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失敗を早く認めそれを経験に復活する…。
http://www.asyura2.com/0411/hasan38/msg/336.html
投稿者 hou 日時 2004 年 12 月 28 日 20:47:04:HWYlsG4gs5FRk
 

(回答先: はいはい・・  「えらい」 「えらい」 経済産業省さん さすがですねー。 投稿者 hou 日時 2004 年 12 月 28 日 20:16:40)

http://www.nikko-am.co.jp/invest/column/b_number/020129_2.html

●それができなかった社会を、ソビエト社会主義共和国連邦や北朝鮮民主主義人民共和国に例をもとめることはいとも簡単なことである。


1. 《米国の小売に光と影》

2002年1月22日にディスカウントショップ米2位で小売米3位のKマート(ティッカー・シンボル:KM)がチャプター11(連邦破産法第11条、日本の会社更生法に相当)を申請、倒産した。 負債総額は子会社も含め約113億ドル(約1兆5,000億円)で米小売業界では1990年のフェデレーテッド・デパートメント・ストアーズ(百貨店米3位、小売米6位、FD)の倒産を上回る負債総額で過去最大。

小売業界最大の倒産とは裏腹に、ディスカウントショップ米1位(小売世界最大手、WMT)のウォルマートは躍進が止まらない。 2001年度(2001年2月〜2002年1月)の売上高が2,200億ドルを上回るのが確実で、そうなるとこれまで米経済誌フォーチュンが毎年4月に発表している「フォーチュン500 米最大企業(FORTUNE 500 America's Largest Corporations)」と言う企業番付で1位だった石油世界最大手のエクソンモービル(2,104億ドル)を抜き米企業1位になる(http://www.fortune.com/lists/F500/index.html)。 尚、ウォルマートが出来たのは1962年で、「フォーチュン500」の仲間入りしたのは1995年、NYダウ30種平均に入ったのは97年。 本当に凄い躍進である。


2. 《Kマートはウォルマートに倒された》

Kマートの倒産とウォルマートの栄光はあまりに対照的で、まさに「光と影」(light and shadow)。 しかしそれもそのはず、ウォルマートがKマートを倒したのである。 そして倒した事でウォルマートはさらに恩恵を受けると見られている。 2002年1月22日にKマートが破綻したが、翌1月23日にNYダウとS&P500を最も押し上げたのはウォルマート株だった。 同株は1月23日に59.86ドルと2日連続急伸し2001年7月27日来高値を付けた。 1月19日までの週の小売調査で既にウォルマートは引き続き順調に売上げを伸ばしていたが、Kマートの不採算店舗閉鎖でウォルマートがKマートの顧客を奪い売上高をさらに伸ばすと期待されている。 米国は2001年3月にリセッション(景気後退)に入っているが、小売の売上高は2000年5月から既に伸び悩んでいる。 それなのにウォルマートは躍進している。

売上高が伸びにくくなっている中で、ある企業が売上げを伸ばすのに最も効率的な方法は競合他社を倒す事。 ウォルマートはそれをやってきたのだ。 ここ数年でディスカウントストア米4位のカルドア(Caldor、95年9月18日倒産)などを倒産に追い込んだのもその為。 またウォルマートが97年にNYダウ30種平均に入った時に追い出されたのはベネターだった。 ベネターはディスカウントストア大手だった旧ウールワースで、現在はスポーツ用品専門店のフットロッカーになっている(2000年に社名変更)。 そうしたウォルマートの他社を倒す戦略がとうとう同2位のKマートを倒産させたのだ。 尚、同3位のターゲット(小売米4位、旧デイトンハドソン)はファッション性の高い商品を揃えウォルマートとの真っ向勝負を避けているのでいまだ倒されずにいる。

