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財務の劣化=モラルハザード=組織の劣化=国内の劣化=不良債権=財務の劣化 (順不同)
http://www.asyura2.com/0411/hasan38/msg/401.html
投稿者 hou 日時 2005 年 1 月 08 日 09:28:27:HWYlsG4gs5FRk
 


◎組織の劣化これが日本衰退の根本原因である。
影響は、モラルハザードにでる。
そのほつれは、いたるところに見られる。

モラルハザードが出てきた組織に、ケインズ政策を行えば、どうなるか?
よくなるのか?
英国病が良い例である。


公的資金、資本項目に投入を――野村総研経済調査部研究員村嶋帰一氏(経済教室)1995/10/25, 日本経済新聞


 (1)金融制度調査会(金制調)の金融システム安定化委員会では、破たん金融機関の事後処理と住宅金融専門会社(住専)問題処理に限定して公的資金投入が検討されているが、これだけでは、金融システム不安への抜本策とはなりにくいと推測される。
 (2)現行の不良債権処理方式では、大手行でも問題解決には最短で三―五年を要すると想定される。その間、銀行の自己資本蓄積は進まず、信用創造能力の低下と低成長、資産価格低迷を招くことが懸念される。
 (3)米国大恐慌時代の復興金融公社(RFC)は、銀行が発行する優先株を買い入れることで銀行の自己資本を強化、金融危機克服に抜群の役割を果たした。日本でも、銀行の資本項目に公的資金を投入し、問題を早期に解決することを検討すべきである。
 金制調の金融システム安定化委員会は九月末、金融システムの再建に向け、公的資金投入の必要性に対して踏み込んだ姿勢を示す審議経過報告を公表した。
 経過報告は公的資金について二つのタイプを提示した。第一は、今後五年間程度をかけてペイオフ(預金者への払い戻し)実施の環境が整うまでの間、金融機関が破たんした場合に預金者保護のために投入する資金である。第二は、破たん以前の段階であっても、その金融機関にかかわる不良債権処理が遅れた場合、金融システム全体に悪影響を及ぼす恐れがあるとすれば、それを事前に防止する目的で投入される資金である。これは差し当たっては住専処理を意識したものと推測される。
 不良債権問題は金融システム全体に及ぶ根深く重いものである。このため経過報告のように、破たん金融機関の事後処理や住専問題に限定して公的資金投入を検討するだけでは、金融システム不安には十分に対処しにくいと想定される。
 不良債権の処理に関して公的サポートの方法を整理すると、バランスシートの構成要素である資産、負債、資本に対応して、三タイプに分けられる。資産項目への公的サポートは、貸し出しの不良化によって生じた損失のカバーを目的とする資金投入のほか、不良債権の無税での間接償却があげられる。また、共同債権買取機構への転売による損金の償却もこれに含まれる。負債項目への公的サポートは、預金保全のための公的資金投入である。また、預金保険機構を通じる日銀信用の投入も間接的支援策となる。
 これまでに実施または検討されている公的サポートは、資産と負債への対応にとどまっている。だが、直面している不良債権問題を克服するには、資本項目に対する公的サポートが不可欠と想定される。
 銀行の資本項目に公的資金を直接注入すれば、不良債権の一括償却と実質的毀損(きそん)状態にある自己資本の再建が可能となる。また、これにより、様々な責任問題も追及可能となる。
 直面する不良債権問題がいかに厳しいものであるかは、公表統計を少し整理するだけで十分にうかがい知ることができる。大手二十一行の公表不良債権、住専向け債権、関西四銀行(兵庫、阪和、福徳、大阪)系ノンバンク向け債権について、損失額を推計すると、負担が実に重いことが見て取れる。単純に合計した不良債権総額から損失額を推計すると、長信銀は二・七兆円、都銀は七・一兆円、また信託銀は三・七兆円との結果が得られる(なおここでは、住専向け損失は修正母体行方式に基づいて計算している)。
 一方、貸倒引当金残高(九五年三月末時点)は長信銀〇・九兆円、都銀三・八兆円、信託銀〇・八兆円にとどまっている。長信銀と信託銀では、株式含み益(九五年九月末の推定値で各二・五兆円、二・三兆円)を利用しても損失のカバーはなお容易でない。株式含み益は国際決済銀行(BIS)自己資本規制下での補完的項目(Tier2)に算入されており、不良債権の償却に総動員するわけにはいかないだろう。また、大手数行が償却のため「益出し」に出れば株価を下落させ、金融機関全体としての自己資本比率の低下という事態をも招きかねない。
 こうした中、不良債権の処理は、これまでのところ業務純益を活用し、時間がかかるとしても段階的に進める方法がとられてきた。だが、現在の高水準の業務純益が今後も維持可能であると想定しても、前出の不良債権だけに関してですら、償却を終えるには、長信銀、信託銀では三―五年の時間を要すると推測される。しかもこの方法では、業務純益のほぼ全額を償却に充てるため、銀行の内部留保の蓄積が全く進まない事態が予想される。
 この中で、増資が困難とすれば、BIS自己資本規制下での本源的項目(Tier1)の増加が困難になる。この結果、信用創造機能が大きく阻害される公算が大きくなる。これは、景気低迷の持続と資産価格停滞をさらに長引かせ、ひいては銀行の資産内容の一段の劣化すらも引き起こしかねなくなる。
