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NTT加入権廃止『国家的詐欺』の手口
整備を口実 ぼったくり?
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20041022/mng_____tokuho__000.shtml
NTTの「加入権料」(施設設置負担金)が二〇一一年までに廃止される。総務省の情報通信審議会がゴーサインを出したからだ。だが、これまで「財産」だと思ってきた利用者にとっては、紙くずとなる事態にブーイングが収まらない。NTTは「一時金だった」と言うが、資産と強調したセールスもしていた。「国家的詐欺」の“手口”とは−。
■財産うたうパンフ
「NTT自身が、過去において『じぶん電話宣言』というパンフレットで『いつまでも大切な資産になるから』とうたって、施設設置負担金を販売した。その事実をなくすのであれば、集団詐欺販売だ」
情報通信審議会に寄せられた一般利用者の怒りは収まらない。
NTTの窓口で「『もし結婚して不要になったらこれはパンフレットにも書いてあるように財産なので買収してもらえる』と言っていた」と職員に言われたという声もあった。
NTT側は加入権料は「施設設置負担金」と称して、財産ではないと主張してきた。ところが、過去に「財産」と売り込んでいた実態がある。同審議会でもこの点を問題視した。
戦後、加入者は順調に増えた。加入権料は一九八五年の民営化以降は七万二千円に固定された。固定電話事業を行うNTT東日本広報室は「九四年以前に、一部の支店で『電話は大切な財産です』などと誤解を招きかねないパンフレットを作製し、配布したことがあるのは事実」と認める。
石川県の加入権売買業者は十年前、同県内で配布されたこのパンフレットを保管していた。そこには「いつまでも大切な財産になるから」との文言が記載され、新社会人らに自分用の固定電話を持つよう呼び掛けている。
「全国民の電話加入権資産を守る会」の前波亨哉代表は「これは国家的詐欺だ」と憤まんやる方ない。「財産だと言ってきたのに、急にその価値はゼロになりますと言う。しかもゼロであることは最初から言っているのに、国民の側が見落としていただけでしょうと詭弁(きべん)をろうしている」と憤る。
NTTはこんな売り方もしていた。前波氏によるとNTTは、加入権を戻すので返金を、という一般の顧客には「加入権の買い取りはしない」とにべもなく断り、「タウンページを見て業者に連絡して売ればいい」と説明してきた。
■大口顧客には『買い取り』も
一方で「加入権料を返せ」と強硬に要求するうるさい客や企業など大口顧客に対しては「別の顧客に転売する作業をやっていたようだ。NTTによる事実上の加入権の買い取りで、大変不公平だ」(前波氏)という。もし事実なら利用者への背信行為ではないか。
こういった加入権料徴収を一部とはいえ行いながら、NTT東日本広報室は「電話加入権は電話サービスを受ける権利であり、財産的価値を保証するものではない」と「財産」であることを否定する。さらに電話を休止した場合、十年たっても再開せず、休止の継続も申し出ないと加入権は自然消滅するという。
■売買が行われ相続税も発生
だが加入権は社会では「財産」と扱われてきた。加入権売買が広く行われている。本来なら今の時期は引っ越しが増える来春に向けて加入権を買い集める仕込みの期間だ。だが、今年一月時点での約二万円だった業者間取引価格は、現在約一万円に下落した。
「廃止の報道が出た十九日以降、市場が成立しませんよ。今は売りたいというお客さんに謝ってお断りしている状態」。加入権売買の専業業者三百社でつくる全国電話取引業協会の武田献事務局次長はこう嘆く。
質権もある。自宅に電話を持つことが資産家の象徴だった五〇年代半ばには、電話質権は三十万円もの高値を付けたという。東京都内の質店「質島田屋」の戸枝殖宣社長は「現在二千本の加入権を質に取っていて、質草の約半分を占る。財産的価値が消滅すると大変な影響だ」と危ぐする。
税法上も「無形固定資産」として法人税の課税対象だ。個人では親から引き継げば相続税が発生する。さらに税滞納者の差し押さえ財産にもなっている。東京都では昨年度約八千三百件の差し押さえを行ったが、その半数が加入権だ。こうして国としても実態は「財産」扱いをしてきた。
これだけ価値があるだけに、利用者の加入権料の返還要求は今後強まりそうだが、NTTには返還せずに廃止した“前科”がある。
NTTドコモの携帯電話も当初は七万二千円の新規加入料を徴収していたが、段階的に値下げし九六年に全面廃止した。この際も支払った人に返還されていないが、問題化しなかった。
一方で、固定電話加入権料の返還を求めた訴訟もある。九七年に訴訟を起こした野村吉太郎弁護士はその理由をこう話す。
「電話が普及していなかったころならともかく、電話網が完成して以後も金を集め続けた。もともと徴収する必要がない不当利得だ」。最高裁まで争い、請求は棄却されたが、「加入権廃止の方向が決まったことで、私の主張の正しさが証明された」と強調する。
携帯電話の加入権廃止や訴訟になった経緯を見れば、加入権の扱いをどうするかいずれ求められることは分かっていたはずだ。
経営評論家の梶原一明氏は「電電公社時代、無競争で営業努力を怠り、高い加入権の支払いを強いてきた。独占が崩れてライバルとの競争が激しくなる中、いずれ加入権がなくなることは誰もが予想していたが、対応は準備してこなかった。説明責任を果たすべきだった」とNTTの経営姿勢を問題視する。
NTT東日本は「いただいた七万二千円は設備の新規投資に充てられており、基本料の値下げという形で利用者に還元した」(広報室)と突っぱねるが、梶原氏は「NTTは加入権が値上がりすると言ってはいないものの、強制的に徴収してきた。その金で設備投資をし、利益を上げてきたのだから、利用者に還元するのは当然だ」と主張する。
■『基本料金を無料にして』
加入権総額は約四兆三千二百億円(税抜き)。NTT側は「払えない」と言う。だが固定電話会社は契約数減で苦戦しているものの、グループ全体では純利益はトヨタ自動車に次ぐ規模だ。「四兆円全額返還は無理にしても、基本料金を三カ月無料にする程度のことはできる」と梶原氏は指摘する。
前出の野村弁護士は「四兆円を株式にして加入者に分配すべきだ」と主張する。実は電電公社の民営化前に、加入権を株式にして分配する議論が浮上したが、いつの間にか立ち消えになった経緯がある。
野村弁護士は言う。「株を売却しようとしていた国は、四兆円分の株式が増発されれば相対的に株の価値が下がるとみてやめさせたのだろう。問題の解決を遅らせた責任は、NTTだけでなく国が対策を怠らせてきたことにもある。株式化して分配するのが今なお最善の解決策だ」