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日本企業は、欧米企業と比較して小さく長期的視野に欠けるなどの問題 西島章次(神戸大学経済経営研究所教授)
http://www.asyura2.com/0411/hasan37/msg/285.html
投稿者 hou 日時 2004 年 10 月 17 日 07:21:48:HWYlsG4gs5FRk
 

http://www.rieb.kobe-u.ac.jp/~nisijima/ww2000.09.25.htm

様変わりするブラジルへの直接投資

西島章次(神戸大学経済経営研究所教授)

 近年、ブラジルへの直接投資が急増している。九〇年代初めには一〇億ドルにも満たなかったが、九七年の一八七億ドル、九八年の二八五億ドルと拡大し、それぞれラテンアメリカ全体への直接投資の三四%、四九%を占めた。
 九九年には通貨危機が生じたにもかかわらず三一四億ドルが流入し、今年は七月までで一九〇億ドルが流入している。九六年以後、途上国で第二位の直接投資受入国となっており、その勢いは止まることを知らないようだ。

多様化するブラジルへの直接投資
 従来、ブラジルへの投資は、保護された国内市場を目指す製造業投資が主体であった。しかし、九〇年代からの経済自由化によって、ブラジルへの投資は以下の点で大きく様変わりしてきた。
 第一は、たんに国内市場を目指すのではなく、統合化が進むラテンアメリカ市場を念頭においた直接投資の増加である。例えば九五年からスタートしたメルコスール(南米南部共同市場)の域内貿易は急増しており、九〇年にはその比率は一四%に過ぎなかったが九八年には三二%に達し、着実に経済の統合化が進展してきた。
 こうした巨大な経済圏の形成をにらみ企業の進出とM&Aが展開しているが、とくに昨年の切り下げ以後は、生産拠点としてのブラジルの重要性がより高まったといえる。
 第二は、民営化がらみの直接投資である。ブラジルの民営化は九〇年中頃に本格化し、製鉄、化学、電力、鉄道、鉱業、通信、電力、金融などの部門で実施され、現時点までの売却額(移転債務を含む)は九二〇億ドルに達している。
 欧米の企業は民営化に積極的に参加し、九七年から九九年にかけて、民営化がらみの投資は直接投資全体のそれぞれ二五%、三九%、二八%を占めている。
 第三は、製造業ではなく、ブラジル市場の潜在的な成長性をにらんだ通信、金融、商業などサービス部門への投資が急増していることである。テレコム部門には九六年から現在までに一二六億ドルの直接投資がなされている。また、今年(七月まで)の直接投資の実績をみると、サービス部門への比率が実に七五%に達している。
こうした変化を反映し、投資国にも顕著な変化がみられる。かつてブラジルへの直接投資の主役は、米国、ドイツ、英国であったが、いまや米国に続き、スペイン、ポルトガルなどのヨーロッパ諸国が上位に進出している。
 前回の当コラムで上智大学の堀坂教授が指摘しているように、近年スペイン企業のラテンアメリカへの進出が際立っているが、ブラジルにおいても今年(七月)までの直接投資の数字ではスペインが二三・五%のシェアーを占め、米国の二三・八%と肩を並べている。
 携帯・固定電話でのテレフォニカ社、電力部門でのエンデサ社、金融部門でのバンコ・サンタンデール、バンコ・ビルバオ・ビスカヤなどが代表的な企業である。なかでもテレフォニカ社は中南米の電話市場で三千万人を超える加入者を誇っているが、さらに米ネット検索会社ライコスを一二五億ドルで買収することになり、スペイン語・ポルトガル語圏の通信関連の市場を掌握する布石を打つなど、その積極的な進出が目立っている。九九年のスペインの中南米投資総額は二九一億ドルに達し、米国の一九五億ドルをはるかに凌駕した。
 また、ブラジルのかつての宗主国であるポルトガルの企業も健闘している。ポルトガル・テレコム社は、サンパウロの携帯電話の営業権を三一億ドルで購入したが、さらに今年には第三位の銀行ウニバンコのエレトロニック・バンキングに経営参加し、銀行と協調することによって将来の業務拡大をねらっている。ウニバンコにとっても、携帯電話を使った取引業務を拡大するうえで有利となる。
 ブラジルには八六〇万人のインターネット利用者がいると推定されており、今年に入ってこうしたインターネット関連に既に一二億ドルの直接投資がなされている。

立ち遅れた日本企業
 ところで、わが国のブラジルへの直接投資は、残念ながら低下の一途をたどっている。わが国の直接投資のシェアーは、九〇年代中頃の四%台から、九〇年代末の二%台、そして今年(七月まで)では〇・四%にまで後退している。
 大蔵省の統計によると、九九年における日本の海外直接投資は、六四%が製造業投資、三六%が非製造業投資であり、依然として製造業への比重が高い。他方、米国の海外直接投資における製造業投資の割合は九八年で一七%、九九年で二六%にまで低下している。こうした数字は、グローバリゼーションのもと、サービス産業も急激に国際化する時代における日本企業の遅れを示しているといえる。
 かつて、日本企業はウジミナス製鉄、イシブラス造船、ツバロン製鉄など、ブラジルで重要な位置を占めてきた。しかし、ブラジルにおける日本企業は、平均的に投資規模が欧米企業と比較して小さく長期的視野に欠けるなどの問題があり、八〇年代の経済危機を乗り切れず撤退が相次いだことなどから、その地位は低下する傾向にあった。
 さらに近年では、金融、テレコム、商業、IT関連、インフラなど、日本企業にとって不得意なサービス分野での直接投資が主流となり、積極的な企業進出ができない状態である。また、M&Aによる進出が四割を占めるようになっており、日本企業がM&Aによる投資に不慣れであることもその一因であろう。
 たかがブラジルへの直接投資の話だと、あなどってはいけない。世界の企業が熾烈な競争を繰り広げているブラジルでの日本企業の後退は、日本国内の経済状況に影響されていることを否定できないが、むしろ、まさに今日の日本経済が直面している構造的な問題を露呈していると考えるべきなのである。

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