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私家版・2004年の10大ニュース 【ホワイトハウスから徒歩5分 金平茂紀/在米テレビ記者/】
http://www.asyura2.com/0411/idletalk12/msg/295.html
投稿者 どさんこ 日時 2005 年 1 月 01 日 16:54:08:yhLXMcSQdrkJ2
 

(回答先: **2005年へまっさかさま** 【Arab News Cartoon】 投稿者 どさんこ 日時 2004 年 12 月 31 日 10:09:51)

http://www.smn.co.jp/kanehira/mokuji/041231.html

休暇でアルゼンチンのブエノス・アイレスにいる。スーザン・ソンタグの死去をきのう知った。ソンタグの紹介者・木幡和枝さんから、彼女が脊髄のガンを煩っていて容態がきわめてよくないとは聞いていたが、こんなに早く逝くとは。最後に読んだ彼女の文章が『他者の拷問へのまなざし』(「論座」所収)だった。アブグレイブでのイラク人「拷問」が露わにする戦争遂行者の原罪を告発した文だったが。さて、この回が2004年の最後の雑記になる。

メディアの年中行事に今年の10大ニュースというものがある。みんな締め切りが12月20日前後なので、今年の場合、それが全く意味をなさなくなった。12月25日、東南アジアを襲った史上最悪の津波被害は、あらゆる10大ニュースの意味をゼロにしてしまったのだ。そこで、この事態を踏まえて独断と偏見で、今年2004年の10大ニュース(私家版)を考えてみた。

◆第1位。東南アジア諸国を襲った地震による津波惨禍。
死者数が10数万というのもケタ違いだが、天変地異の恐ろしさ、天災を前にした人間の無力さ・卑小さをあらためて僕ら人間が知らされたことの意味。戦争なんかやってる場合じゃないだろう、と。日本でも新潟の大地震や台風被害・異常気象(猛暑)と言った天変地異があった。大きな意味で、地球が人間に対して「復讐」でもしているかのようなこの黙示論的な天変地異の続発。大規模森林伐採や石油エネルギーの浪費による地球温暖化の進行、原子力エネルギーの無軌道な推進などがこの天変地異と無関係だではない。

◆第2位。イラク戦争による民間人死者10万人という統計。
天変地異による惨劇に人は深い悲しみと同情を覚えるのに、人為的・意図的な行為である戦争によって、イラクの民間人が10万人を超える死亡者を出したという推計にはほとんど無関心なのだ。米ジョンズ・ホプキンス大学の学者を含む研究者たちがイギリスの医学雑誌『ランセット』に発表した論文で、今回のイラク戦争によるイラク側民間人死者数は、10万人以上と推計した。この民間人の死者数はいまだに米国においては機密扱いなのだ。日本のメディアの中には、イラクでの米兵(民間人ではない)死者1300人超を国際ニュースのトップに据えていたところもある。イラク情勢の混迷は、2005年1月30日の国民議会選挙でまず第1関門を迎える。

◆第3位。日本政府がイラク邦人人質事件被害者に航空運賃を支払わせた事実。
2004年に、日本政府(および一部のメディア)は「自己責任」という言葉を振りまいて、被害者からカネをとったという事実を、後世の日本人にきちんと伝えておこう。国家が「邦人保護」の責任を放棄したどころか、「国策違反」のペナルティを課したという点で、この出来事は日本の近代国家としての水準をよく示している。

◆第4位。ブッシュ大統領の再選。
個人的には「4 More Years!」を絶叫する共和党大会フロアの熱気を目の当たりにして、どこかの宗教信者の大会にでも紛れ込んでしまったかのような錯覚を覚えたことが忘れられない。いずれにしても、現在のアメリカ人の多数が、このような体制の存続を選択したことの重みを考え続けなければならない。そのようなアメリカ国民の価値観の本質を見きわめることが重要だ。アングロ・サクソンの征服文化とでも言おうか。

◆第5位。日米関係の溶融。
戦後の日米関係で、この年ほど相互理解が進捗したことはないという「公式見解」があるが、本当だろうか。対等な関係というよりは、今起きていることは、関係の溶融=日本の運命を一方に一体化させること、捧げ尽くすことに近いのではないだろうか。自衛隊が戦後初めて戦闘地域に武器を携行して派遣されている。2005年は敗戦60年という節目。憲法改正という戦後政治の総決算がさらに進むだろう。

◆第6位。ロシア・北オセチア共和国ベルスランで起きた学校占拠事件。
強行突入、爆発による死者335人のうち156人は子どもたちだった。チェチェンをめぐって今起きていることは、「テロとの戦い」などというブッシュ印のお題目とは次元の違うものだ。ロシアのプーチン政権のチェチェン政策をしっかり見据えなければならない。ウクライナ選挙をめぐる民衆の動向といい、ソ連の亡霊はまだここかしこに彷徨っている。

◆第7位。スペインでの同時列車爆破事件。
むごい事件だった。この事件でスペイン国民は、ゴンサレス・米国同伴政権を罷免し、イラクからのスペイン軍撤退の道を選挙によって選択した。当初、ゴンサレス政権が、事件の実行者をETAだと強弁していたことも忘れられない。

◆第8位。北朝鮮拉致被害者の帰国と6ヶ国協議の失敗。
北朝鮮という独裁国家が今のままでいいと思っている人はいない。わずか15年前に、東ドイツが、国民の「逃散」によって崩壊し、「ベルリンの壁」が崩れたように、かの国の国民が「外の世界」を知り、自国の惨状を知った時、何かが変わる。そのカギはメディアに多くを負っているように思う。

◆第9位。アラファトPLO議長の死。
パレスチナ自治政府のひとつの核が失われたことで、中東情勢は2005年に大きく動く可能性があるだろう。

◆第10位。ビラ配布で逮捕・ガサという日本警察のアナクロニズム。
こういう話はアメリカでは本当に「事実、日本という国であったのだ」ということが信じてもらえない。だって、そんなこと言ったら大統領選挙の運動だって全然なりたたないもんね。全く呆れてモノが言えない。

※  ※  ※  ※  ※

まあ、私家版10大ニュースなので、随分、異論反論もあるでしょうが、ご寛恕のほどを。他に入れようかなと考えたのは、
◆日本メディア組織のボス支配の終焉?。
ナベツネとかエビサワとかツルタとか、そういう人々及びその取り巻きの「威光」が失墜したこと。でも、まだしぶとく生き残っているけれども。
や、ネット社会のモラル・ハザードなどだが、そういうことは何も2004年に限ったことじゃないのでやめといた。

ブエノス・アイレスの路上では、あちこちで子どもたちがゴミ袋を漁っているのが目に付く。今年1年「ホワイトハウスから徒歩5分」をご愛読いただきありがとうございました。
2005年を実りある年にしましょう。


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