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そもそも当時パウエルが『重大な違反』と、報告書で先に規定したということであれば、結果的にでも開戦を早めたのでは?
http://www.asyura2.com/0411/war63/msg/380.html
投稿者 転載ですけど 日時 2004 年 11 月 17 日 22:47:03:TnAxpoe4/Pakk
 

(回答先: Re:パウエルは穏健派ではない? 投稿者 近藤勇 日時 2004 年 11 月 17 日 20:38:07)

ご趣旨に、賛同いたします。

下記は、イラク開戦前の当時の“雰囲気”の引用です。

執筆者としての2002年末の田中宇氏は、好意的(?)に書いておられますが“フセインのイラクに怒ってみせた”パウエルは、イラク開戦の立役者ではあるでしょう。

また、置き土産の台湾情勢への揺さぶり(?)も、注目に値する業績かもしれません。


‥‥
 11月上旬、国連はイラクが化学兵器や生物兵器といった大量破壊兵器を持っている可能性があるとして、イラクに対する兵器査察を行うと決議した。査察の手始めに、まずイラク政府が大量破壊兵器に関する自己申告を行うことになったが、その申告の提出期限が12月7日だった。この日程が決まった後、ブッシュ大統領は「イラクの申告に大きなウソがあり、国連決議に対する重大な違反が行われたと判明した段階で、イラクに侵攻することも辞さない」と発表した。

 この表明を受けて「イラクが自己申告書を国連に提出した翌日に、アメリカがイラク侵攻を開始するに違いない」という予測が広がり「真珠湾攻撃で始まった日米戦争で日本軍を叩きのめしたように、アメリカはサダム・フセインの軍隊を叩きのめす、という象徴的な開戦日として12月8日が選ばれるに違いない」という解説が流布した。

 だが、問題の12月8日から一週間が過ぎても、アメリカは何も目立った動きを示さなかった。イラクが提出した申告書は12000ページという膨大なもので、国連の査察団からは「申告書を吟味するのに2週間ぐらいはかかる」「査察そのものも、今後8カ月ぐらいかかるかもしれない」などと悠長なコメントを発表した。

 申告内容に多くの漏れがあることは数日のうちに分かった。分量こそ膨大だが、内容の大部分はイラク政府がこれまでの約10年間の査察で提出した無数の申告書をつなげただけで、対イラク査察の専門家たちには見覚えのある文面だった。

 1998年に前回の国連査察団がイラク側にスパイ容疑で追い出されて査察を終えた際、イラクは大量の生物兵器として使えるボツリヌス菌を持っていることを認めていたが、報告書にはそのことがまったく書いていなかった。また報告書には炭疽菌を持っていることが書かれていたものの、申告された量は、98年の時点で国連側が把握していた量の3分の1だった。

 ところが、こうしたイラクの申告漏れはすぐに指摘されたにもかかわらず、アメリカが実際に申告書に対する評価を発表したのは、申告書が提出されてから12日後の12月19日だった。アメリカが申告書に対する態度をなかなか明らかにしなかった背景には、ブッシュ政権内で常態化している「タカ派」と「中道派」の対立があるため、政府の意思を一つにまとめられない、という事情があった。

 イラクの申告書に対してブッシュ政権が態度を決めねばならない事実上の期限だった12月18日には、ホワイトハウスで大統領を囲んで「国家安全保障会議」が開かれ、激しい議論が展開された。この日、国連査察団のブリックス団長が申告書に対する評価を発表することになっており、その前にアメリカの評価を決め、査察団の発表内容をアメリカの意向に従わせる必要があった。

 ラムズフェルド国防長官や「ネオコン」(新保守主義派)の出世頭とされるウォルフォウィッツ国防副長官に代表されるタカ派は、イラクを皮切りにイラン、サウジアラビア、シリアなど「イスラム原理主義」の傾向がある中東の国々を次々と攻撃することで、イスラム世界を「民主化」するのだと主張している。

(そんなことをしたら、民主化どころか逆にイスラム主義が強まるばかりであるため、タカ派の真の目的は民主化ではなく、欧米とイスラム世界との「文明の衝突」を起こし、ネオコンが支持するイスラエルの立場を強化し、新しい冷戦状態を作って軍需産業を潤すとともに、イラクの石油を独占したいのではないか、と考えられる)

 これに対し、パウエル国務長官やベーカー元国務長官ら中道派は、中東には中ぐらいの大きさで強大になれない親米的な国がいくつも別々に存在していた方がいいという「均衡戦略」(バランス・オブ・パワー戦略)を採っている。湾岸戦争直前のようにイラク一国が強大になると潰さねばならないが、中東全体を混乱に陥れようとするタカ派の戦略は中東諸国を反米イスラム主義の方向で団結させてしまうため、中道派はタカ派主導のイラク侵攻計画に反対してきた。

 このような経緯から考えると、イラクの申告書への対応をめぐってブッシュ政権内部で対立があるのなら、タカ派が「申告書には重大な違反があると発表し、すぐにイラクに侵攻すべきだ」と主張し、中道派は「いやいや、もう少し慎重にやろう」と言って対立するのが当然と思える。

 ところが実際には、12月18日の国家安全保障会議では、その逆の事態が起きた。中道派のパウエルが「申告書には重大な違反がある。イラクに対して強い態度に出るべきだ」と強硬に主張したのに対し、タカ派のラムズフェルドは「『重大な違反』(material breach)という言葉はきつすぎる。評価を和らげて『重大な漏洩』(material omission)とした方がいい」と穏健派に回った。

 激論の末、パウエルの側に軍配が上がった。パウエルは翌12月19日に「イラクの申告書には重大な違反があった」と発表し、国連査察団のブリックスも同様の発表を行った。こうした新事態に対し、イギリスのガーディアン紙は「ついにパウエルがタカ派に転向した」という解説記事を載せた。

 だが私には、パウエルは転向したのではなく、タカ派をしのぐ強硬派のような態度をとることで、タカ派主導のイラク侵攻作戦を乗っ取ったのではないか、と思われる。

 パウエルは記者から「イラクの申告書に『重大な違反』があったのにイラク侵攻をしないのか(大統領が『重大な違反があればイラク侵攻をする』と言っていたことはどうなったのか)」と尋ねられ、「『重大な違反』という言葉は単なる法律用語でしかない」と答えている。パウエルは、タカ派が『重大な違反』という言葉に仕掛けた起爆装置を抜いてしまったわけで、これが「転向」ではなく「乗っ取り」であるということを象徴している。
‥‥

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