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ダール・ジャマイル「包囲作戦開始,バグダードは憤慨」( Falluja, April 2004 - the book)
http://www.asyura2.com/0411/war62/msg/842.html
投稿者 Kotetu 日時 2004 年 11 月 10 日 02:25:20:yWKbgBUfNLcrc
 

ダール・ジャマイル「包囲作戦開始,バグダードは憤慨」

イラクに入ったダール・ジャマイルさんのウェブログの11月9日の記事です。ファルージャ攻撃開始についてのバグダードの反応,およびバグダードの状況レポート。

ラフール・マハジャンさん「帝国ノート」8日記事(翻訳は益岡さん)もご参照のほど。報道記事はいくつかRaed Jarrarさんが拾っています。

November 09, 2004
The Siege Begins, Outrage in Baghdad
http://dahrjamailiraq.com/weblog/archives/dispatches/000107.php
and/or http://electroniciraq.net/news/1699.shtml

昨日,いわゆる暫定政権首相のアヤド・アラウィからのゴーサインを得て,ファルージャ総包囲戦が開始された。アラウィはご主人様,すなわちブッシュと同じレトリックを用い,ファルージャに正義をもたらす,テロリストを殺す,などなどなどなどと,こちらがいやになるほど喋っていた。

昨日,イラク全土に(クルド人の支配する北部を除外して)戒厳令が敷かれたが,今日アラウィは,彼の「治安法」を施行するための6段階を提示した。これは必然的に,夕方6時からのファルージャでの夜間外出禁止や,緊急車両や政府の車両を除いてはハイウェーを通行禁止とする措置,公共施設の閉鎖,ファルージャにおけるすべての武器の禁止,シリアおよびヨルダンとの国境を,食料輸送トラックやそのほかの必需品を輸送する車両以外はすべて通行禁止とする措置,そしてバグダード国際空港の48時間の閉鎖を含むものである。これがこんにち,解放されたイラクにおける自由とデモクラシーがどのように見えるか,である。

バグダードでの反応?

「法律には慣れていましてね,法律がどう機能するかもよく知ってるんですが」とアブ・モハメドは言う。彼はあるモスクで話をする法律家だ。「第一に優先すべきは,法律をつくる人間が,法によって権威を与えられるようにすることです。ここバグダードでは,戒厳令とは,侵略に反対するイラクのレジスタンスに対するジェノサイドです。法の目的は,レジスタンスを殺すこと,そして人々に考えることすらさせないようにすることです。イラク人がどのように考えるかを制限することができると思われますか? インシャラー(神のご意志で),そんなことはできません。私たちは私たちの宗教を守らねばならない。レジスタンスは合法的なものです。レジスタンスは自分たちの仕事をして,私たちから侵略者を取り除いてくれるでしょう,インシャラー。」

「サバー」という名前を使ってほしいというもうひとり別の男性は,アル=アンビアアモスク(Al-Ambia'a mosque)で話をしている人物だ。「アメリカ人は何千キロもはるばる,イラクを侵略し,人々を殺しにやってきた。彼らはそろそろ罰されてもいいころだ。彼らに私たちを殺す権利など,誰が与えました? 私たちには非合法の暫定政権がある。だから私たちは自分の手で報復をしなければならない。」

ずっと,市全体で銃撃戦が行なわれて,いくつかの強い爆発が続いている。私はいわゆるグリーンゾーンからそう遠くないホテルに滞在している。アラウィの記者会見のほんの少し前に,グリーンゾーンの近くでは大規模な銃撃戦が発生していた。

バグダードで毎日ごく普通にある,いつもの散発的な銃撃戦だ。

友人のアジズが今日の午後立ち寄ってくれた。私は彼に調子はどうですか,ご家族は,と尋ねた……「状況のことを度外視すれば,まあ問題ないですよ」と彼はがっくりした様子で答えた。「内戦になるでしょうね,遅かれ早かれ。」