実はこれは景気減速期や景気後退期の重要経営戦略である。 ホーム・デポ(DIY世界最大手、HD)やトイザらス(玩具小売米1位、TOY)、ベストバイ(家電米1位、BBY)をカテゴリーキラーと言うが、このカテゴリーキラーは特定カテゴリーの商品をたくさん揃え低価格で売って、当該カテゴリーの他企業を殺してしまうからそう呼ばれる(※日本のビックカメラやユニクロ、マツモトキヨシなどが該当する)。 そのカテゴリーキラーもその名の通り、競合他社を殺し続け(倒産させ続け)、今ではウォルマート同様、各々の分野で寡占となっている。

Kマートは確かに品揃えが悪く、POS(Point Of Sales、販売時点情報処理)やバーコードなどIT(情報技術)に出遅れ、ウォルマートの誘いに乗って勝ち目の無い価格競争にも挑んだと言われている。 しかし倒産の本当の背景にはこの様に「倒し合い(殺し合い)」がある。 この事を結果的にとらえ「勝ち組、負け組が鮮明になる二極化」と言う言葉もあるが、単純に「収穫が少ないのなら他の領地から奪う」と言うアングロサクソン人種的な行動とも言える。 尚、ディスカウントストア台頭を招いた最大の要因はベビーブーマーである(1946〜1964年生まれで、7,600万人いて人口の28%を占める)。 彼らの生活コモディティ・グッズに低価格志向が強い事がそうさせた。 小売を理解するにも人口動態は欠かせない。 1月16日付Column「ヒトが経済も金融も政治も決める」(http://www.nikko-am.co.jp/invest/column/020116_2.html)


3. 《Kマートは再生するかもしれない》

Kマートはディスカウントストアの基礎を築き、1970年代後半から1980年代にかけディスカウントストア米1位(小売米2位)になった。 しかしその後1990年にウォルマートにその座を奪われ徐々に経営は悪化していった。 Kマートはスクラップ&ビルドを試みたが、利益の少ない商品を削減し過ぎた事から品揃えに問題が出て顧客離れを起こし、ウォルマートの躍進をさらに許した。 その後、店内の通路に台を置いて安売りをすると言う日本でもお馴染みの方法をしていたが、それも結果的に顧客に嫌気された。

ウォルマートの「光」の「影」となった感のあるKマートだが、清算すると限った事ではない。 あの「安かろう、悪かろう」のウールワースでさえ一部は残って頑張っている。 Kマートなら何らかの形で生きて行く可能性は高い。 ただ「もう1年倒産が遅ければ経営資源を消耗しますます競争力を失っていただろう。」と言われている事を覚えておきたい。 失敗は失敗と認め、評判が高い家庭用品やガーデニングに特化していくなど、いち早く再生にかける事がKマートには出来るのだ。

Kマートの倒産とウォルマートの栄光を見ていると、やはり米国である。 リセッション(景気後退)になる時の失業率上昇も速いが、倒産も速いのだ。 まさにニューエコノミーが息づく米国。 2001年11月20日付Column「ネズミの米国、ネコの日本〜米国はニューエコノミー、日本はニューエコロジー〜」と言う事(http://www.nikko-am.co.jp/invest/column/b_number/011120_1.html)


4. 《日本ではマイカル倒産、ダイエー経営危機》

一方で日本の小売はどうだろう?。 米国のディスカウントストアは日本のスーパーマーケットに相当する。 日本のディスカウントストアは値引き業者的性格が強く、米国のディスカウントストアの様に「安くて良い商品を幅広く揃えている」とは言えないからだ。 その日本のスーパーだが、2001年9月14日にマイカル(スーパー日本4位、旧ニチイ)が民事再生法の適用を申請し倒産した。 負債総額は子会社を含むグループで1兆7,428億円と、2000年7月12日に民事再生法の適用を申請した大手百貨店そごうの1兆8,700億円に次ぐ破綻規模で今回のKマートに近いものだった。

