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党派闘争とて殺人は許されません
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投稿者 竹中半兵衛 日時 2004 年 9 月 26 日 00:17:44:0iYhrg5rK5QpI
 

(回答先: Re: 、「党派抗争なら人を殺してもいいのか」(川口大三郎君殺人事件) 投稿者 歴史の生き証人 日時 2004 年 9 月 25 日 20:04:56)

革マル派によって川口大三郎君が殺されたことは革マル派の汚点として残っていると思います。
私も早稲田に行って革マル派が糾弾される様子を見ました。

殺人については謝罪するという態度は評価できると思います。
人一人の命を敵対党派(中核派)のスパイだと見立てて監禁して暴力を振るう。
やってはならぬ「自己批判要求」。
これは当時の文学部二文自治会のの委員長(たぶん村上といったと思う)をはじめ、介入したものは結局全員辞任して運動を脱落した。
学生というものは敵対党派にものすごい憎しみを抱くものかも知れない。
そして村上たちは革命運動の担い手として組織的過ちを犯したことを革命の担い手として真摯に反省するのではなくブル転してしまった。

しかし私が革マル派執行部の自治会の大学で70年安保に立ち上がったときに東京教育大学の海老原君が中核派に監禁され殺されたとき(70年8月)、また沖縄人民党民青に殺されたとき(71年6月)、この二つの殺人事件のときには私は感情がいきりたって中核派を憎悪し、また民青を殺せ、と憤った。民青糾弾集会では「民青殺せ」とまで叫んだ。集会参加者がみな私のほうを振り返った。

革マル派の仲間たちは、私に「お前いかれてんじゃないの。われわれはそんな殺人集団じゃない。この事件は沖縄における運動が破産した結果スターリン主義者のあがきとしてトロレス(トロツキスト殲滅)を実行したんだ。町田君追悼は共産党の腐敗を暴くこと、二度とこういう事件を発生させないのがこの集会の目的だ。海老原君事件でも学生運動や労働運動場面からわれわれによって放逐されたために革マル憎しで中核派の腐敗を晒したのだ」と諭された。今でもこの仲間の声が耳に響いています。

中核派は海老原君を殺害したことを最後まで謝罪せず「革マルだから殺した」と言って居直った。
共産党(沖縄人民党)は自分たちはやってない、と嘯いて乗り切った。


拉致の恐怖は私も体験があります。
70年の夏、海老原君が殺された直後のことですが、私は70年安保闘争も終わったから自分の闘争も一区切りついた、学業に戻らなきゃと思って、運動とは無縁で夏休みは家にいました。だいたい新聞に目を通すのも嫌になるころです。海老原君事件も知りませんでした。

ところが革マル派メンバーから呼び出しがあり、署名活動をしに国鉄の駅に集合することになった。私もヘルメットをもって仲間と二人ででかけて駅にあがっていったら、駅の階段を上がってゆくとすでに革マルの仲間が署名活動をやっているらしいアジテーションが聞こえてくる。ヘルメットは紙袋にいれて近寄っていったのだが、仲間と思っていたのが実は中核派だった。駅の階段は中が暗く外が明るいので逆光によってすぐそばまでゆかないと識別できない。しかし、私はすでに革マル派メンバーはここにみな集合しているのだろうと思ってノー天気に進んで、「やあ、ごくろうさん」と声をかけてヘルメットをかぶろうとして紙袋から出した。ところが、「なんだあ、このヘルメットは?お前革マルじゃないか」といわれたので相手の顔をよく見ると、「中核」の白ヘルだった。「しまった」と思ったときにはすでに遅く、このヘルメットを見て叫んだ男の声を聞いてばらばらと集まった5、6人の人間に取り囲まれていた。

「こっちへこい」
私ともう一人の仲間は顔も見合わせる暇もなく彼らに引っ張られはじめた。

仲間は私よりも長く運動をやっていて、彼らの腕を振り切ることもせずに「何をする、放せ」
「いや放さない」
「なぜだ」
「お前たちに糟谷君人民葬の自己批判を要求する」
このイデ闘のそのごの詳しい話は覚えていないのでここではしません(69年については私は知らなかったのです)。
このイデ闘の間に私たちのまわりにはたちまち黒山の人だかりできた。
「革マルが中核につかまった」という噂さが一気に広まった。

