦争のときの沖縄基地が既に実証したように、実態として中東を含む地球の半分に展開するグローバルな軍事戦略のなかに組み込まれた前方展開基地としての性格を在日米軍基地が持つ以上、これまでも有事のときは米軍のオペレーションに日本が自動的に巻き込まれていく可能性を孕んでいたわけで、むしろ公式の相互了解か実態に近づいたともいえる。

問題は日米安保の対象地域の広域化よりも、現実に、アジア・太平洋地域の有事の局面で、米国に対し何をどのように協力するのか、あるいはどこで一線を画すのか、日本が主体的に判断・制御する能力を持っているのかなのである。

つまり、たとえ日米安保の対象地域の広域化や、日本の米軍支援体制強化が合意されたとしても、すぺての対象地域内の紛争に日本が米軍支援の行動を起こすべきではなく、その局面での「日本の判断」(可制御性)が大切なのである。私は、日米防衛協力体制の強化と日本の主体性確立を並行して追求することは可能であり矛盾しないと考える。

むしろ、この二つを両立させることが日本の国益であると判断する。何よりも強調したいのは、日本の主体性確立であり、有事の際、米国の行動と一線を画し、日本自身が自らの判断で行動選択できる体制と基盤を構築していくことの重要性である。

自動的になんとなく米国の「正義の戦争」に巻き込まれていくのではまずいのである。日本は考えられる有事を想定し、情報体制を装備し、有事を回避する努カとともに有事局面での最適な日本の対応戦略を瞬時に判断できる条件を整えていかねぱならない。

私たちは、五年前の湾岸戦争で、日本の現実がいかに悲しむぺきものであるかを味わい尽くした。アラン・フリードマンの『誰がサダムを育てたか』(邦訳、NHK出版)において検証されているごとく、湾岸戦争とは、七九年のイラン革命に衝撃を受げた米国が、イランとの対抗上、八○年代を通じイラクを支援しつづけ、「米国自身がイラクヘの融資と情報提供と技術輸出の大方を容認・助長し、そのためサダムの軍事的脅威を肥大化させ、戦争という手段で叩いておとなしくさせるしか方法がなくなったというのが真相」という面がある。

つまり、米国の地域政策の失敗をいつのまにか糊塗し、「世界秩序のための日本の国際責任」とか「日本の生命線、石油資源確保のための当然の分担」という名目で、「周辺国援助も含め多国籍軍に一三〇億ドルの資金拠出」という事態が起こったのである。

日本がよほどしっかりした判断軸を持って行動しないかぎり、今後も同じような局面に立たされることが予想される。安保問題における日本の主体性確立のための具体的目標は、在日米軍基地の縮小であり、「基地なき安保」への段階的移行である。

米国人の対日深層意識のなかに否定的感情・若干の蔑視かあることを紹介したが、不公正でズルいという.対日感情のなかに、どうしても「防衛タダ乗り(フリーフィダー)」的な日本認識がこびりついていることも事実である。

国際社会で敬意を得るためには、少なくとも自分の国のなかに外国の軍隊が四・七万人も存在し続けていることに鋭い問題意識を持たなげればならない。語りたいのは、偏狭なナショナリズムではなく、しなやかなグローバリズム、国際常識である。

ドイツにも米軍基地はあり、基地の存在が必ずしも日本の自立・自尊の問題とは緒びつかないという議論もある。しかし、ドイツの場合、戦後五〇年間常に基地の問題を見直し、NATOという仕組み、さらには欧州安保協力機構(OSCE)という集団安全保障の仕組みに米軍基地のブレゼンスを相対化さぜる努力を積み上げてきている。

日本の場合、戦後五〇年、自国の安全保障について、米軍への依存に慣れきってしまい、民族の誇りをかけて、基地問題を交渉のテーブルにのせることをしてこなかった。基地を縮小することは、自前で自らの安全を確保する責任を高めることであるが、同時に基地が存在するごとによって米国の戦争に巻き込まれる危険を抑制することでもある。

