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9.9 第五回公判報告 [立川・反戦ビラ弾圧救援会]
http://www.asyura2.com/0411/nihon15/msg/125.html
投稿者 なるほど 日時 2004 年 10 月 08 日 13:23:43:dfhdU2/i2Qkk2
 

9月9日の第5回公判では、いよいよ弁護側の立証が始まり、弁護側の冒頭意見陳述、奥平さん・箕輪さんの証人尋問、大洞さんへの被告人質問が行われた。豪華2証人の登場というわけで、今裁判最大の山場であったといえよう。

★弁護人冒頭陳述書要旨★
 この日の公判で提出された弁護人の冒頭陳述書は、弁護側の無罪主張に当たり、何を主張するかをまとめたものである。A4・26ページにも及ぶ力の入った陳述書の全てを掲載することはできないので、章の項目ごとを見ながら、その論理展開を追ってみたい。
※ ※ ※
【第1 自衛隊イラク派兵】
(解説) 弁護側がまず主張するのは、自衛隊イラク派兵の違法性である。この違法派兵を放置しているならば、「法に対する信頼は、根底から覆ってしまう」とする。さらに、イラク派兵に対する世論の二分状況をマスコミ世論調査などから明らかにし、テント村のビラの内容が突出して隊員らに不安を与えるものではないとして、検察側の“ビラ脅威論”に反論している。
【第2 立川自衛隊監視テント村と自衛隊のイラク派兵に反対する活動】
(解説) 2章では、テント村の活動が紹介されている。テント村の歴史や、組織・財政の実態、課題などが明らかにされ、公安事件化の違法性を主張している。また9・11以降のテント村の活動実態や、イラク派兵反対闘争における立場などをまとめ、自衛隊官舎へのポスティングを継続してやることにした背景を明らかにしている。
【第3 本件ビラ投函行為】
(解説) 本章では、官舎へのポスティングを目的・態様などを明らかにし、その違法性を主張している。官舎へのポスティングはテント村でも昔からやっていたこと、また、全国の反戦平和運動の中で一般的にやられてきたことが挙げられている。さらに、ビラ投函の態様として、各戸ドアポストまで上がっていたことは、ビラをより読んでもらうためであったこと、このようなポスティングは業者なども一般的に行っていることを主張している。
【第4 表現の自由(憲法21条)に対する重大な侵害行為】
(解説) 本章では、本弾圧が表現の自由を脅かす重大な権利侵害であると主張する。表現の自由の中でも政治的自由は重要であり優越的であるべきことが述べられている。さらに、表現の自由とは、“表現内容”のことだけではなく、“表現手段”の選択の自由の権利でもある事を述べ、代替手段が無いことを主張する。また、本弾圧では個々の自衛隊員の情報を受け取る権利も侵害しており、「軍隊」システムが貫徹し情報や思想に対して統制的な自衛隊の中では、市民の主張が直接に届くことはとりわけ重要である、とした。また、高度情報社会の中では様々な情報が飛び交っており、情報の受け手の側に選択権がある以上、不快な情報でも「受忍」されるべきだとした。
【第5 本件弾圧の政治的意図】
(解説) 本件弾圧が、「住居侵入罪」の如何を超えた政治的弾圧であることを主張し、不当性を訴えた。検察官、捜査官の言動や捜査の実態などを見ても、この弾圧が反戦運動を抑圧するために行われたことは明白である、とした。
以上5点から、被告人らは無罪である、とした。

★奥平康弘証人(憲法学)の証言★
 弁護側証人のトップバッターは、東大名誉教授の奥平康弘さん。奥平さんは、憲法学者で表現の自由の問題についての専門家として有名な方だ。証言では、序盤は表現の自由と住居侵入罪との関係について、中盤は過去の判例や米国における議論との関係について、終盤では表現の自由が規制されているいまの社会状況についての意見が述べられた。証言は山本志都弁護士が質問する形で進められた。時間的には1時間弱ほどだった。
●情報が受忍される社会での選別的事件化
 まず、序盤では、ビラまき行為に住居侵入罪を適用することは表現の自由の規制になりうるかという質問には、なりうると答え、今回調べた結果、住居侵入罪の規定それ自体から問題があることが初めて分かったと、ショッキングな発言から証言が開始された。住居侵入罪における住居と建造物の違いについて、建造物ではそれを看守する管理者の管理権が前面に出されるので、住居と建造物とを明確に区別する必要があると述べていた。そして、管理者が個々の住民の情報を受信する権利=受益権を侵すことの問題にも言及していた。さらに、表現の自由の優越性については、表現の自由は人の人格の尊重、発達のために重要であり、民主的な共同社会を形成するために必要であると述べていた。また、情報の送り手と受け手の間で行われるコミュニケーションを公権力である国家という第3者が遮断することには問題がある、表現の手段は表現者が合理的に選択することができるとした。
とりわけ注目したいのは、現在の社会では受け取りたくない情報であっても受忍されている現状がある(受忍されなければ情報社会が成立しない)なかで、本件のように政治的に選別して刑事事件の対象とすることは許されない、という意見である。
●一般法を使った治安弾圧
 中盤では、従来の判例(東大地震研事件など)は建造物についての判例であり、管理者の管理権の“物理的な”侵害が問題となり、本件にあてはまるような判例はないと述べていた。米国での議論は、1940年代から始まった規制の流れが情報受信者の受益権の侵害に当たるとする最高裁の判決以降、規制対象を絞るという規制者の裁量権の範囲を問う60〜70年代の議論を経て、70〜80年代に情報のアクセス権に着目し、規
制を実態的に捉える議論にいたる経過が説明された。終盤では、戦前のように特別法である治安維持法のような法律をつくって表現活動そのものを規制することは難しいので、住居侵入罪のような一般法を使って形として犯罪にする手法が使われている。戦中と同じような社会になってしまうという杞憂を持っているが、それを防ぐために今回私は法廷に出廷したという意見で奥平さんの証言は終了した。

