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憎まれ愚痴推奨:東京新聞特報:喜納昌吉氏 沖縄の視点
http://www.asyura2.com/0406/war60/msg/1097.html
投稿者 木村愛二 日時 2004 年 10 月 05 日 00:00:26:CjMHiEP28ibKM
 

これは結構良い記事である。

「一九九六年の合意そのものが沖縄の声を反映していなかった」

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20041003/mng_____tokuho__000.shtml
特報:喜納昌吉氏 沖縄の視点

 「すべての武器を楽器に」。沖縄を拠点に音楽活動する喜納昌吉さん(56)の呼びかけは、基地の町の日常から出た骨太なメッセージとして響く。米軍ヘリは墜落事故後も頭上を飛び交い、県民の怒りは収まらない。小泉純一郎首相は一日、在沖縄米軍基地の一部本土移転を初めて表明したが、地元には不信感も強い。参院議員に初当選した今、平和の歌をどこに向けるのか。沖縄からの視座とは。 (松井 学)

 米軍ヘリの拠点、普天間飛行場(宜野湾市)の日米返還合意から八年。代替地の辺野古(へのこ)沖移設ばかりが焦点となってきたが、墜落事故は普天間の危険な日常を浮き彫りにした。米軍は事故後もヘリの発着を繰り返し、事故機と同型機の試験飛行も通告してきた。喜納さんは声を上げる。

 「辺野古移設には断固反対する。し、沖縄が自ら基地建設を認めてしまった歴史はこれまでない。ところが、辺野古を含む北部振興策には十年間で一千億円が投じられる。普天間でひどい事故が起きたばかりなのに、沖縄県内への移設で政府は再び沖縄を犠牲にするつもりだ。沖縄ではいつも基地で恩恵を受ける人と、基地反対の人とがけんかをさせられ、全体として反対の声が高まらない」

 一方で、小泉首相は一日の講演で、在日米軍再編問題をめぐり、沖縄の米軍基地の本土移転を進めたいとの考えを初めて示した。普天間の返還合意がぬか喜びに終わっている現状の中、二日付の琉球新報は首相発言に「もうだまされない」との県民の声を報じた。

■日米両政府に「利害計算」が
 喜納さんはこう訴える。「世界的な米軍再編の動きの中、米軍の方が在沖米軍基地の縮小の余地があるとみている。普天間も、辺野古も米軍の戦略上もはや重要ではない。だから小泉政権は、普天間返還の実現を次の政局のサプライズに必ず使う。辺野古移設見直しも打ち出し、本土に持っていこうとするかもしれない。しかし本当に沖縄の危険負担が減るのか、だまされずに日米政府の利害計算を見抜いていかなければ」

 喜納さんには、沖縄は日米安保体制や時代の流れにほんろうされてきたという強い思いがある。県民感情には今も屈折があり、九五年の米兵による少女暴行事件にも表れたとみる。

 「事件後、宜野湾市で八万五千人の抗議集会があった。ただ、基地反対運動の勢いは一瞬で消えてしまっている。翌年の普天間の返還合意をはじめ、準備されたかのように日米政府の対応策が出てきたからだ。反対運動が県民感情の『自然発火』であれば、簡単には終息しないはずなのに、政府をはじめ他人に火をつけられているから県民感情が政治的にコントロールされてしまうのではないか。沖縄の内側にいるともどかしさを感じる。僕らが本当の火をつけていかないと」

