朝日新聞１０月２１日
http://www.asahi.com/national/update/1021/011.html

死者・不明者８０人超す　岡山の住宅倒壊現場では３遺体

　荒れる海、濁流となった川、突然の土砂崩れ。台風２３号は温帯低気圧に変わったが、なお被害は続き、死者・行方不明者は８０人を超えた。

　住宅７棟が全半壊し、５人の行方が分からなくなっていた岡山県玉野市宇野７丁目の住宅地では２１日朝、３人の遺体が発見され、うち２人は青井義一さん（８８）と松田正敏さん（８３）と確認された。

　捜索は２１日午前８時前に再開された。現場は黄土色の土砂と泥が樹木や住宅をなぎ倒し、一夜明けても水が小さな川のように流れ続けた。ヘルメットをかぶった自衛隊員らが、１メートルほど積もった泥にひざ上まで埋まりながら、チェーンソーで倒木などを切って土砂をかき出した。

　捜索開始から２０分。土砂に埋まった住宅の中から、青井さんの遺体が見つかった。まもなく松田さんの遺体も掘り出された。

　現場から約２００メートル離れた立ち入り禁止区域の外側で救出作業を見守っていた松田さんの息子の妻の秀子さんは「昨日のうちに自衛隊に来てもらいたかった」と泣きじゃくりながら、運び出された遺体に付き添って救急車に乗り込んだ。

　神奈川県三浦市三崎５丁目の三崎新港では２０日午後１１時１０分ごろ、岸壁に係留中の浚渫（しゅんせつ）作業船「第十五紅陽丸」から、宮城県七ケ浜町の作業員鈴木勝男さん（６８）が海に転落し、行方不明となっている。

　三崎署によると、鈴木さんは同僚３人とともに甲板で船の係留状態を確認していたが、台風２３号による高波で船が揺れ、海に落ちたらしい。

　富山市の富山大橋下の神通川中州では「男性が取り残されている」と２０日午後１１時１０分ごろ、通行人から１１０番通報があった。消防隊員が橋からはしごをかけて助けに下りようとしたが、男性は増水した川にのみこまれ、行方不明となった。

　千葉県九十九里町の片貝漁港で２０日朝、防砂堤工事に伴う作業中、高波にさらわれた同県白子町浜宿の作業員湯浅正光さん（４８）と市原市五井西の作業員佐藤実さん（４８）の捜索も続いている。

　香川県さぬき市寒川町では２０日夜、農業野中留吉さん（８８）と妻ヨシヱさん（８７）の家族から「２人と連絡がとれない」とさぬき署に通報があった。署員らが２１日早朝、野中さん宅に向かったところ、住宅が裏山から土石流に流され、屋根だけが残っていた。 (10/21 11:20)

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