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常岡浩介君の拘束について[チェチェン総合情報]
http://www.asyura2.com/0411/war63/msg/1363.html
投稿者 なるほど 日時 2004 年 12 月 03 日 00:12:14:dfhdU2/i2Qkk2
 

(回答先: 《ESPIO!》 プーチン政権が日本人取材者を弾圧! 投稿者 クエスチョン 日時 2004 年 12 月 01 日 22:26:45)

2004.12.01 岡田一男(映像作家)

 既に東長崎機関、チェチェンウォッチ、チェチェンニュースなどで取り上げられているように、イングーシのナズラニで常岡浩介君が拘束されている。東長崎機関の加藤健二郎氏からのお知らせによれば、昼間は尋問が続き、夜はホテルに戻されているとのことで、そのガスティーニッツァ・ウユート(ホテル・快適)に電話をかけてみた。ところが間違い電話になることばかりで、どうしても巧くホテルに架からない。個人の家にかかってしまう。ようやく何回かは相手の電話番号を聞き出すことができたが、ナズラニのモルグ(死体置き場)に架かってしまった時には、きつい冗談だよなあと、独り凹んでしまった。

 イングーシへの連絡を諦めて、モスクワの日本大使館で今回の事件を担当されているハタ氏に電話で状況を伺った。大使館とは国内故か、架かりにくいとは言うが、一日2回平均の電話連絡が常岡君とは維持されている。日本大使館の相手は、連邦保安局(FSB)ではなく、あくまでもロシア連邦外務省(MID RF)であるから、MIDを通じて、あくまでも法規に基づく正当な取り扱いを求め、早期解放を働きかけているという状況だ。

 ここで、注目すべき点は、ロシア側がやって言うことは、非常に巧妙だと言うことだ。日本側に不当弾圧だという、追求を出来にくくする処置を幾つもとっている。

1. 細かな法令違反ということで、それを積み重ねている。
2. 1日の尋問は、短時間にして拘束された常岡君に肉体的・精神的に痛めつけたと言う印象を与えないようにしている。
3. 同じ理由で、夜間の宿泊は、ホテルで宿泊することを許し、電話も盗聴するにしろ架けられる状態としている。
 上記の中で細かな法令違反としてこれまで問われた点は次のようなものだ。

 A. 滞在地での外国人登録違反。現在、ロシアでは外国人が滞在地に72時間以上滞在する場合、地元の内務省(MVD)の査証登録局(OVIR)に登録を義務づけているが、それを彼が怠っていたというもの。通常、滞在するホテルが旅券を預かり代理登録をしてくれる。個人宅にホームステイする場合などは、本人が通常地域の警察署(GUVD)内部に設けられているOVIRに出頭し、手続きを取らねばならない。かくいう筆者もこの夏、ボルガ河口デルタの町、アストラハニに赴いた際、カザフスタンのアルマトゥのロシア、トランスアエロ航空旅行部を通じて取得した1ヶ月間有効の観光ビザで入国したのだったが、ホテルが法令変更により、ビザスポンサーでないという理由で代理登録できず、40年ぶりに地方都市のOVIRに自ら出頭するということになった。OVIRは外人登録事務と地元住民の外国旅行用旅券の発給受付が、中心業務なので、混雑を極め、たかだか数分で終わる登録にも、ロシア名物「数時間の行列」を必要とする。しかも、筆者の場合、数時間の行列の後、空振りさせられた。登録はビザスポンサーが行うべきもので、貴方から直接受理することはOVIRとしては出来ないというのだ。ちなみにトランスアエロ航空はアストラハニには飛んでいないから、対応策が無い。それで、筆者は仕事を登録免除されている72時間以内に終えて、早々に80Km離れたカザフスタン領内に移動せざるを得なかった。通常の場合、登録を怠っても口頭による注意か、わずかな罰金を出港時に課されて済む話だが、当局がやる気をだしたら話は別だ。

 B. 衛星携帯電話の無登録保持。現在、ロシアでは外国人が入国する際、税関で登録しなくてはならないという決まりがあるのだそうだ。常岡君は「スラーヤ」という中東地域で使われている衛星携帯電話を持って行ったが、モスクワ国際空港での申告をしなかった。通常は申告しなくてもどうってことはない。現実、丁度丸1年ほど前に、私と、常岡君と、同志社大学一神教学際センターのハッサン中田教授は、モスクワ郊外のメリディアン・カントリークラブで開催された国際コーカサス学会に招かれたが、その時には、同じ「スラーヤ」を彼は持っていたが、何も起こらなかった。通常の場合、登録を怠っても口頭による注意か、わずかな罰金を出港時に課されて済む話だが、当局がやる気をだしたら話は別だ。

 C. ジャーナリストが取材活動を行う場合、外務省新聞局に登録しなくてはならない。登録すると、新聞局は、アクレディターツィアという取材許可証を発行してくれる。しかし、この発行の元になるのは、入国査証が取材査証となっていることが条件になる。取材査証は、在京のロシア大使館に取材計画を提出して、それが正式に受理されなければ受け付けてはもらえない。ソ連崩壊時以来ソ連、ロシアの取材制限は、非常に緩和され、取材ビザで入国しなくても取材活動を行うことは事実上可能であった。かくいう筆者も、これまで正式に取材ビザでロシアに入国したことは無かったし、それで問題は起こらなかった。上記のような手続きを踏んで取材したのは、数年前のウズベキスタンと今年の夏のカザフスタンであるが、昨年まではカザフスタンにも上記のような制度はなく、ロシアのシステムに追従したものと思われる。これらの手続きには、かなりの時間を要するので、注意が必要だ。

 ソ連時代の無茶苦茶な制約を経験している筆者には、既に体験済みのことであるから別に不思議でも何でもないのだが、息苦しい世の中になったものだ。ロシアの体制は完全にソ連時代に戻ってしまった。ソ連時代、ジャーナリストや創作芸術家は、硬直した体制の課す制約をくぐり抜けて自己表現する技を磨いて、ロシア・インテリゲンチアの伝統を守ろうとした。これからのロシアでの取材活動には、そのような知恵が、絶対に必要となろう。

 常岡浩介君は、現代版「コーカサスの虜」となった。彼のノートパソコンは、彼が尋問を受けている間にパスワードを解除され、全ての中身をチェックされた。彼のデジタルカメラも全部チェックされた。ほぼ1ヶ月にわたる取材活動の全データをもとに、FSBは、これからあらゆる屁理屈を見つけ出しては、彼に屈服を迫るだろう。彼には頑張って欲しい。そして、日本大使館には努力して欲しい。そして友人である我々は、何が出来るか考えてみよう。ジャーナリズムに身を置くもの全てにとって、明日は我が身なのだから。

岡田さんのメールアドレス: kazuokada1@hotmail.com

http://chechennews.org/notice/20041201tsuneoka.htm

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