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TUP速報382号 バグダッドから友へ 04年10月4日
http://www.asyura2.com/0406/war60/msg/1173.html
投稿者 Kotetu 日時 2004 年 10 月 06 日 03:45:30:yWKbgBUfNLcrc
 

(回答先: サマラ炎上・・・>Baghdad Burning 2004年10月3日(日) 投稿者 Kotetu 日時 2004 年 10 月 06 日 01:11:12)

TUP速報382号 バグダッドから友へ 04年10月4日


アバターとは?

バクダッドのアメリカ人記者が友人に宛てたメール
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ウォールストリート・ジャーナルといえば、米国を代表するメジャー新聞の一
つです。そのバグダッド特派員が、友人にあてて書いた手紙が、チェーンメール
として世界中のネットをかけめぐっています。
 この個人メールには、記者本人の生々しい本音が書かれており、想像以上にす
さまじいイラクの混乱が伝わってくるようです。

              パンタ笛吹・TUPメンバー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ☆バグダッドから友へ☆

                  ファルナーツ・ファッシーヒ
                  バグダッドにて 9月29日

 このごろ、外国人特派員としてバグダッドに駐在するということは、ホテルの
一室に自宅軟禁されているようなものだ。私がジャーナリストになりたかった理
由は、「世界をめぐり、異国の人々と交わり、特ダネを報じて社会に貢献したか
った・・・」なんてことなんだが、今はもうそんなことはどうでもいい。

 ここの状況は、日に日にひどくなっていくばかりだ。ホテルの外は危なすぎて
歩けない。友人の家をたずねて行けないどころか、コンビニで買い物も、レスト
ランで食事もできやしないんだ。取材にも行けないし、人とも話せないし、英語
もご法度だし、ダメダメダメ、できないことだらけだ。

 バグダッドに来て以来、危機一髪で命びろいをしたことが、もう何度もある。
この前などは、車両爆弾がホテルのすぐそばで爆発して、私の部屋の窓がすべて
割れたくらいだ。
だから、いまの私の望みといえば、あっと驚く特ダネをゲットすることではなく、ただただじっとしていて、自分とイラク人の助手が生き延びることなんだ。命が
あってのものだねだ、記事なんて二の次だ。

バグダッド市内だけで、この4日間に110人が殺され、300人が負傷した。
イラク厚生省はそのガラス張りの公正さを印象づけるために、今まで暴力による
死傷者数を発表してきたが、近ごろはその数がショックを受けるくらいに多いの
で、公表を止めたくらいだ。武装勢力による米軍への攻撃は、一日に87回にも
のぼるのだ。

 友人がサドル・シティーをドライブしてきたのだが、そこでは、若者たちが我
が物顔で、自家製爆弾を道に埋めていたという。彼らはアスファルトを掘り起こ
し、爆弾を隠したあとに土をかけ、その上に古タイヤなどを置いて、そこに罠が
仕掛けられていることを隣人に報せているそうだ。

また、サドル・シティーの大通りには10メートルごとに10個以上の地雷が仕
掛けられており、友人はそれら地雷を避けながらヘビのようにくねくねと運転し
なくてはならなかったという。

大通りに面した壁の裏側では、怒ったイラク人たちが、米軍車両が近づいてきた
ら地雷を爆発させてやろうと手ぐすねをひいて待っている。その辺はシーア派住
民が住む地域だ。シーア派の人々は、イラクを開放してくれた米軍に感謝してい
るはずだったのに・・・。
われわれジャーナリストにとって、連続して起こる誘拐事件はもはや人事ではな
くなっている。特に誘拐された米技術者が二人とも首を切られて殺されたのには
参った。

彼らは高級住宅地に住んでいて、イラク人たちの好感を買うために、自分の家の
動力発電機で起こした電気を無料で近所の人々に流していたという。その日も朝
6時、米国人の一人が発電機のスイッチをいれようと外に出たところ誘拐犯に連
れ去られた。
そして数日後、彼らのばらばら死体は、その家の近所に投げ捨てられていたのだ。
私は米国大使館と米軍と外国人特派員とが誘拐について話しあうミーティングに
参加した。そこでは、背筋が寒くなるような「誘拐の3ステップ」という話を聞
かされた。

ステップ(1) 犯罪者があなたを誘拐する。

ステップ(2) 犯罪者があなたをファルージャにいる元バース党員に売る。

ステップ(3) 元バース党員はあなたをアル・カイダに売る。

・・・そのかわりに、アル・カイダから大量の武器とお金が元バース党員に渡り、またその一部が犯罪者たちに渡るという。

友人のフランス人ジャーナリスト、ジョージは一ヶ月前に、ナジャフに行く途中
で誘拐されたが、いまだにその生死も分からない。

米軍が手際よくこの国から撤退できるとしたら、イラク国防軍や警察がその切り
札になるって? そう、米政府は何百億円というお金を彼らの訓練に費やしたも
のね。

しかし毎週、イラク人警察官が数十人単位で襲われ傷ついていて、すでに700
人が殺されてしまっているのだ。さらに、武装勢力側のスパイが、軍や警察の内
部に深く浸透している。味方だと思って雇った人間の多くが、実はゲリラ側の兵
士だったという問題は非常に深刻だ。米軍は訓練したばかりの三万人のイラク人
警官たちに、六億円を分配して密かに解雇していたくらいだからだ。

こんな戦争、誰の得になっているというのだろう? 戦う価値なんてあったのだ
ろうか? イラクでは、サダムは逮捕されたけど、アル・カイダが暴れまわるよ
うになった。そんな状況で、アメリカがより安全になったなんて言えるのだろう
か?

今日、教養のあるイラク人が私にこう言った。

「もしサダム・フセインが次の選挙に出馬することが許されたなら、彼は大多数
の票を得るだろうね」・・・これは、本当に悲しいことではなかろうか?

「アメリカはすでに救いようがないほどこの戦争に負けている・・・」と言う人
がいる。この奈落の底に落ちていく暴力の連鎖から、何かを救い出そうとするの
は、もうとうてい無理のような気がする。

米国による間違った侵略が、混乱と重罪とテロの大魔神を揺り起こしてしまった。そしてその大魔神はもう、元のビンの中へは戻せないのだ。

28歳のイラク人技術者に、「この国で初めての選挙が来年あるけど、君は投票
するのかい?」と聞いてみた。そして彼のこの答えが、イラクの現状のすべてを
物語っているように思えた。

「選挙に行きたいやつがいるなら行くがいいさ。投票所に仕掛けられた爆弾に吹
き飛ばされるか、さもなきゃあ、武装勢力に追いかけられて、米軍支援者だとの
のしられて殺されるのがおちだ。そんなリスクなんてとれないよ。えっ、何のた
めにだって?

 民主主義のため? 冗談がきついよ」

               ・・・友へ、ファルナーツより

           (抄訳・パンタ笛吹、TUPメンバー)

http://wsrblood.typepad.com/wiserblog/2004/09/iraq.html

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