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信憑性精査せず殺害と断定 イラク人質事件誤報検証 (共同通信)
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投稿者 彗星 日時 2004 年 11 月 10 日 04:29:15:HZN1pv7x5vK0M
 

信憑性精査せず殺害と断定 イラク人質事件誤報検証

 イスラム過激派を名乗る組織がイラクで福岡県出身の香田証生さん(24)を拉致した事件で、共同通信は10月30日未明、イラク中部で米軍が発見した遺体を香田さんと断定し「香田さんが殺害された」との誤った記事を配信した。政府や与党の幹部への取材に基づく記事だったが、指紋などによる確認ができていないにもかかわらず、情報の信憑(しんぴょう)性を精査せずに報道し、香田さんのご家族や関係者、読者に大きな迷惑を掛けた。「殺害」を取り消すまで半日。なぜ誤報に至ったのかを検証する。

 ▽外務報道官目撃
 殺害予告期限から1日がすぎた10月30日午前2時すぎ、東京・霞が関の国土交通省から帰宅しようとした共同通信記者は、タクシーで駆けつけた高島肇久外務報道官が道路を挟んだ向かい側の外務省通用口に慌てて入る姿を目撃した。)
 この情報で政治部、外信部、社会部、福岡支社など関係部署が動き始めた。外務省詰めの記者は外務省のオペレーションルームに高島報道官のほか総合外交政策局長、中東アフリカ局長、領事局長が詰めていることを確認した。
 2時半ごろ、福岡県直方市の香田さんの実家の明かりがともった。各部は「家族に伝わるような重大な事態」と判断した。
 ほぼ同時刻、首相官邸に首相秘書官が相次いで入った。官房副長官が駆けつけ、細田博之官房長官も官邸に向かったことを官邸詰め記者がつかんだ。2時41分に「人質事件で政府内に動きが出てきた」という加盟新聞社あてのお知らせを出した。
 記事配信を統括する編集局ニュースセンターのこの夜の責任者は「朝刊にまだ間に合うぞ」と政治部や外信部に連絡した。

 ▽過信、思い込み
 午前3時前に官邸詰め記者らから政治部デスクに続けざまに情報が入った。政府幹部は記者とのやりとりの中で「(香田さんは)亡くなっていますか」という問いに「ハイ」と答えた。
 与党幹部は「何か聞いているか」との質問に「聞いている」、「死亡か」の問いにも「聞いている」と応じた。時をおかず「ティクリートとバグダッドの間で遺体が見つかった。政府は身体的特徴から間違いないと言っている」という別の与党幹部の話が飛び込んできた。
 「犯行グループが指定した期限は過ぎており、政府と与党の幹部がそろって死亡を肯定した。情報源の信頼度は非常に高く、情報の中身も具体的」。政治部デスクは「状況からみて死亡=殺害」と確信した。
 午前3時3分、共同通信は最も重要なニュースだけに使う緊急速報(フラッシュ)を流した。「香田さんが殺害された」と断定する内容だった。続いて「日本政府に入った連絡によると、香田さんの殺害が確認された」との約700字の記事を送信した。配信を受けた複数の加盟新聞社が朝刊で報道、10を超える新聞が号外を発行した。
 この時点で共同通信が確認していたのは「政府・与党の幹部3人が香田さんの死亡を肯定した」という情報で、「殺害」と断定するには無理があった。
 情報の基になっていたのは外務省からの報告だった。バグダッド市内でさえ大使館員でも危なくて外出できないというイラクの状況を考えると、外務省の情報は米軍提供と推測された。「外務省は『間違いない』と判断している。外務省と米政府・米軍の間で相当な照合が行われているはずだ」という思い込みが共同側にあった。
 今回の報道の根拠となったのは、いずれも間接情報だった。人の生死にかかわる事件報道では厳密な事実確認が求められる。情報の質、精度を科学的根拠に照らして確認するという取材が欠かせない。そうした基本的な作業が抜け落ちていた。
 記事の配信を急いだことも情報の厳密なチェックを怠ることにつながった。急いだ背景にマスコミ他社との競争意識がなかったとはいえない。

 ▽なぜ戻れなかった
 高島報道官が午前4時すぎから記者会見し「米軍から『バラドという場所で日本人らしい遺体が発見された。日本側が米軍に送った香田さんの体の特徴に一致する部分がある』との連絡があった。遺体が香田さんかどうか判断する材料を持ち合わせていない。可能性があるということだ」と述べた。 通常ならこれを受け「香田さんとみられる遺体発見、確認急ぐ」と記事を修正しなければならない。しかし、共同通信は「香田さん殺害」と断定する記事の見出しを変えず、夕刊用に配信を続けた。このため多くの加盟新聞社が夕刊でも誤報を掲載した。
 正確な報道に立ち戻れなかったのはなぜか。
 会見で報道官は、遺体と香田さんは身長、体重のほか「後頭部のはげている部分」が一致していることを明らかにした。
 極めて限られた人しか知らない身体的特徴の一致は、情報への過信を一層強めることになった。「外務省から2時半の段階で香田さんのご家族に連絡した」との報道官の説明も共同通信は補強材料と解釈した。
 また報道官が日本時間の午前4時か5時には遺体がドーハに到着すると述べたことから、まもなく確認されるだろうと考えた。
 報道官の会見開始直後に、首相公邸に公用車が着いたとの情報が入り、「首相も動きだす事態」と受け止めた。
 午前4時半すぎ、与党幹部が自民党本部に集まり、久間章生総務会長は「顔の特徴から見て、本人に間違いないだろうと外務省から連絡があった」と語った。
 5時すぎからは、細田官房長官らが出席して自民党本部で与党の対策会議が開かれ、政府側は「ドーハで指紋、歯型の照合が行われる」と説明した。これも「最終確認」の手続きにすぎないと思い込んだ。
 この間、バグダッド支局は遺体を発見、収容した米軍やイラク当局への確認、ヨルダンのアンマンでは日本政府の現地対策本部の取材、ドーハでは衛星テレビ、アルジャジーラへの取材が続いていた。米軍は「東洋人らしい遺体」、現地対策本部は「身体的特徴から香田さんの可能性のある遺体」と回答。外務報道官の会見以上の材料はなかった。
 共同通信の配信を受けた新聞社から「政府も他のメディアも確認していない中で共同だけが殺害断定で報じているが本当に大丈夫か」「根拠は何か」などの問い合わせが相次いだ。当然の疑問だったが、ニュースセンターは「政府・与党の確かな筋で確認している」と回答。長時間にわたって新聞社の編集作業をミスリードした。
 編集局内には断定報道に疑問の声もあり、判断の根拠を問いただした幹部もいたが、誤った思い込みを崩す材料がなかった。また、香田さんと断定した記事を未確認と修正した後に身元が確認され記事内容を元に戻すようなことになると、編集作業が大きく混乱すると判断、修正を決断できなかった。
 遺体の搬送先はドーハからクウェートに変更になり、確認は大幅にずれこんだ。共同通信は自ら誤りを訂正できないまま午後3時半すぎ、細田官房長官の「別人と確認」の発表を迎えた。
(02:18)

http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=soci&NWID=2004110901003961


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