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視点:軍事法制なき派遣に 軽装で冬山登る危うさ (毎日新聞)
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投稿者 彗星 日時 2004 年 11 月 28 日 01:39:08:HZN1pv7x5vK0M
 

視点:
軍事法制なき派遣に 軽装で冬山登る危うさ

 イラクで日本人が武装勢力の人質にされるたび、被害者への手厳しい批判の声が上がった。「紛争地に民間人が出かけるのは無謀」「冬山に夏山の軽装で登るようなもの」などなど。しかし、政府が派遣し、それなりに武装している自衛隊もまた、法的には人質にされた民間人と大差はない。

 戦後の日本には軍事司法制度がなく、サマワの自衛隊員も刑法の国外犯の適用を受けるからだ。人を殺傷すれば、殺人罪や傷害罪の対象となる。上官の命令なら、上官も共犯に問われる。戦闘行為に巻き込まれても、反撃が許されるのは正当防衛が成立するか、緊急避難と解釈できる場合などに限られる。誤想防衛や過剰防衛なら刑事責任を免れ得ない。オランダ軍に守ってもらっているのも、そうした法的な制約があるからだ。

 軍隊を擁する国には、同制度がある。規律を保つ目的もあるが、戦場での武力行使が市民並みに刑法に触れるようでは、戦闘などできないからだ。一般に軍隊では戦闘行為の責任は指揮官にあり、指揮命令を受けた兵卒が、殺人罪や傷害罪に問われることはない。また、違反は一般の裁判所ではなく、軍法会議で裁かれる。

 日本に同制度がないのは、言うまでもなく軍隊が存在しないためだ。自衛隊は専守防衛に徹し、侵略を受けた場合に限り、武力行使できると考えられてきたせいだろう。武器使用は、警察官より条件が厳しい。憲法第9条で崇高な理念によって戦争を放棄しただけでなく、刑事上、自衛隊員を特別扱いしないことで、換言すれば自ら手足をしばることで、戦争行為を戒めてきたとの見方も成り立つ。

 自衛隊を軍隊でないとする憲法解釈は詭弁(きべん)だ、との批判は根強いが、法的には間違いなく自衛隊は軍隊ではない。そのことの重みを、非戦を貫いてきた戦後の歴史と共に改めてかみしめるべきではないか。めったなことで戦えぬ以上、外交に全力を傾注し、自らテロの標的とされるようなまねをしないよう軍隊がある国々以上に留意すべきことも言うまでもない。

 復興支援とはいえ、紛争地に軍隊でない自衛隊を派遣することは、土台無理ではなかったか。防衛庁は派遣に先立って「交戦規定(ROE)」を策定し、武器使用基準を事実上緩和した。警察部隊に護衛を頼む話まで出た92年のカンボジアへのPKO(平和維持活動)派遣当時とは事情が違うというが、自衛隊員による殺傷行為が犯罪に問われる基本構造に変わりはない。自爆寸前のテロリストを発見しても、正当防衛となるように口頭で警告し、威嚇射撃を経て射撃しろ、というような状態では、派遣される自衛隊員も気の毒だ。

 見かけは軍隊なのに、他国軍に守られる姿も奇異に映る。政府見解による「非戦闘地域」にいる以上、正当防衛や緊急避難が主張しにくいことも皮肉である。
毎日新聞 2004年11月28日 0時18分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20041128k0000m070098000c.html

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