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天木直人・メディア裏読み(11月1日)香田さんの惨殺は始まりに過ぎない/小泉首相の命運はアラブ民衆の手で絶たれる
http://www.asyura2.com/0411/war62/msg/155.html
投稿者 天木ファン 日時 2004 年 11 月 01 日 21:18:27:2nLReFHhGZ7P6
 

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□★□ 天木直人11月1日 メディア裏読み □
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◎ 香田さんの惨殺は始まりに過ぎない
(1)「テロに屈しない」という言葉を繰り返す小泉首相の罪
(2)イラク情勢は今後急速に悪化する
(3)ウサマ・ビン・ラディンの声明が与えた衝撃
(4)今度は自衛隊が襲われることになる
◎ 小泉首相の命運はアラブ民衆の手で絶たれる


 ◇◆ 香田さんの惨殺は始まりに過ぎない ◆◇

 現実があらゆる解説を凌駕して進んでいる。香田さん拉致事件の結果は容赦なき斬首という最悪の結果に終わった。評論はもういい。新聞やテレビで洪水のように流されるニュースや専門家のコメントを聞きながらそう思った。小泉首相とそれを支持する立場の政治家、官僚、有識者たちは、政権に与えるダメージを最小限に抑えようと必死の言論操作を重ねている。権力者を正面から批判しなくなった大手メディアは、小泉首相が間違っていると知っていながらその批判に及び腰である。物事の本質を知る立場にない多くの国民はどう判断していいかわからず嫌な気分で毎日を過ごしている。なんという不幸であろう。

私は今回の事件は、小泉首相にすべてを委ねた日本という国が、今後急速に悪化する中東情勢に巻き込まれて更なる犠牲を強いられて行く始まりであると思う。この国の為政者の誤った政策によって、ただでさえ経済、社会問題でもがいている日本が、それらの問題を解決できないままに、中東から発する戦争の当事者に巻き込まれて行くのだ。こんな馬鹿なことがあろうか。


(1)「テロに屈しない」という言葉を繰り返す小泉首相の罪

我々は今のイラクの混迷の原因が、すべて米国の中東民主化構想から来ていることを知らなければならない。それはイスラエル周辺のアラブ諸国を親米政権にし、イスラエルの安全を脅かす一切の武装抵抗組織を一掃するという傲慢な政策である。

そのような米国の政策がうまくいくはずがない。ブッシュ大統領がかつてないほどイスラエル擁護の政策を進め、パレスチナ人、アラブの国民を虫けらのように犠牲にしてきた結果、米国への憎悪はかつてないほど高まっている。米国が言うテロとはそのようなアラブの国民を代弁した過激武装組織の反米抵抗攻撃なのである。

従って、「テロに屈しない」という小泉首相の言葉は、日本がイスラエル寄りの米国と一緒になって、そのようなアラブの武装抵抗勢力と戦うという宣戦布告なのである。それを小泉首相はわかっているのか。そもそも日本にとって何ら関係のない中東紛争の当事者になろうとしていることに気づかないのか。しかもいままでのどの米国の大統領よりもイスラエル寄りの強硬政策をとるブッシュ大統領を全面的に支持しているのだ。長年にわたって積み重ねられてきたわが国の中立的な中東外交を、ブッシュ大統領に好かれたいという個人的理由であっさりと捨て去った小泉首相とそれを許した外務官僚の罪は万死に値する。


(2)イラク情勢は今後急速に悪化する

アラウイ暫定政府首相は10月31日、ファルージャを占拠する武装勢力との和平努力は「最終局面」に入ったと述べた(バクダッド発共同通信)。ファルージャへの大規模な軍事作戦に向けた“最後通告”である。これまでにも連日のように米軍と暫定政府軍はファルージャを攻撃してきた。多くの民間人が犠牲になってきた。それを更にまたもっと激しく攻撃するというのだ。来年1月の選挙を何があってもやり通そうとする米国占領政策の無謀である。抵抗できずに死んでいったイラク人の米国への怒りと怨念が武装抵抗をより激しいものにしているのだ。