しかも、日本が基地縮小を求める以前に極東情勢の変化や米国内の「内向き志向」を背景に、米国自身がアジア政策を転換し、基地縮小・撤退へと踏み切る可能性もある。であるならば、「基地縮小」の長期プログラムを模索しつつ安保の見直しを進めていくことは、準備されるべき合理性の高いアプローチである。

基地縮小を進める一方、日米の軍事協力については、公平で双務性のある協力体制へと踏み込み、日本が主体的に支援すぺきと判断することについては、米国に対し積極協力することが求められる。その文脈において、「日米防衛協力のためのガイドライン」見直しが重要なのである。

確かに、日米の軍事協力強化が、「憲法が禁止するとされてきた集団的自衛権の行使」につながらないように新ガイドラインをまとめることは、容易とは思えない。しかし簡単に「解釈改憲」で協力の枠を拡大していくのではなく、いざ有事が発生した場合も、そのときの日本国民が主体性をもって憲法の制約を熟慮しながら協力の範囲を決めることが大切なのである。

同時に、そのためには、日本に対する軍事攻撃がなされた場合、過剰に米軍に依存せざるをえない状況を改善し、「個別的自衛権」の範囲内で強い専守防衛力を装備すべきである。自己制御の効いた専守防衛力の強化のためにも、例えぱ高度なミサイル防衛網を整備することなど、自助努力が大切なのである。

日本の主体性を強調してみても、日本はつまるところ米国の核の傘に守られており、日米安保という枠内では「主体性」にも限界があるという指摘もある。しかし、冷戦が終わり「核抑止力」という概念も変質しつつある。

先に触れた前国防次官補J・ナイ教授の論文「情報革命と新安全保障秩序」のごとく、米国のなかにも「核の傘に代わる情報の傘」というゲームの変質に気付いている議論もある。また、ソ連の核に対する「抑止力」の時代と異なり、将来ありうべきアジアの複雑な核開発の状況を想定していかねばならない時代に向けて、ただ米国の傘の下にいれぱ安全ということでもない。

世界の核を巡るゲームが複雑化するほど、非核政策を貫くことが、日本にとっての有効な「核抑止力」となるであろう。核は軍事的兵器というよりも、人類の存続さえも否定しかねない究極の「神学的兵器」であり、非核は「恐れを知ること」である。

核を、使えない兵器とするためには自ら核武装ゲームの外に身を置くことが求められる。基本的に、日本は、日米の二国間の関係、つまり経済・軍事両面における同盟関係を基軸にしながら、アジア・太平洋の多国間の新たな秩序創造を求めて生きていかねばならない。

その際、米国のアジア・太平洋外交は不安定で継続性・戦略性において確実なものではないことを前提に日本の進路を考えねばならない。なるほど米国の情報技術での優位性や、軍事プレゼンスヘの役割期待の高まり、さらには産業の再活性化などの意味においては「アメリカの世紀」の再生を思わせるものもあるし、「自由と民主主義」という米国流理念を掲げて押し出してくるバターンには一定の継続性も有している。

しかし、自国利益優先(アメリカ・ファースト)に傾斜しつつある米国民の「意識の内向」、さらには政治指導層の定見と責任意識の拡散をみつめるならぱ、米国が体系性あるアジア・太平洋外交を構築してくることは期待できない。

外交とは、自らの運命を自ら決する決意なくして成立するものではない。ましてや、日米中トライアングルの制御そして多国間の外交の時代を舵取りするためには、自らの力を冷静に認識しつつ、目指すべき「理念」を掲げ、それを具体化するための政策構想を構築していかねばならない。

奇しくも、九六年春は、司馬遼太郎と高坂教授という二人の日本の進路を歴史的視界から論じてきた知性を失った。司馬遼太郎が重視した「商人国家のリアリズム」、高坂教授が指摘していた「通商国家日本の運命」を直視し、私たちは進路を模索していかねぱならない。