中核はこれではラチが開かないというふうで「つべこべいわずにこっちへこい」と言って私たち二人を引っ張ろうとします。
仲間が「どこへ行くんだ」
中核「大学へこい」
仲間「なぜだ」
中核「お前たちに自己批判を要求する」

私はこれでたぶん終わりだなと思った。

このとき、私は数日前に海老原君が殺害されたというニュースをまだ知らなかった。
それでもなぜか中核派は革マル派の敵対党派にされていたのだから、一瞬戦慄を覚えた。
数人の男から押さえつけられているのだから逃げ出すにも逃げ出せない。仲間をおいて逃げるのもできない。絶体絶命の境地で喉が非常に渇いたことを覚えている。竹ざおや角材を使った集団の党派闘争については眼前で発生しているから想定できるが、自己批判要求では自分が何をされるかわからない。想像以上の恐怖を感じた。それに比べて仲間の落ち着いた姿にいらついてしまった。何で逃げようとしないのか。(この仲間は、大学で集会をやっていても右翼に襲撃されたときも最後まで殴られたりして平然としているような人物だった。今でも健在だろう。)

しかし、中核派も私たちを連行しようとすると大衆がそれを見ている。「さあこい」と私たちを引っ張るが、大衆もそれについてくる。
やがて近くに交番があったのだろう。一人の警官がやってきて、「誰かを殴ってるときいたが、おまえたちか」と中核派に詰め寄ったところ、中核派は「おまわりさん、僕らはなにもしてませんよ」といって私たちの腕を解放した。そしてさっさと署名活動をしていたもとの場所へ戻っていった。

ようやく私たちは解放されたが、このかんものの5、6分だったと思う。
ものすごく長く感じた。死を強制される恐怖というのはチンピラにナイフを突きつけられて脅かされるのよりも怖い。逆らわずに有り金出せば見逃してくれる。

解放されたときに自分のドジを思うと私は恥ずかしくてたまらず、仲間に謝る言葉もなくただ「すまん」と言ってうつむいた。仲間はあまり気にかけている様子もなく「今度から気をつけよう」と軽く言ってくれました。

そして、あとから考えたのですが、いつもは大量の自動車で込み合う駅前どおりが大勢の人たちでごったがえしていたのは、ちょうど歩行者天国が始まったころだったからです。あのとき中核派の蛮行が私たちに加えられるのを食い止める役割をしてくれた大勢の方々にこの場を借りてお礼申し上げます。そのときの警官にも、直接的に監禁を防いでくれたことに、素直にお礼を申し上げます。

監禁・自己批判の強要というのは、ものすごい恐怖を与えます。
命乞いしてもたぶんだめだろうと思っているので、なおさら恐怖は募ります。

そのあと、今度は革命マル派が署名活動をしにきて、中核派が逃げ出したそうです。
別の仲間が「よかったねなんでもなくて。中核派は海老原君を殺したんだぜ。二の舞になるとこだったな」と話しかけてくれた。そのとき初めて、海老原君事件を知った。

川口君が殺されたというのは、こいう状況下圧倒的に川口君不利のもとで行われたのであり、これを実施した革マル派のメンバーは卑怯であるし、革命運動の担い手としての倫理にもとる行為をしたのです。

おそらく心理的には極左的な心情になって自己批判を強要したのだと思います。(つまり私が思い余って「見青殺せ」と集会で絶叫したのと同じ心境だったのです。もし現実にそんなことしたら単なる殺人の応酬となり革マル派も単なる殺人党派であり組織は存続していなかったでしょう)

革マル派にあるまじき、圧倒的優位の環境における暴力の行使(妄動)だったと思います。町田君虐殺糾弾ではあれほど私を諭してくれた仲間が早稲田ではなぜああいうことをしたのか理解できませんでした。
実行した主だったものがあの早稲田の自治会委員長を辞任したにとどまらず運動から脱落し、権力にすべてをゲロったことから明らかなのは、彼らが、たとえ早稲田の自治会委員長だったとしても、私同様に未熟であったことです。

こういう事実を真摯に受け止め、そのごさまざまな困難を乗り越えて労働運動・学生運動を展開しているものと信じています。

川口君事件が発生してからもう三十年も経過したことを思うと、月日の経つのはなんと早いことかと驚きます。改めて彼の冥福を祈ります。


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