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第一章 一連の物語 2 出口直(1836〜1918)-その1 九死に一生を得て生誕
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投稿者 謝寅 日時 2004 年 12 月 18 日 15:04:07:Bat5keDwZxjsQ
 

(回答先: 第一章 一連の物語 1 近年における啓示の歴史 江戸期より始まった啓示(大本教・民間信仰・民俗) [99-03-18] 投稿者 謝寅 日時 2004 年 12 月 18 日 09:52:05)

*出口直(1836〜1918)-その1*

*九死に一生を得て生誕*
 
 
 
 「お筆先」と称される神示(後に王仁三郎氏の手により、漢字交じりに編纂されて、大本神諭が発行された)を現わした出口直氏は、天保 7年(1836)12月16日、丹波国福知山紺屋町(現京都府福知山)に誕生した。おりしも天保の大飢饉のさなかであり、「大塩平八郎の乱」が在ったのも、この年の事。

 出口家では、祖父・曾祖父共に、腕の立つ大工であったらしく、藩の御上大工として、名字帯刀まで許される程であった。しかし父の五郎三郎は道楽者で、相当数の散財をしてしまい。直子氏の産まれる頃には、かなりの貧困生活を余儀なくされていた。更には史上でも稀な大飢饉のため、生活の困窮から直氏は本来、間曳きされる予定であったらしく、危うくに産まれる事が出来た。

 長ずるに従い、直氏は働き者で、謹厳実直な性格を現わしはじめて、十歳で住み込み奉公を始めた。酒乱の五郎三郎からは、余り良い扱いは受けてなかった様であるが、直氏自身は、親孝行であったらしく少女の頃に、その親孝行ぶりを認められて、藩から表彰された事もあったそうである。
 
 
 
*結婚後も続く悲惨な境遇*
 
 
 
 結婚して、同じく大工の政五郎を夫に持つようになったものの、この夫も又酒乱で、次々に田畑を売り払い、とうとう屋敷も総て売り払うという、文字通りの一文無しに迄、出口家は没落してしまった。
 それでも、夫に対しては、愚痴を言わずに、常に一歩下がって仕えていたという事から、当時は一般的に男尊女卑の傾向があったのを考慮しても、恐ろしい程の忍耐強さと、控えめな性格であったと思われる。

 その後の、直氏は、どうなっているのかと思う程、不幸が続いている。現代人であれば耐え兼ねてとっくに自殺を図っても、おかしくは無いほどだ。夫はアル中が祟って、働く事が出来なくなり、大工見習いの長男(武蔵)は、仕事の辛さに耐え兼ね、発作的にノミで自分の喉を突いてしまい自殺を図ったものの、一命を取り留め、その後逃走して行方をくらませてしまった。

 三女の久(後に王仁三郎氏と出会い、大本との仲介役、更には逆に、王仁三郎氏の妨害に至る様になる)は産後の肥立ちが悪く、逆上して座敷牢に入れられ、そこで神の幻影を見た。その後長女のヨネは発狂してしまう。そして、明治25年(1892)正月元旦に、直氏が初めて神懸かり状態となる。この時に直氏に懸かった神は、

「三千世界一度にひらく梅の花、艮(ウシトラ)の金神の世になりたぞよ。この神でなければ、世の立て替えはでけぬ。三千世界の大掃除大洗濯をいたすのじゃ。三千世界ひとつに丸めて万劫末代つづく神国の世にいたすぞよ」

と語った。直氏は驚き

「止めてくだされ、私などにそんな尊い神様が懸かられては勿体無い」

と懇願したところ、その神は

「わざと根底に落としてあろうがな」

と語った。
 
 
 
*三千世界の大気違い*
 
 
 
 長女・三女などが発狂した事も有り、当時の周囲は、直までが発狂したものと考えていたらしい。直氏は大声で、色々な事を叫びながら村を走り回り、その叫び声の一部に『・・・今のうちに改心致さねば、どこに飛び火がいたそうも知れんぞよ』という一節を聞き逃さなかった村人が、当時起きていた放火の犯人ではないかと、警察に通報が入り、直氏は投獄されてしまう事になる。
 幸い、真犯人が見つかった為、釈放される事になるが、警察には「三千世界の大峠」ならぬ「三千世界の大気違い」であると、相変わらず発狂者とみなされている。

 所で、この事件で懲りた直氏は、牢獄中自分に懸かった、自称艮(ウシトラ)の金神に、大声で叫ばないようにと懇願する。すると牢に落ちている釘を持てと、その金神は直氏に言う。釘を持ってみると、光の筋が見え、その光に沿って、釘で文字を書くようになった。これが通称「お筆先」の始まりである。直氏の自動書記した「おふでさき」は、最終的には半紙一万巻にも及んだという。

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