米国の倭小な追随者でもなく、かつ中国周辺国への転落でもなく、戦後日本人が大切にしてきた「軽装備経済国家」としての道を、グローバル・ユコノミーの時代に生かしていかねばならない。放っておけぼ「自然鎖国」になりかねない日本において、歴史の長期展望に立った国際関係を構想するという作業に、心して挑戦しなけれぱなるまい。
(中央公論 1996年8月号)


(私のコメント)
最近の一連の米軍再編に関する日本側の対応を見ると、日本の政治家や官僚たちは何の戦略も考えていないようだ。ただ小規模な手直しをして基本的な問題はみな先送りにしてしまう。このまま放置していれば日本の政治家や官僚たちは、米軍が日本に半永久的に居座ってしまうことを容認しかねない。

頭の空っぽなポチ保守たちは、これで日本の安全性が高まったとバカなことを言っている。むしろ60年近くも外国の軍隊が駐留していること自体が異常なことであり、日本は本当に独立国なのか、疑っているのですが、このような疑問を持っている日本人は僅かしかいない。みんなマスコミに洗脳されて自分の頭で考えることをしなくなった。

日本は自主防衛しますから米軍はお引取りくださいとなぜ言えないのか。ポチ保守たちは金がかかると言っていますが、目に見えない形でアメリカに巨額の金を毟り取られていることには目をつぶっている。アメリカ人たちは心の中では安保ただ乗りで日本はけしからんと思っているのでしょうが、だからこそアメリカ政府は平気で内政干渉をしてくるのだ。

北朝鮮の脅威にはどうするのかと心配する人がいますが、石原慎太郎が言っているように、日本に数発のノドンミサイルが飛んできたほうが、日本人の目を覚まさせるにはちょうどいいだろう。今のところミサイル迎撃システムが無いから、ミサイルが飛んできたら防ぎようがありませんが、結局はミサイル基地を叩くしかない事が良く分かるだろう。

現代の戦争はどこまでが防衛で、どこまでが攻撃かはっきり分からないから、ミサイルに燃料を注入しているかどうかは、理念上の法律論争に過ぎない。今のところ戦争への緊張が高まったら、報復攻撃の意志をはっきり示すことで、相手の国が攻撃を思いとどまらせるしかない。

もし中国が核で脅迫してきたら日本国民はどのように反応するだろうか。今のところはアメリカの核の傘の下だから、のほほんとしていますが、日米安保がなくなれば日本国民の国防意識もだいぶ変わるだろう。今の日本は左翼の反戦平和主義とポチ保守の日米同盟とがセットになっている。

寺島実郎氏は非核の原則を貫けと言っていますが、私は主だった国は皆核武装すべきだと思っている。世界の国の指導者は戦争すれば核ミサイルが真っ先に首都に飛んでくることが分かって戦争するだろうか。アメリカだってイラクにアメリカまで届く核ミサイルがあったらイラク戦争ができたろうか。出来はしない。

北朝鮮の金正日が必死になってミサイル開発と核兵器の開発に全力を注いでいるのも、核武装すればアメリカは攻めてこないと思っているからだ。韓国だって密かに核開発していたし、いずれは世界中が核兵器で武装するようになるだろう。インドやパキスタンやイスラエルなど冷戦時代のアメリカ、ソ連の力をもってしても核武装は止めることは出来なかった。

いささか逆説的ですが、世界中が核武装すれば世界から戦争はなくなるだろう。一番恐ろしいのは狂った独裁者が出てきて、世界滅亡覚悟で核戦争を始めることですが、アメリカがその恐ろしい国になる可能性がある。アメリカのカルト宗教である福音派はキリストの再来を信じ核戦争を望んでいる。その福音派が選んだ大統領が現在のブッシュ大統領だ。

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