三井物産が排ガス浄化性能のデータを偽ってディーゼル車の粒子状物質除去装置（ＤＰＦ）を販売していた問題で、東京都は、同社とデータ偽装に関与した社員に対して、詐欺容疑での刑事告訴を視野に厳しく対処する方針を固めた。ＤＰＦ購入者に支給した補助金総額に相当する約１８億円に関しては、同社に損害賠償を請求する方向で検討している。

　三井物産はデータ偽装について「会社ぐるみではない」と説明しているが、都は「担当社員による個人の行為だったという証拠は何も提出されていない」と指摘。同社がデータ偽装によってＤＰＦの指定承認を受けたうえで、ユーザーを経由して都の補助金約１８億円を得た行為は、詐欺に該当する可能性が大きい、と判断した。

　都によると、三井物産のＤＰＦを装着したディーゼル車約２万１５００台のユーザーに対し、国や首都圏８都県市は補助金として約８０億円を支出した。行政と同社とは直接の支給・受給の関係にないが、都は「本来なら支給対象にならない機種のユーザーに支払ったことになり、三井物産のせいで損害を被った」（環境局）として、同社に賠償を求めるための手段の検討を急いでいる。

　この問題をめぐって、三井物産は代替品への無償交換や交換に伴う休業補償に応じる方針だが、都は「あらゆる手段で責任を問う」との姿勢を打ち出している。【奥村隆】

毎日新聞　2004年11月28日　3時00分

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20041128k0000m040103000c.html

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