ファルージャのことを話ながら,アジズは頭を振った。町にはまだ3万から10万の市民たちが残っていると言われている。主流メディアでは「退去を拒否した」と説明されている人々だ。

「ファルージャには,貧しいので町を離れられない人たちが大勢いるんです。バグダードの土地や家はとても高い。お金がなさすぎて出ていけないひとたちが,ほんとにたくさんいるんですよ」とアジズは諦めたように言う。「アメリカ人は前回と同じことをしています――大病院を制圧して,病院や診療所や救急車を機能させないでおく。アメリカ人は一般市民を殺している。それも前回と同じです。」

このとき,私の部屋のドアが大きな音を立てどっと風が入ってきたので,私は飛び上がった……サラーム(私は彼と一緒に帰宅した)とアジズは笑い転げていた。私は恥ずかしくて,彼らにうるさいよと言った。

「白人だったらどう反応する?」と私は何とかして体面を保とうとして訪ねかけた。

アジズが答えた。「そもそもこんなおそろしい状況の中に来ようなんて考えるほどいかれた頭してないですよ!」  再び,アジズとサラームは笑い転げた。私は降参した。彼らと一緒になって,自分の状況のばかばかしさを笑った。

遠くで大きなオートマティックの銃撃戦の音がまたしていたのを,私たちは座って聞いていた。この多くは,もちろん,報道されていない。すべての目が(ここバグダードではなく)ファルージャに向けられている。バグダード周辺で絶え間なく爆発している爆弾のことも,ほとんど報じられていない。

しばらくして,私は路上である人と話をしていた。この人は先ほど,3000ドルで車を売らないかと言われたのだが,と私に言っていた人物だ。私は彼の車を見たが,せいぜい500ドルという感じだった。彼は言った。「この車をね,使いたいんですってよ,爆弾として。」

その夜,私はホテルの屋上にいた。一触即発になっている地域についてノーラに話を聞き終えて,世間話をしていたとき,遠くで巨大な爆弾が2発爆発した。ドスンという音を聞き,振動が伝わってきたと思うと電話が途切れた。私はノーラに,遠くで大きな爆弾が2発爆発するのが見えたよ,と言った。完璧なタイミングだ。

少し経って,私は屋上に戻り,ファルージャの方角を見ていた。ジェット機が引き続き轟音をたてながら頭上を飛び,ファルージャに向かっていた。

軍はファルージャに2000ポンド爆弾を何発も落としている。ジェット戦闘機がここ数日バグダードの上空を飛んでファルージャに向かっている。それがここから見えた閃光と振動なんじゃないかと思う。爆撃は絶え間ない。

ファルージャで一般市民に対して何が起きているのかを考えるとぞっとする。4月のやり方と同様に,米軍はファルージャ総合病院を襲い,病院を町から切り離した。4月と同じように,彼らは医療サービスを断ち切った。またひとつ,戦争犯罪を犯したのだ。

総合病院の医師のひとりを取材した報道があった。病院の所有する救急車が1台,病院から出ようとして撃たれたという。私がファルージャにいた4月とそっくり同じだ。救急車はすべて標的とされていた。その写真は私のウェブサイトにある。

しかし今回は,ファルージャの死者は800人とか1200人ではないだろう。もっと多くなることが予想されている。そして,米兵の犠牲者も,130人ではなく,もっと多くなることが予想されている。この先数日で起きるというわけではない。最初の殺戮のあとは,じわじわとした流血が続くのではないかと思っている。

既に町では噂がささやかれている。戦士たちのほとんどはファルージャを出てしまい,ほかの都市に移動している,と。バグダード,ラマディ,サマラ,ハディーサ,カルディヤ,などなど。4月のときと同じように,ほどなくイラク全土で動きが活発になるであろう。

