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「見直し現場」で現場はますます混乱 「ゆとり教育」の戦犯(Web現代、2003.10.22)【戦犯は文部省と中教審】
http://www.asyura2.com/0411/senkyo7/msg/413.html
投稿者 南青山 日時 2004 年 12 月 30 日 02:34:38:ahR4ulk6JJ6HU
 

Web現代トップ > News Web Japan > 社会 > 2003.10.22
http://kodansha.cplaza.ne.jp/broadcast/special/2003_10_22/content.html

取材・文:草薙厚子 取材・撮影:島田健弘

教育の荒廃がいわれて久しいが、問題は根元にあった。今回の「ゆとり教育」見直し騒動で浮かび上がってきたのは中央官庁と教育現場の果てしない乖離である。見直しは乖離を若干修正するものだが、それ以前のねじれがあまりに大きいためにさらに混乱に拍車をかけているようだ。

■文科省はすでに舵をきっていた

文科省は「学力のところを詳しく加えただけ」というが

10月7日、中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)が河村健夫文科相に出した答申が大きな波紋を呼んでいる。昨春から完全実施となった「ゆとり教育」が1年あまりで変更される内容になっているからだ。小・中学校の指導要領はほぼ10年おきに全面改訂されてきたが、現在の学習指導要領は'98年に改訂されたばかり。この前例がない早期の大幅な見直しに対し、文部科学省初等中等教育局の担当者は「マスコミは“ゆとり教育から学力向上路線への方向転換”などと言っていますが、今までの学習指導要領に、学力のところを詳しく加えるだけのことです」と強弁している。
「学力のところを詳しく加える」ことは十分大きな見直しに思えるが、ある教育大学の教授も確実に“路線変更だ”と断言する。
「今回から『確かな学力というものを身に付けさせることが大事』というように表現が変わっています。端的に路線変更を表していると見ていいでしょう。現に(高校のエリート的な教育を進めるため)サイエンス・ハイスクールとか科学教育や英語などで卓越した可能性をもっている学校にお金を1000万〜2000万円ずつ出すような学力向上対策事業なども始めていて、習熟度別指導を重視しています。こういう学力対策授業の急速な進展を考えると、'90年代までの教育政策とはゼンゼン違う政策をとろうとしている」

中教審会長時代('96年)に「ゆとり教育」を提案した元文部大臣の有馬朗人参院議員に、今回の見直しについて直撃してみた。
「〔見直しということは〕学力重視の詰め込み勉強をもう一度おやりになるのは結構ですが、もう一度同じ失敗を繰り返すんですか、と問いたい。我々のゆとり教育のもとになることは、教える量は減らしても、教えた以上は徹底的に覚えさせようというものです。基礎基本を徹底的に教えましょう。すぐ忘れるような教育はしないようにしようということです。しかし、今回の改正をみてもそれほど方向転換だとは思いません。私の時と継続しています。いずれにしても考える力を養成しよう。教えすぎるな。ただし、教えた以上は絶対に覚えさせよう。これが学力に対する基礎的な考えです」

■教師たちを戸惑わせた「総合的な学習」

現場を一番驚かせた方針変更

週休2日制に加え、「ゆとり教育」を象徴する「総合的な学習」という言葉がある。
平成10年('98年)度改訂版の小学校学習指導要領の総則に「……児童に生きる力をはぐくむことを目指し……総合的な学習の時間のそれぞれの特質に応じて適切な指導を行わなければならない……個に応じた指導の充実を図ること」と出てきたものだ。「総合的な学習の時間」とは、いわゆる科目名で、授業としての一コマなのだ。

この学習内容に関しては、文科省と現場の教師の意見が大きく分かれている。この「総合的な学習」は、小学3年〜6年生に1週間3時間と定められ、狙いは「自ら学び、考え、調べる力を身に付けること」ということだ。多くの学校が、「調べる、まとめる、発表する力」を身に付けさせるため3学期に成果を発表させている。内容は何をやってもよく、教科書はない。その一方で、文面で児童の評価(成績)をつけなければならない。そのため現場次第で学習内容に大きな違いが出てくる。義務教育に適していないのではという声も上がっている。
「(教えるべき)内容が学習時間よりも少なくなったことで時間が余るんです。これまでは指導要領通りの内容をやれば1年は埋まっていたんです。しかし今回(平成10年度改訂版)はそこにある程度の余裕をもたせることによって、もっと細かにやってくれということでした。今までは配給され、検定された教科書を使えばそのまま授業時間を消化できたんです。けど、今回は総合もあり、工夫してやってくれという部分が生まれて、そこが(現場で)消化不良になってるんでしょうね」(前出・文科省担当者)