 本土の沖縄ブームを見る目も慎重だ。NHKのドラマ「ちゅらさん」や「癒しの島」イメージなど若者が好きな沖縄と基地の沖縄はどう結びつくのか。
 「沖縄の海や空をはじめドラマはきれいな部分だけを描く。逆に米兵の犯罪や基地問題は出てこない。これは意図的だ。ドラマの視聴者は楽しんでいいとしても、作り手に対しては強い不満がある」
 喜納さんは沖縄人の心の奥底を歴史を踏まえて解説する。江戸時代、薩摩藩(現在の鹿児島県)島津家は琉球王国を実質統治下に置き、多額の税を課した。
 「薩摩が入ってきて沖縄から搾取する傀儡(かいらい)政権をつくった。第二次大戦の敗戦後、沖縄は米国統治になった後、また日本に戻った。しかし、搾取する側は変わっても、沖縄が搾取される体制はいまも続くとみる方が正しいのではないか。歴史を『時間』でみれば遠い過去でも、『トラウマ(精神的外傷)』としてみると現在も痛む傷が残る。沖縄にとっては薩摩の時代から続く傷がうずいている」
■官僚システムが自立を阻む一因
 現在、沖縄には国の出先機関の沖縄総合事務局がある。沖縄の自立を阻む一因に官僚システムがあるとも批判する。
 「沖縄への公共事業補助金をみると、財布の入り口と出口が総合事務局と防衛施設庁にしっかり握られている。そのうち八、九割は本土の大手企業に吸い上げられるという指摘もあり、県内の一部の受益者を除くと多くの弱小企業は追い落とされているとの不満が強い。沖縄が経済的に自立できない現状につながる」
 沖縄では米兵による人権犯罪や基地問題はじめ、憲法が定める戦争放棄や基本的人権、財産権などが守られない日常がある。「沖縄は第二次大戦の苦しみの中から平和憲法の国を目指して祖国復帰を果たしたが、小泉政権は戦争法案といわれる有事立法を立て続けに制定した」と訴えてきた。
 「憲法九条が空洞化されるならば、沖縄の復帰運動とは何だったのか。沖縄は憲法一条にではなく憲法九条に復帰したはずだ」
 「憲法九八条には国際条約の順守が織り込まれ、これによって憲法は日米安保条約のさらに下に位置づけられてしまっている。護憲や改憲を超えて、憲法の独立を果たすという次元から憲法問題をとらえなければ。民主党が真剣に憲法問題に取り組むのなら、まず論憲でその制定から現在の拡大解釈へ至った経緯を総括し、創憲で憲法九条を基本にしたいっそう平和的な世界を目指し、日米安保条約を対等な平和友好条約へと切り替える。そうすることで憲法の独立がかなう」
 喜納さんは九五年に沖縄伝統の船「サバニ」をこいで与那国島から広島、長崎まで回った。分かったのは「魚や鳥には国境がない」ことだった。その目は「沖縄の独立」に向けられる。
 「もし日本が憲法九条を捨てるというのなら、沖縄がその精神をもらって独立しよう。その上で沖縄がどこに向かって独立するか。僕は未来に対して独立しないと意味がないと思う。『国境主義からの独立』だ。海に乗り出した時、風や雲には国境がない。国境を自由に行き来できないのは人間だけで、ここに争い事の根源もあると知った。戦争も環境問題も地球規模の問題なのに、国家レベルの対策では間に合わない」
■平和は人類の最高のアート
 「四十年以上にわたり平和の歌を書き、演奏してきた」。喜納さんが先月二十五日、第二回世界平和音楽賞を受けた理由だ。同賞は、ベトナム反戦運動に力を尽くしたジョーン・バエズさんやPPMのメンバーもたたえた。授賞式で喜納さんは「すべての武器を楽器に」と呼びかけた。世界の平和の現状はどう映るのか。
 「世界にはあまりにも戦争があふれている。よくミュージシャンの平和運動は抽象的で効果はどうなのかと問われる。平和運動は戦争があってから起こるリアクションになりがちだ。でも、本当は平和は戦争よりも先にあるアクションであっていいはず。平和は一人でつくれるものではない。だから平和とは人類の精神の最高のアートではないだろうか。僕は、ミュージシャンというより平和アーティストでありたい」
<メモ>
 きな・しょうきち 1948年、沖縄市(米軍占領下のコザ)生まれ。沖縄国際大中退。「ハイサイおじさん」「花(すべての人の心に花を)」が大ヒット。2002年に「すべての武器を楽器に」をスローガンに、武器を集めて溶かし平和のモニュメントを造ることなどを目的としたNGOを設立。今年の参院選比例代表で民主党から立候補、当選。

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