今度の米国のイラク攻撃で死んだイラク人は1万五千人と言われていたが最近に至って10万人を超えるという調査結果が米国ジョンホプキンス大の現地調査で明らかになった。これは衝撃的である。ここまで悲惨な犠牲を強いられてきたイラク人の米国に対する恨みが、あの香田さんへの虐殺に凝縮しているのだ。香田さんの切り落とされた首が米国の星条旗に包まれていたということが明確なメッセージである。日本は米国に加担した敵であるとの宣戦布告である。それを単なる残忍、非道の行為と非難する事は世論の目をそらす政治的欺瞞だ。彼らにとってはどのような残虐行為でも自分たちに向けられた米国の残虐行為に比べれば取るに足らないものなのだ。いまイラクで繰り広げられている事は間違いなく米軍と抵抗組織との戦争なのである。日本がその戦争に巻き込まれ始めての犠牲者を出したということである。

それにしても今回の事件における世論の冷ややかさは異常である。息子を殺された親が「すみません」と世間に頭をさげている。イラク人を前にして「早く平和が来ること」をお願いしている。誰が平和を壊したのか。誰の為に息子は殺されたのか。同じように首を切り落とされた韓国の青年の親を見よ。泣き喚いて政府を批判した。それが本当の感情であろう。本当の事を表現できない日本とはなんと言う国か。香田さんは退避勧告を無視する形で入国した軽率な放浪者であるから同情も起こらないだろうという、そんな世論を見越すかのように小泉首相は自らに向けられる責任を乗り切ろうとしている(11月1日付毎日新聞)。しかしイラク情勢がますます悪化していく中で、小泉首相の強硬な態度は日本を武装抵抗組織の本当の敵に追いやっていく。

いったい日本の中で今の中東情勢に警鐘を鳴らすものはいないのかと思っていたら、11月1日の朝日新聞に元駐イラク大使の片倉邦雄さんのコメントが載っていた。彼は正直ないい人であった。本当にアラブを理解しようとした人であった。それゆえに外務省では評価が低い人であった。

「・・・暫定政府の治安維持機能は働いておらず、宗教指導者の影響力にも限界があり、イラクは無政府状態に陥っている。来年1月の国民議会選挙の進め方など、あるべき姿を定めず、アメリカに都合の好い論理を押し通そうとしているところに、イラク人に広がる反米感情の根底がある。
  日本政府は自衛隊を撤退させず、駐留延長の方向を打ち出している。日本が独自に情勢分析をすることもなく、米英に言われるままに駐留を続けるならば、ますます厳しい現実に直面することになろう」


(3)ウサマ・ビン・ラディンの声明が与えた衝撃

10月29日に突然アルジャジーラを通じて流されたウサマ・ビン・ラディンの声明をどう解釈すればよいのか。あの声明は本当にウサマ・ビン・ラディンのものなのか、彼は生きていたのか、生きているとしてどこにいるのかなどなど、疑問は多い。この声明によって危機意識を募らせ米国民が、「テロとの戦い」を唱えるブッシュ大統領をあらためて支持したため、ブッシュ大統領の支持率は選挙直前に上昇したらしい。ウサマ・ビン・ラディンはブッシュ側と組んでいるのではないのか。あの声明の中でマイケル・ムーア監督の映画9.11の冒頭のシーン、すなわちブッシュ大統領は事件を知ったあとも幼稚園で子供たちとしばらく時間を過ごしていたシーン、を見たと思わせる発言をしていることをどう解釈すればよいのか。すべては米国とイスラエルが、「テロとの戦い」の脅威を捏造して、その口実の下にパレスチナ人の抹殺や反米武装抵抗運動を押さえつけようとしているという人もいるくらいだ。

そのような様々な憶測の真偽をここでは論じない。あの発言を額面どおりに受け取ったとして、私は彼がレバノンへの米国の攻撃に言及したことに驚かされた。彼は言う。

「・・・レバノンの崩壊した高層ビルを見て、同じように米国の高層ビルを破壊し、我々の苦しみを味わわせねばならないと決心した・・・」。私はレバノンに大使として勤務して82年のイスラエルのレバノン侵攻が如何に酷いものであったか、そしてそれを許し、援護した米国への反発が如何に強いかをレバノン人から聞かされて知っていた。だからウサマ・ビン・ラディンがレバノンの例を出してここまではっきりと米国の「抑圧に対抗する強い感情と抑圧者を罰する強い決意」を述べたことは衝撃的である。