しかしKマート倒産をウォルマート株が好感した米国と違い日本ではマイカル倒産をダイエー(スーパー日本2位、8263)株が好感しなかった。 マイカル倒産後にイトーヨーカ堂(小売日本1位、8264)株が上昇する局面もあったが、ダイエーの倒産懸念が強かった12月後半(12月14日に株価69円)では上昇しなかった。 そしてダイエーの再建策が具体化するにつれイトーヨーカ堂株は急落していった。 ダイエーはマイカルの2倍の規模があり、日本の政府が「潰すには大き過ぎる」(too big to fail)と言う事で、何とか法的整理である倒産をさせない様にし、1月18日に新3ヶ年計画を発表した為(倒産ではない産業再生法適用〜1月16日に合意)。 この処置は良かったのか悪かったのか? しかしこれが日米の差なのである。


 

5. 《日本の小売には影ばかり?》

ダイエーなど日本の小売業が模範としてきたKマートが倒産したのである。 ダイエーは1972年に日本の小売1位になったが、1985年にイトーヨーカ堂にその座を奪われ徐々に経営は悪化していくなど、本当にKマートと似ている。 しかしKマートは倒産してダイエーは倒産してない。 「潰すには大き過ぎる」(too big to fail)と言う事で小泉政権もこれまでの「潰す路線」を転換した為。

しかし「潰す」と言っても、民事再生法も会社更生法も法的整理である倒産だが飽くまでも再建をめざすもの。 再建出来ない時に移行する特別清算ではない。 それに潰さなくても債務・人員の大規模リストラは避けられないのだから法的整理とそれほど大きな差がある訳ではない。 民事再生法もしくは会社更生法を申請して経営資源を消耗しない早い段階で倒産させた方が、会社にとっても日本にとってもいい場合もある。 経営者や株主などにはちゃんと責任をとってもらい、債権者には権利と義務を平等にすると言う事が重要だったかもしれない。 産業再生法申請や普通株5割減資(※普通株5割減資と10割減資とでは雲泥の差)など中途半端な処理では責任も明らかにならないし、一部の債権者などを不公平をしかねない。 その意味で問題先送りと言う意見が出ているのは自然である。 だからイトーヨーカ堂株も2001年9月21日来安値を付けるし、一時的に急騰していたダイエー株も1月18日の175円をピークに下げているのだう(1月29日前場115円)。

日本はイメージ的に「倒産=潰れる」で、「失業増、金融不安」と言う思い込みが強い様だ。 しかし米国では決してそうではなく「早期の倒産=再生可能性上昇」と言う感じ。 その意味で日本では、マイカルの様に当初こそ民事再生法(経営陣残留で責任追及が無い)だが、その後会社更生法(経営陣退陣で責任追及がある)に移行する事(2001年12月4日)、青木建設(1886)の様に1999年3月16日に債権放棄が合意されたのに最終的には民事再生法を申請した事になる(2001年12月6日)。 つまり日本の思い込みはかえって状況を悪化させる可能性を高めると言える。

失敗を早く認めそれを経験に復活する…。 90年に倒産したフェデレイテッド・デパートメント・ストアーズ(Macy's、Bloomingdale'sniなど)は92年2月5日に復活、株も今ではウォルマートと共に堅調地合い。 こう言った考えが日本には欠落している様だ。 しかしそれも日本だけならいいが、今後のウォルマートの進出に勝てないだろう。 Kマートも倒し、今や米国で敵無しとなった小売世界最大手のウォルマートが日本にさらなる倒す相手を求める可能性は高い。 既に小売世界2位の仏カルフール(carrfour)は日本に進出済みである。 こうなれば、失業増加や賃金カットが食い止められるので従業員には悪くない事だが、今の日本のスーパーに勝ち目があるのかどうか甚だ疑問である。 2000年6月1日に廃止した「大規模小売店舗法」を復活させたいと思っても、もう遅い(現在は大規模小売店舗立地法)。

そごうについては、2000年8月8日付 Column「そごうショック〜再生?更正?瑕疵?倒産?」(http://www.nikko-am.co.jp/invest/column/b_number/000808_2.html)、マイカルについては2001年9月26日付Column「日本史上最悪のデフォルト〜マイカル破綻に見る教訓」(http://www.nikko-am.co.jp/invest/column/b_number/010926_2.html)を参照。



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