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イラク非常事態だけど、サマワは大丈夫?(東京新聞)
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投稿者 彗星 日時 2004 年 11 月 11 日 12:58:20:HZN1pv7x5vK0M
 

特報
2004.11.11

イラク非常事態だけど、サマワは大丈夫? 
『ベトナム以来の激戦』

 「ベトナム戦争以来の激しい市街戦」。イラク・ファルージャで始まった米軍などによる総攻撃では、こう呼ばれるほどの激戦が展開されている。それに呼応するかのように「非常事態宣言」も出され、イラクの治安悪化は抜き差しならない状況に追い込まれている。まさに「非常事態」だが、日本政府は自衛隊が活動するサマワをいまだに「非戦闘地域」と言う。大丈夫か、自衛隊。

 「ファルージャ攻撃は、古城から北ベトナム軍を追い出したフエの激戦と同じ。もう一つのフエだ。この戦いはベトナム戦争以来の激しい市街戦になる」

 米海兵隊のケント最上級曹長は、ファルージャ総攻撃を前に、参加する約二千五百人の隊員をこう激励した、とAP通信が伝えた。米軍にとり、同戦争以来の大規模市街戦との認識は、逆に治安回復に向けた状況の厳しさを示している。

 フエはベトナム中部の旧王都、日本の京都に当たる街で、一九六八年の北ベトナム軍と解放戦線軍の一斉蜂起「テト攻勢」での激戦地だ。この市街戦で、民間人の犠牲者は千二百人以上に上った。元共同通信論説副委員長で、ベトナム戦争時にサイゴン特派員だった藤田博司上智大教授は、市街戦開始十日目前後に現地に入った。

 「住宅も商店街も主に米軍の砲撃によって徹底的に破壊され、がれきの山。にぎやかな王都の面影は消えていた。遺体は見なかったが、住民は米軍の攻撃は無差別で乱暴だったと訴えた。米軍側は無差別ではないと説明したものの、住民の視点と言い分が違うのは今のイラクと似ている」

 軍事評論家の神浦元彰氏も「両軍が血で血を洗う大規模な市街戦を展開した。手りゅう弾を投げ合って、数メートル先の建造物を奪い合う接近戦だった。石で造られた寺院が立ち並ぶ美しい街だが、徹底的に破壊された」と解説する。

■無差別攻撃 米のトラウマ

 当時、米軍は解放戦線に軍事的に大打撃を与えた。フエの市街戦も米軍が制圧した。しかし、旧サイゴンの米国大使館が一時占拠された事実をはじめ、反撃への衝撃は世界に伝わった。「心理的、政治的にはベトナム戦争の行方を変える大きな節目になった。世界中に、米国の戦略がおかしいと思わせたことが決定的だった」(藤田氏)。

 神浦氏は「フエの悲惨な経験が、米軍には大規模市街戦に対するトラウマになっている。地の利も敵対側にあり、市民と武装勢力の区別が付かず無差別虐殺の形になることが経験上分かっているからだ」と指摘する。ファルージャ総攻撃では約一万五千人の米兵が展開。激戦で既に一般市民にも犠牲が出ている。

■宣言発令で全土に包囲網

 この総攻撃に合わせるようにイラク暫定政府は七日、非常事態宣言を出した。今年七月に施行された国家安全法に基づいた発令で、治安回復のため、治安当局は緊急時に限り令状なしでの家宅捜索や逮捕、夜間外出禁止や住民の移動などに制限をつけられる。宣言は六十日間有効で、その後、理由を明示した上で三十日ごとに延長できる。今回の宣言は、北部クルド人自治区を除くイラク全土が適用範囲だ。

 非常事態令は私権制限や人権侵害などが懸念され、イラク民主化には逆行する。その上でベトナム以来の激戦の再現を今回、決断せざるを得なかった米軍の事情を神浦氏は推察する。

 「非常事態宣言を出しての市街戦でファルージャの武装勢力を一掃しなければ、最悪状態になっている治安が回復できないという判断だろう。やむにやまれぬ決断だったのではないか」

■『第二次イラク戦争』の様相

 実際、今年六−七月にサマワなどで取材したアジアプレスの綿井健陽氏は「今年六月の主権移譲後、より状態は悪化している。米軍と暫定政府軍や警察が一体化し反米勢力を攻撃することで一般市民が巻き込まれる例が増えている。今回のファルージャ総攻撃前にも何度も空爆している。一連の戦闘は『第二次イラク戦争』だ」と解説する。

 米軍は八日夜にファルージャの病院を占拠した。一般市民の犠牲が心配されている。イラクへの人道支援を続ける日本国際ボランティアセンター(JVC)の佐藤真紀氏は「隣国ヨルダンにたどり着いたファルージャの非政府組織(NGO)メンバーは『息子が行方不明』などと話していた。彼らも米軍の空爆などで地元に戻れず、戦闘の全体像はまだつかめない」と心配する。

 綿井氏も「四月のファルージャ攻撃で、市民六百人以上の死者が出た。負傷した市民が苦しむ病院の映像を、中東の衛星テレビ局アルジャジーラが放映し、米軍へのイラク市民の憎悪をかきたてるきっかけになった。米軍はその反省から、今回最初に病院を押さえ、従軍取材を通して正当性を強調した。非常事態宣言もその一環だ」と分析。その上で「実際には、四月の攻撃より多数の犠牲者が出るのではないか」と危ぐする。

 悪化する治安情勢は、サマワの自衛隊も無関係ではない。小泉首相は、ファルージャ総攻撃を「成功させなきゃいけない」(九日)と支持したのに続き、十日の党首討論でも対米追随の姿勢を崩さなかった。

 小泉首相は、サマワの治安情勢について「(非戦闘地域とする)根拠といえば、戦闘が行われていないからだ」と説明。民主党の岡田代表が非戦闘地域の定義をただすと、首相は「自衛隊が活動している地域が『非戦闘地域』だ」とはぐらかしの強弁に終始した。

 サマワの自衛隊は八日、一日のロケット弾の着弾で中断していた宿営地外での活動を再開した。綿井氏は「米軍のファルージャ掃討作戦が成功したとしても、戦闘が終息に向かう可能性は低い。戦闘はより無差別化するだろう。米国べったりの自衛隊がより敵対視される」と心配する。

■隊員に“銃口”高まる危険

 神浦氏も「ファルージャから逃れたテロリストが、自衛隊に照準を向ける可能性が高まる。イラク特措法で定めた人道支援などできる状態ではない」という。

 JVCの佐藤氏は「政府は、自衛隊派遣が非戦闘地域での人道支援目的だと言い張る。このため現地では、日本のNGOの人道支援にも軍隊がかかわっているのかと誤解される始末で、私たちの活動そのものが危なくなった。日本の小学生から『イラクへ物を贈れないか』と聞かれるが、日本からと分かった品物を持った住民は攻撃の対象になる恐れがある。自衛隊派遣が先にありきだったのに『人道支援』と言い張るような、本質的なごまかしはもう続けられる状況ではない」と断言する。

 「非常事態」のイラクへの自衛隊派遣について、前出の藤田氏は危機感を強める。「現状ではイラクの治安は回復しようがなく、サマワが非戦闘地域という理屈は成り立たない。自衛隊が治安維持に貢献しているわけではないし、そもそも自衛隊が行くような治安条件ではなかった。さっさと引き揚げたほうがいい」


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20041111/mng_____tokuho__000.shtml

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