北朝鮮による日本人拉致問題などに関する第３回の日朝実務協議が１１月中旬に平壌で開かれることになった。

　細田官房長官が８日夕の記者会見で、北朝鮮側が同日午前、外務省に対し、日本側の協議開催申し入れに同意する考えを伝えてきたことを明らかにした。日本側代表は、外務省アジア大洋州局の藪中三十二局長が務め、これまで通り、斎木昭隆審議官も出席する。北朝鮮側の代表も局長級が参加する見通しだ。

　実務協議はこれまで、８月中旬と９月下旬の２回とも北京で行われた。しかし、安否不明の１０人について、北朝鮮から十分な回答はなく、日本は安否不明者の再調査を担当する調査委員会のメンバーを協議の場に出席させるため、次回協議の場所を平壌とし、局長級に格上げするよう北朝鮮側に求めていた。

　平壌開催の意味について、細田氏は記者会見で「平壌で開催すれば、（北朝鮮の交渉担当者に）『あなたが分からないなら、分かる人を出してください』と具体的な交渉ができる。そういう意味では、大きな進展が期待できる」と述べた。

　北朝鮮側が交渉担当者のレベルを局長級に引き上げるかどうかについては、「普通はそうだ」と語った。

　北朝鮮側が協議開催に応じたことについて、政府筋は８日、「核問題の６か国協議が開かれない中で、日朝協議には応じるという『誠意』を見せることにより、日本国内で北朝鮮に対する経済制裁論が高まるのを避けるのが狙いだ」と指摘した。

　また、５月の日朝首脳会談で合意した北朝鮮への食糧支援２５万トンのうち、まだ実施を決めていない１２・５万トンを凍結すべきだとの声が、自民党内で強まっていることから、「北朝鮮は食糧を予定通り受け取ろうとしている」との見方もある。

　日本政府は今回の協議で、安否不明１０人の情報について、具体的な証拠や資料をそろえて提出するよう強く求める方針だ。

　８日午後に首相官邸で開かれた拉致問題専門幹事会（議長・杉浦正健官房副長官）では、１１月の実務協議では、日本国内の北朝鮮に対する厳しい世論を伝え、誠意ある回答を求めることを確認した。

　しかし、協議の見通しについては、「北朝鮮は金正日総書記がすべてを決めており、仮に局長級に格上げされても、大きな進展は望めないのではないか」（政府筋）との指摘もある。

(2004/10/8/23:26　読売新聞　無断転載禁止)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20041008i111.htm

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