★箕輪登証人(イラク派兵違憲訴訟原告)の証言★
●北海道からわざわざご苦労様でした
 箕輪登さんは、1924年生まれで終戦を21歳のときに迎えた。立川に自衛隊が移駐した72年、防衛政務次官として国を代表して移駐を通告しに来たその人物である。国会議員を8期務め、郵政大臣も経験し、現在は北海道に住んでいる。箕輪さんの証言を以下に要約する。
●箕輪さんイラク派兵の違憲性を語る
「・私は2、3年前、自民党の国会議員に手紙を出し、海外派兵が、憲法や自衛隊法で抵触する具体的な条文をあげて、注意を促した。しかし、議員達が手紙を参考にした様子はなく、昨年、北海道の弁護士109人(北海道の弁護士の1/4)の協力を得て、自衛隊イラク派遣の違憲訴訟を起こした。
・30年前、自分が議員になりたてのころ、北海道地裁が、長沼裁判で自衛隊に違憲判決を出した。そのとき政府は、自衛隊が違憲ではないことの説明として、専守防衛、集団的自衛権の否定、非核三原則という三つの条件をつけた。しかしイラク派遣はこの約束と違う。
・私が生まれて、ずっと戦争の連続だったが、全部外国での戦争だった。そして、戦争に反対する人は、全員牢屋送りになった。当時主権在民だったら、意味のない戦争はしなかった。今は主権在民なのだから、派遣に反対する声があるのは当然だ。
テント村の配ったビラの「反対の声をあげよう」という内容も、自分の気持ちと同じだ。
今は、田中真紀子議員をはじめ、たくさんの人が私を応援してくれている。一方、自衛隊員は、法律違反をして(イラクに行く)のだから、不安があるのが当然だ。自衛官や家族にもいろんな情報が与えられ、議論があるのが大切だ。
・私は人道支援には賛成だが、それは自衛隊でなくてもできる。17、8年前、クウェートに行った時、現地の人が日本の機械を使って、海水から水を浄水していた。イラクではフランスのNGOが大型浄水機で人道支援をしている。
・小泉首相は国会での議決を経ずに、多国籍軍への自衛隊の参加を決めた。国内であれば、治安出動には自衛隊法78条で、20日以内の国会での承認が求められる。承認が得られなければ撤収する。多国籍軍は治安維持が目的であり、イラクについては国会が無視されている。イラク戦争も、ブッシュが、国連憲章の戦争禁止の例外規定の52条(自衛のための戦争)、51条(国連安保理の承認)を無視して行った戦争だ。
・先日、高遠菜穂子さんが『平和と戦争』という本を贈ってくれた。その中に、「誰だって、戦争を選ぶよりは平和を選ぶ」、「銃を持った人を歓迎する人はいない」という一節があり、自分の考えと同じだった。銃を持って人道支援など非常識だ。」(宗)