もう夜も更けた。耳栓をして眠ろう。街路の銃声や頭上を飛ぶジェット戦闘機の轟音は,今夜は鳴り止むことはないから。

Posted by Dahr_Jamail at November 9, 2004 05:11 AM

ほかのウェブログの記事を。
Robert Fisk記事の和訳をされてきたapoさんの「まんがめがむんど」さんに,例のビニール結束ひもからジュネーヴ条約違反までの記事。今日私がフォローしきれていないことも書かれているので(スンニ派とシーア派の宗教指導者による「米軍に対する抵抗闘争はジハードである」という宣言など),ぜひともご一読を。

apoさんのところからたどって,パレスチナのことを伝え続けている「P-navi info」さんに,「病院でベッドに寝ていた23歳の男性がイスラエル軍によって頭部に銃撃を受け,重態に」という記述。ファルージャでは入院してる人をなぜビニールの結束ひもで縛り上げるかと思わされたが,パレスチナではそれどころではない。入院してる人が頭部を撃たれている。比較の問題ではない。どちらも,最低限の約束事を平気で破る,ひどいケースだ。

4月,『ファルージャ』の翻訳や原稿整理の作業を進めていたときに,たまたま目にした米国のメディアの記事で,米軍が――確かキミット准将だったと思うが――「救急車から撃ってきたから反撃したのだ」と記者の質問に応じていたことを知り,私は笑いが止まらなくなった。

これがモンティ・パイソンでなくて何だろう。

「京都女子大学現代社会学部 平川研究室」さんは,益岡さんの訳したマハジャンの記事を引用した次に,

ちなみにいまNHK BSのCNNニュースでも病院占拠の米軍の説明を報じていたが、それによれば、「武装勢力が『怪我をした』とやってきて、それで犠牲者数が増えてしまう」とも言ってるそうだ。

と書いておられる。

反射的に思い出したのは,しばらく前に夜中のテレビで見たマイケル・ムーアのthe Awful Truth。「裁判の件数を減らすには,裁判をさせなければいいじゃない!」という,マリー・アントワネットも真っ青のクールなアイディアで,やってない奴でも誰でも,逮捕の次は司法取引にしてしまう。結果,裁判の件数は減って「よくできました」。

同じ思考回路が透けて見えるような気がしてならない。

さらに平川さんから引用:

要するに米軍の意図は、犠牲者が集まり、その総体的事実が判明しやすい病院という「事実の集積現場」を封鎖し、犠牲者の数を数えられないようにすることによって、ファルージャ市民や他のイラク国民、あるいはイラク戦争に批判的な国際世論に対する「情報戦」を展開することにあるのだ。そして病院が米軍に占拠され、負傷者が行くことが出来なくなれば、数えられないままに亡くなっていく犠牲者が誰にも知られることなく増えていくことになる。あるいは負傷者は、とくに男性の場合は「武装勢力」と見なされ、治療を受けることもなく拘束され、ヘタをすればそのまま放置、見殺しにされる恐れもある。そして、彼らの死は、「犠牲者数」にはカウントしてもらえないのである。

さらにおまけ。「病院がプロパガンダの根源」という,医学をなめくさった傲慢な態度に関連して,それよりは傲慢でないものとして,友人が教えてくれたトニー・ブレアの“断固たる姿勢”。

「やつらは政治的な思惑があるんだから,戦死者が出ても妥協しない」

……おまえには政治的な思惑はないんかい。

あと,メモ。移譲された「主権」についての記事2件。今日はできなかった。

Iraqi Judge Zouheir Al-Maliky Sacked for Investigating Government Abuses
By Cécile Hennion
Le Monde
Saturday 06 November 2004
http://www.truthout.org/docs_04/110904H.shtml

Ordered to Just Walk Away
By Mike Francis
The Oregonian
Saturday 07 August 2004
http://www.truthout.org/docs_04/081004X.shtml
→10月の続報がhttp://www.truthout.org/docs_04/101004T.shtml

投稿者:いけだ
http://humphrey.blogtribe.org/entry-bf969607c15436ebd7b359765e6c65bf.html

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