 ところで、不良債権処理が段階的に行われる場合は、経営者、債務者、当局、及び一部預金者など、関係者の責任問題をあいまいにさせ、モラルハザード(倫理の欠如)をますます醸成しかねない。だが、公的資金の投入となれば、関係者の責任問題を避けて通れない。この場合には、モラルハザードにも一定の歯止めがかかるだろう。しかし、現在検討されている公的資金投入にとどまるならば、銀行の信用創造能力低下と低成長、資産市場の低迷長期化といったデフレ現象が続きかねない。
 こうした状況を踏まえれば、現行の不良債権処理方式に問題があるのは明らかである。必要なのは不良債権を一気に処理し、そして金融システムの機能を早期に回復するスキームである。そのためには資本項目への公的資金投入が不可欠と考えられる。
 直面している不良債権問題を解決する方策を考えるうえで重要な示唆を与えてくれるのは、金融危機を乗り切るため公的資金投入による銀行資本補充策をとった一九三〇年代の米国である。三〇年代初頭、大恐慌期の米国では、預金取り付けと銀行倒産が波状的に発生し、金融システムは壊滅状態に陥った。こうした中、金融危機克服のため、フーバー大統領により三二年一月に設立されたのがRFCであった。
 RFCの設立当初の任務は、銀行への流動性供給により資金繰り難を緩和し、取り付けを鎮静化させ、ひいては金融システムの安定回復を図ることであった。しかし、三二年中に十億ドルに近い巨額の資金投入(同年の実質国内総生産=GDP比で約一・五%)を実行したにもかかわらず、金融システムは脆弱(ぜいじゃく)性を強め、ついに三三年初には一段と激しい金融危機の発生をみた。
 三三年初の激烈な金融恐慌を経験した米政府は、対応策の抜本的転換を決意した。ルーズベルト新大統領の下で同年三月に緊急銀行救済法を制定し、銀行発行の優先株をRFCが買い上げることにより銀行の自己資本を拡充するというスキームを打ち出した。RFCは以後七年間に優先株の買い入れにより、約六千行に対して十一・五億ドルの自己資本を供給した。これは当時の銀行の資本金額の約三分の一に相当する規模であった。優先株方式は金融危機克服に抜群の効果を発揮し、米国の金融システムはようやくひん死の状況を脱した。
 金融危機への対応策として、当初の資産項目や負債項目への流動性供給策が失敗し、結局、優先株による自己資本拡充策へと至ったのは、大いに注目すべき点である。
 これについて、当時のRFC総裁は議会への報告書の中で、興味深い分析をしている。流動性供給は、それが公的な資金だとしても、銀行にとっては負債の積み増しに過ぎず、財務体質は強化されるどころかむしろ劣化した。その上、早く預金を引き下ろしにきた預金者が優先的に報われるため、預金者の不安は収まらず取り付けは終息しない。一方、優先株方式の自己資本強化策では、銀行の財務体質自体が改善されるため、すべての預金者が平等にその恩恵を受け、彼らの不安も和らげられることになった。
 RFC方式による資本項目への公的資金投入は、日本の不良債権問題の処理にも大きな効果を発揮すると考えられる。その背景を日本の状況に照らして整理してみよう。
 第一は、不良債権の一括償却を可能にすることである。優先株発行と同時に既存の普通株を減資し、それを不良債権償却に充てれば一括処理が可能となる。
 第二に、自己資本が再拡充され、財務体質が強化されることである。減資分を償却に充てるとしても、優先株発行額がそれを上回れば自己資本が増加し、ひいては信用創造能力の改善が期待できる。特に、非累積型(優先配当金に未払いの期が生じた際、後年度に支払いを繰り越さない)の優先株であればBIS自己資本規制の本源的項目に算入され、自己資本比率の向上にも役立つ。
 第三に、以上の結果、預金者の不安を一掃するうえで絶大な効果を発揮することが期待できる。
 第四に、関係者の責任が明確になることである。減資により、経営者の退陣や私財提供も求めやすくなる。また借り手責任も追及し得る状況が作り出される。
 RFC方式の問題点は、無議決権型の優先株を想定するとしても、公的資金を投入する限り、一時的にせよ銀行に対する公的関与への懸念が生じる点である。また、実際に優先株発行となれば、その銀行が問題行視されるリスクも生じる。
 大恐慌期の米国においてRFCが目覚ましい成果をあげた大きな要因として、それが既存の行政機構からは独立した組織であったことを指摘しておきたい。当時は、不況が深刻化すると同時に社会情勢が悪化し、資本主義と民主主義が共産主義とファシズムの脅威にさらされるなど、各方面で閉塞(へいそく)感の高まりが見られた。
 その一方で、一九三三年初に米国議会の上院内に設置されたペコラ委員会の場でエスタブリッシュメント(支配階級)の腐敗が次々と明らかにされた。そして、彼らに対する信頼は低下の一途をたどった。
 こうした背景から、RFCのような独立機構を設立し、経済界・政界の強力な支持の下、真摯(しんし)かつ誠実に業務に当たる必要が生じたのである。日本でも、既存行政組織による不良債権問題への対応が市場が期待するほどに進まない中、独立機構を設立して問題解決を図ることも一考に値するであろう。

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