★大洞さんに対する被告人質問★
文責:大洞俊之(反戦ビラ弾圧被弾圧者)
 今回は被告に対する本格的な質問が始まり、トップバッターで私・大洞に対して行われた。
 3名の中では最年長で、どうも警察側はビラまき部隊の「首謀者」と考えていた節がある。「他の若い二人を扇動しただろう」などの取調中の刑事発言からそれがうかがえる。指導も扇動もない、そもそもそういう組織形態ではないのだが、どうも政治党派みたいに上意下達の命令系統がテント村にはあると考えていたらしい。こちら側の立証趣旨は、基本的に真実を包み隠さず伝える。テント村の日常活動についても、本当のところを裁判官にもわかってもらう、そういう方針でこの日の質問にのぞんだ。
●弁護側質問
 まず栗山れい子弁護士の質問が行われる。自分の最終学歴、テント村との接触経緯、テント村の結成経過や名前の由来、日常活動、運動課題、組織の性格や人数、財政基盤などなどいろいろ多岐にわたり、質問に答えていく。この質問は主任裁判官でもある鈴木裁判官(彼女が一審の判決を書く)が聞きたがっていたところ。何しろ警察の取り調べに対して黙秘なので、調書というものがこの裁判にはない。従って、テント村は被告のプロフィールのデータがないため、その部分を埋めたいらしい。この一連の質問は結構時間がかかった。
なお、ビラまき当日の行動についても、2月22日の配布について、追起訴された2名のみでなく大西君もいたことをこちらから明らかにした。これはいわなくても検察側の尋問で行われる可能性もあるし、現時点で明らかにしてもかれに追起訴の可能性はほとんどないという判断から。これも行動が犯罪行為などではない、被告たちにも全くそう言う意識がないことを示す方針からである。
●検察側の反対尋問
 続いて山口検察官の反対尋問。2月22日大西君が何棟をまいたのかという事件当日の質問が出る。これは知らないので、「知らない」と答える。住人の被害感情についても質問が出る。「それは信じられない。サンデー毎日の事件直後の官舎取材では住民がおおむね反戦チラシなど気にしていなかった事がわかる。そちらの方が自分の自宅に入るチラシに対する感覚からも信用できる。」というような意味のことを答えた。最後に、83年の軽犯罪法による逮捕や、昨年航空祭でのゲート前抗議で警察から警告されたでしょう、という質問まで出た。どうも、テント村は市民団体ではなく、過激な団体なんだ、ということを印象づけようとしていたらしい。  
しかし、5時が近づいたため「まだかかりますか?」という裁判長の質問にやや投げやりに質問は打ち切られた。何だか、準備していたというよりその場で思いついたとでもいうようないい加減さも感じた検察側質問であった。
その後、裁判官からこれまで警察・防衛庁から抗議があったか(「ないです」)、何時頃チラシまきを行っていたのか(「11時〜12時くらい。30分程度。」)、住民から連盟の抗議文などがあってもチラシまきは続けたか(さすがにそのまま続けるわけにはいかなかったと思う)という質問が行われた。質問の印象では、とにかく被告たちには犯罪行為という認識が全くなかったということを確認しようとしていたようだ。次回公判は大西君と高田さんへの質問予定。

http://www4.ocn.ne.jp/%7Etentmura/040914.txt



自衛隊官舎反戦ビラ訴訟 判決期日決まる [朝日新聞]
http://www.asyura2.com/0406/nihon14/msg/354.html


反戦ビラ公判で政治的 立件の実態浮き彫りに [金曜アンテナ]

 立川反戦ビラ裁判の第6回公判が9月30日、東京地裁・八王子支部で開かれた。この日は、立川市議の大沢豊さんの証人尋問と、被告2人に対する被告人質問が行なわれた。

 まず証言台に立った大沢さんは、障害者問題や環境問題などさまざまな市民運動のチラシや市議としての議会報告などを自衛隊の官舎にも配布していた経験などについて詳細に証言。「今回の逮捕、起訴は多くの人が自分たちの活動に対する弾圧と受け止めた。ビラの配布が、逮捕され75日間も勾留されて起訴されなければならないようなものなのか。立件は民主主義を抑圧するもので、本当に許せない」と訴えた。

 この後、被告の1人は、予備自衛官補や幹部候補生など自衛官募集チラシが立川市周辺でも頻繁に配られている具体例を弁護士から指摘され、「本来、ビラを住宅などに配布することは自由だと思うが、反自衛隊のビラだと逮捕、起訴され、存在そのものが憲法違反だとも言われる自衛隊のチラシはまったく問題にならないのは矛盾している」と怒りをぶつけた。また被告2人とも取り調べの実態について証言し、取調官から「政府の方針に反対で日本がいやだったら北朝鮮に行け」と言われたり、「二重人格のしたたか女」「寄生虫」などと差別的な言葉でののしられたりするなど、取り調べが「転向強要」以外の何ものでもなかったことをあらためて明らかにした。

 被告らに対する反対尋問で検察官は「黒ヘルグループにかかわったことがあるか」などと言葉の定義も明確にしないまま、被告らに対する悪感情を裁判官に印象付けることだけを狙ったような極めて意図的な質問を繰り返し、裁判長から「この裁判は思想を裁くものではない」と注意を受けるなど、立件自体が政治的なものであったことを図らずも浮き彫りにさせる一幕もあった。

 裁判は次回11月4日の公判で結審する。

(ジャーナリスト 中嶋啓明)

http://www.kinyobi.co.jp/KTools/antena_pt?v=vol527

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