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ドルの急落で高まる人民元の切り上げ圧力 ―露呈されたドルペッグの限界― [中国経済新論]
http://www.asyura2.com/0411/hasan37/msg/681.html
投稿者 あっしら 日時 2004 年 11 月 17 日 00:05:58:Mo7ApAlflbQ6s
 


     図2 拡大する米国の貿易赤字

     (注)2004年は1-9月期の実績に基づく予測
     (出所)U.S. Census Bureau.

米国の貿易赤字は2004年の1-9月期に4695億ドルに達し、通年では6000億ドルを超え4年連続史上最高の記録を更新することは確実となっている。これを背景に、米国の対外収支の持続可能性について疑問が持たれるようになり、ドルは円やユーロなどの主要通貨に対して急落している(図1)。各通貨の対ドル相場を現在の水準で維持するためには、貿易赤字をカバーできる米国への資本流入が必要である。しかし、米国の低金利とドル急落のリスクに直面する海外投資家はドルでの資産運用を控えており、ドル相場の維持は日本と中国をはじめとする諸外国の通貨当局の為替介入に頼らざるを得ないのが現状である。

実際、日本と中国に限らず、他の東アジア諸国・地域も、自国通貨の対ドル上昇を阻止するために為替市場でドル買い介入を続けている。その結果、東アジア諸国(日本、中国、台湾、韓国、香港)の外貨準備は、2001年末時点の9382億ドルから、2004年7月末時点で1兆8252億ドルと約2倍に増加している。この時期、ユーロ圏の外貨準備高は2350億ドルから2259億ドルと大きな変化を見せておらず、その代わりに、ユーロがドルに対して急騰した。アジアの国・地域は外貨準備を貯め続けるか、対ドル切り上げという決断を迫られている。

このようなドル安傾向を反映して、実質的なドルとの固定相場制(ドルペッグ)を採っている中国の人民元もドル以外の通貨に対して下落している。これは中国の輸出競争力を高めるというプラスの面もあるが、貿易黒字拡大に伴う貿易摩擦を招きかねない。実際、2000年に中国は日本を抜いて、米国にとって最大の貿易赤字相手国となった(図2)。米中間の貿易不均衡幅がその後も拡大し続ける中、米国は中国に対して人民元切り上げ要求を強めている。

ドルペッグを維持しようとする以上、中国当局は貿易を中心とする経常黒字と直接投資の流入などによる資本収支の黒字を、介入という形で市中から買い上げなければならない。現に中国の外貨準備額は年々増え、2004年9月には5145億ドルに達している。2004年の最初の9ヶ月の新規分だけでも1113億ドルに上る。急増する外貨準備がどういう形で運用されているかは公表されていないが、相当部分が米国債などのドル資産に投資されていると見られている。一部の中国の学者は、中国の外貨準備の増大は米国政府への資金融資を意味し、通商問題など対米交渉において、有利な材料になると論じている。しかし、外貨準備の大半をドル資産につぎ込むことになると、ドルの急落に伴って膨大な損失を被ることになる。中国のGDP規模が米国の8分の1程度に留まっていることも合わせて考えると、大量の米国債の保有は、中国にとっては交渉カードどころか、米国に取られた「人質」であると見るべきである。

このような問題を解決するためには、最終的には中国当局が市場への介入を最小限にとどめられる変動制へ移行すべきであろう。その移行期において、通貨バスケット制を導入すれば、中国経済を、円ドルレートやユーロドルレートをはじめとする主要通貨間の為替レートの変動による影響からある程度遮断することができる。その一方で、外貨準備の通貨別構成も見直さなければならない。ドルが中長期にわたって下落する可能性が高まる中、ドル資産中心の外貨準備を円やユーロ資産へとシフトさせていく必要がある。むろん、シフトする額も小額ではないため、短期的には資産運用の態度を変えることでいっそうのドル安が促される危険性は否めない。しかし、長期的な視点に基づけば、このようなポートフォリオ調整は避けられないだろう。


図1 ユーロと円に対して急落するドル

http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/images/041116-2ssqs-f1.gif">



(出所)CEICデータベース


2004年11月16日掲載

http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/ssqs/041116-2ssqs.htm

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