しかも彼は他のアラブの指導者をも批判しているのだ。すなわち、「・・・アラブの国々は、半分は軍隊が支配し、後の半分は王族や首長が支配する。支配者の多くは傲慢で強欲、正当な権利もなく金銭を手にする。父親のブッシュはこの地域を訪れてからこれを真似し始めたようだ。・・・」この認識こそアラブの大衆が一様に感じていることなのだ。すなわちアラブの殆どの為政者は米国、イスラエルと対決する姿勢をとることによりアラブの大衆の心をひきつけようとしているが、その実は米国、イスラエルと結託してパレスチナ人やアラブの民衆を裏切っているという強烈なメッセージなのである。ウサマ・ビン・ラディンはアラブの為政者たちに、「お前たちはアラブの国民を裏切ってまで自らの地位が欲しいのか。どうして団結して米国、イスラエルと戦わないのか」と激を飛ばしているのである。私がレバノンにいた時に多くの若者たちがオサマ・ビン・ラデンを英雄視していた根拠はここにあるのだ。

そのウサマ・ビン・ラディンがブッシュは米国民をだまし続けて本当の事を言っていないから、再び攻撃を仕掛ける理由は残っていると言っているのだ。この発言は要注意である。ブッシュ大統領はテロには決して負けないと言い張り、小泉首相はそのブッシュ大統領のあとをひたすらついていくばかりである。日本が危ないという根拠がここにもある。アラブの大衆の反発を招く政策を取り続ける限りいつかは必ず敗北するのだ。日本の中東専門家は何故このことを強調しないのか。


(4)今度は自衛隊が襲われることになる

小泉首相と外務省、防衛庁は震え上がっていることであろう。日本が反米武装組織の敵になったことが今回の事件ではっきりした。彼らの最後の標的はサマワの自衛隊である。自衛隊は怖くて外に出られない状態が続く。怖いからますます武装力を強化する。ただでさえこれ以上行うことのない人道援助であるのに更に延長して何をするというのか。一体小泉首相は何を考えているのであろうか。見ているがいい。情勢は12月に向けて更に悪くなっていく。それでも「多くの国があるいはイラク人が期待しているから自衛隊を派遣する」と言っている。よくこのような男を日本の指導者として国民が許していることであると思う。彼が郵政民営化とか三位一体といった国内問題でどんな嘘を繰り返してもいい。しかしこの中東問題をそんな調子で軽く見ては大変なことになる。米国と心中しろとでも言うのか。本当に国民はそれでよいのか。


◇◆ 小泉首相の命運はアラブ民衆の手で絶たれる ◆◇
 
一つだけ気になる事がある。小泉首相の支持率である。10月26日の朝日新聞の世論調査では小泉首相の支持率が38%に対し不支持率が45%と大きく逆転していた。これはおそらく小泉首相が就任して以来の不人気ではないのか。そう思ってその後の他社の世論調査に関心を持っていたがまったく世論調査がなされなかった。普通は各社が競って調査をするはずである。おかしいではないか。支持率しか頼りのない小泉首相の支持率が下がれば、もはや小泉首相は終わりである。そういうこともあって不利な時には敢えて世論調査をしないのであろう。ここにマスコミの作為的な配慮が見え隠れする。しかし私は思う。小泉首相は中東外交で政治生命を失うのではないか。いくらパフォーマンスを重ねても、いくら改革を叫んで国民を煙に巻こうとも、アラブの民の怒りと恨みをかってしまえばおしまいである。

パレスチナ人の抵抗の歴史、アラブの民衆の抵抗に勝利した宗主国はいない。仏国も英国も最後はアラブを手放さざるを得なかった。今米国はそのアラブを力で征服しようとしているが、おおくの犠牲を出した後ではじめてその愚を悟って撤退せざるを得ないであろう。そうなる前にどれほど多くの人の生命が犠牲になるのか。そんな愚かな戦いに日本を巻き込んでいこうとする小泉首相が任期を全うできるわけがない。それをアラブの民衆が許すはずはない。大義なき戦争は必ず負ける。民衆を苦しめる戦争はその民衆によって必ず復讐されるのだ。 

http://homepage3.nifty.com/amaki/pages/ns.htm

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