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マテリアル利用の進展 [バイオマス産業社会ネットワーク]
http://www.asyura2.com/0411/bd38/msg/416.html
投稿者 外野 日時 2005 年 1 月 05 日 02:31:41:XZP4hFjFHTtWY
 

                  表:植物繊維と他の強化材との比較

 マテリアル利用の進展 [バイオマス産業社会ネットワーク]
http://www.jbnacla.net/bin/hakusyo2004/D-6-1.htm

(1)拡大するドイツの麻利用

 ドイツでは、1996年にマリファナ利用ができない産業用大麻の栽培が解禁され、2003年の栽培面積は約3000haである。大麻は、繊維をアパレル、製紙、建材、自動車部品、プラスチック強化材など多方面に利用できるだけでなく、実を食用等に、オガラを合板の原料や敷きわら等にも利用できる付加価値の高い作物である。
 ドイツではすでに、メルセデス・ベンツなどの自動車部品および、住宅用断熱材としての利用が大麻産業として軌道に乗っている。
 特に断熱材については、施工時の健康被害がないこと、防音効果にも優れること、廃棄時はサーマルリサイクルが可能なことなどから、グラスウール製断熱材の3倍(還付金制度により顧客の負担は2倍)の価格であるにもかかわらず、環境意識の高い顧客を中心に、03年の売り上げが前年比50%増と見込まれるなど、順調に売り上げを伸ばしている*。

(2)生分解性プラスチックと間伐材の利用

 バイオマス・ニッポン総合戦略の柱の一つになっている生分解性プラスチックの製品開発・技術開発は、2003年においても大きく進展した。
 トヨタ自動車は、7月、サトウキビを原料とした生分解性プラスチック(ポリ乳酸)を生産する年産1000tクラスの実証プラントを、日本国内の既存工場内に建設することを決定。また、東レ、アラコ、豊田通商と共同でポリ乳酸繊維「エコディア」を用いた自動車内装材を開発した。ユニチカは、生分解性プラスチックを原料にした接着剤を開発し、4月から発売。三洋電機子会社の三洋マービック・メディアは、9月、生分解性のコンパクトディスク(CD)を開発。東レ、カネボウ、クラレなどもそれぞれ新製品開発や増産体制を整えている。
 2003年2月には、北九州エコタウンに生ごみの生分解性プラスチック化実証設備で実証運転が開始。京都市では、生分解性プラスチックを魚箱に使う「資源循環実証実験」が始まった。

 農林水産省も11月、農林水産省職員食堂で、とうもろこしやおがくずなどのバイオマスを原料とする食器の利用実験を始めるなど、地域や官庁での取組みも始まっている。
日本政策投資銀行は、生分解性プラスチックが2015年ごろに国内樹脂需要の1割、150万t、250億円に拡大するという市場予測をまとめている*2。
また、間伐材を使った封筒のブームが起きたり、農水省が間伐材やバイオマス製品を積極的にグリーン購入として調達する方針を立てるなど、間伐材利用促進の動きも見られた。


 コラム◇「グリーン・コンポジットの時代がやってくる」
 <Hemp Revo. Inc. CEO 赤星栄志>

 生分解性複合材料、環境調和型複合素材とでも訳されるグリーン・コンポジット。その素材には、地球上にもっとも多く存在するバイオマス資源=セルロースの活用が鍵となる。セルロースは、毎年約2000億トン程度光合成され、再生産可能な資源であり、その生産・分解過程は、カーボンニュートラルであり、極めて環境負荷の小さいものである。
 通常のFRP(強化プラスチック)は、石油系樹脂をマトリックス、ガラス繊維を強化材として混合させるが、廃棄物処理及び環境規制の観点からガラス繊維代替として植物繊維(マニラ麻、ケナフ、フラックス、ヘンプなど)が使われている。
よく知られているのは、ダイムラー・クライスラー社、BMW、トヨタ自動車などの自動車内装材への利用である。これだけでは生分解性ではないので、最近は、ポリ乳酸の価格が1000円/kgから500円/kg以下(03年度)に大幅に下がったのを受けて、ポリ乳酸などの植物樹脂(マトリックス)+植物繊維(強化材)の利用が拡大中である。
 パソコンメーカーであるNEC、富士通がパソコンのボディ部をグリーン・コンポジットにした製品をすでに商品として販売している。また、注目トピックとしては、木材パルプを原料としたセルロースをマトリックス、植物繊維を強化材にした100%セルロースのコンポジットが、神戸大学工学部の西野孝助教授によって開発されたことである。
植物繊維は、ガラス繊維などよりも密度が軽いため、車を軽くでき、強度などの機械特性面で同等もしくはそれ以上の特性をもち、コストや製造エネルギー消費を格段に抑えることができる。単に法的規制、環境問題対応だけでなく、メーカーにとっても大きなメリットがあるのである。性能が同じであり、軽量化、省エネ、低コストできるならば、自動車メーカー、パソコン組立メーカーだけでなく、住宅建材メーカー、生活用品分野の製造業などが植物繊維の利用を推進すると予想される。
 複合素材という分野は、日本では機械特性評価を得意とする工学部系での研究開発に限られ、非常に研究者層が薄いが、バイオマス資源のマテリアル利用の推進には必須テーマであるため、多くの企業・研究者の参画が期待されている。


*参考文献:ドイツ・ヘンプ産業視察レポート http://www.hemp-revo.net/sampleset.htm
*2http://www.dbj.go.jp/japanese/download/research/index.html
*3この他にも生分解性プラスチックやバイオマスのマテリアル利用は多数行われている。詳しくは、関連記事2004を参照のこと。

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