ゆとり傾向は明らかだ

ある小学校の中堅教師は文科省の非現実的な考え方を指摘する。
「地域とかかわりを持つなど、生きた理科や社会などを消化させてこそ総合的な学習となるというのが理想でしょうが、そのために週3時間も時間を取られて、その上、土曜日までが休みになると教科授業の時間が取れません。ゆとり教育が打ち出されてから現場は、『せわしない状態』で、どんどん首をしめられている感じがします。家庭に子供を育てていく力が欠けてきており、しかも現在は不景気で共働きが多くなり、土日が休みとなると、親たちは子供を塾や習い事に通わせることで安心しようとする。そこで今度は『確かな学力』となると、“教え込みではなく体験重視の学習”を進めるという方針なので、内容を削減したと文科省は言っていますが、一つの単元にかける時間はさらに多くなると思います。とにかく週休2日制はすぐにやめたほうがいいのではないかと思います」

新しい指導要領の柱は「総合的な学習の時間」の一層の充実と、「個に応じた指導」の強化で、さらに今回のポイントは「確かな学力」をつけることだと文科省は力説する。
「教育の到達点は、子供の自立、生きる力、生き抜く力を育てることになると思って、文科省も現場も動いているのでしょうが、文科省の考え出すことと、それを実際に行う現場との間にズレがあると思います」(あるベテラン小学校教師)

■ スリッパを引きずりながらペタペタと

「総合的な学習で先生たちももっと考えてください」有馬参議院議員

文部省の担当者も「非常に大きな改革だったために現場がついてこられなかったのでしょう」とつぶやいていたが、前出の有馬議員は自分がはじめた「ゆとり教育」に後悔はないという。
「総合的学習の時間をなんで与えたのかというと、もっと自分たち教師にいろいろ教え方を工夫させてください。学習指導要領があまりにもがんじがらめだという意見が非常に強かったんです。また、忙しい、忙しいというから土曜日を差し上げたんです。そしたら、学校の時間を増やしたり、部活をさらにやったりしている。忙しいというのなら、部活をやめたらいいんです。また、家庭が教育を学校に任せすぎてるんです」

文科官僚は教育現場をどの程度理解しているのだろう。ある研究指定小学校の教師はこう証言する。
「文科省は、指定校の研究結果からよい結果ばかりというが、指定校の立場から問題点を報告できるわけがないと思います。文科省の学校視察も1時間位か長くて半日です。迎える学校は数日前から、清掃し補修して、教員は普段着用しないスーツなどで迎えます。一体そんな環境で文科省の方々は『何かわかる』のでしょうか? 真の現場を知りたいのなら最低1ヵ月は共に生活しなければ分からないと思います。授業を見にきた若い官僚も、私語が多いし、廊下でもスリッパを引きずりながらペタペタと歩いて、授業中という意識が全くないという人が増えています」

精神科医の和田秀樹氏は、今回の急な改正には政治の影があるとも指摘する。
「今回の改正は文科省が負けを認めたといっていいですが、この時期に発表したというのは、選挙も近いですし、かなり政治的な背景もあるんじゃないかと思います。答申そのものはほとんど決まっていたと思うんですが、選挙前だからあえて学力重視に書き換えさせたというようなことはしたかもしれないですよね。地方では、PTA会長、財界人、一般市民もゆとり教育に対して怒っています。東京なら塾もあるし、中高6年一貫校もありますが、地方にはそれほどありません。これではあきらかに地方が大学受験で不利になりますよ。地方の政治家の後援会の人たちが政治家にお願いした部分もあるんではないでしょうか」

いじめ、登校拒否、学級崩壊、少年犯罪など子どもたちをめぐる環境は悪化する一方だ。いうまでもなく、教育問題はいつの時代も国にとって最重要課題だ。今回の「ゆとり教育」をめぐるゴタゴタを取材して、根本的な構造改革は教育現場にこそ必要だと痛感した。そして、マニュアル世代が多数を占めるようになってきた官僚・教員たちにこそ小・中学時代に「ゆとり教育」が必要だったのである。

★少し前に、日本の教育の荒廃の原因は左翼系教師(日教組)にあると、頓珍漢な投稿があったが、ここ数十年、日本の小中高教育の現場を取り仕切っているのは、そしてその結果として日本教育の現場を混乱の極みに追いやっているのは誰なのか、このレポートを見れば明らかだ。それは言うまでもない、思考停止の反動保守系教育委員と、同じく頭の不自由な文科官僚、そして教育系族議員である。江戸、明治以来、教育水準の高さだけが、日本の資源なのだ。こいつらに教育を任せておくと、本当に日本の未来はなくなるぞ。

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