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国連改革:16識者の提言とアメリカ[media@francophonie]
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投稿者 なるほど 日時 2004 年 12 月 07 日 06:13:35:dfhdU2/i2Qkk2
 

国連改革:16識者の提言とアメリカ
11月30日に、アナン事務総長が設置した国連の有識者諮問委員会(ハイレベル委員会)が国連改革に関する報告書を発表しました。これに関して、国連とアメリカのごたごたを視野に入れながら要領よくまとめたル・タンの記事を3本ご紹介します。一番目のメインの記事は、ハイレベル委員会が設置されたいきさつと、委員会提案がどのようにアメリカの思惑に反しているか。2本目は目下アメリカが国連に対するルサンチマンを爆発させている国連スキャンダルについて。3本目は駐国連アメリカ大使のジョン・ダンフォードの突然の辞任についてです。

Le projet de reforme de l'ONU, qui ne plaira pas a Washington, porte la marque du travail de la Suisse
ワシントンの気に入らない国連改革案にスイスの努力の跡

12月4日付け ル・タン Alain Campiotti(ニューヨーク)
元記事はこちら


(翻訳はじめ)
コフィ・アナンは「マスター・アンド・コマンダー」のラッセル・クロウを思わせる。嵐の中でも動じない男だ。アナンは、ワシントンの興奮した数人の上院議員によって賞金首になってしまった。とはいえ、今から6年前にガーナ人のアナンを国連事務総長の座に据えたのはアメリカであった。今アナンの絞首台の綱を握っているのはジョージ・ブッシュだ。この6年間にはイラクという大嵐があった。巨大な波が立った。船は難破しかけているのだろうか?アナン船長は船のエンジンを止めることなく破損箇所を修理しようと手ぐすねをひいている。

事務総長は、平和維持と秩序回復という国連の役割がより良く果たされるために、ハイレベル委員会の16識者によって提示された101提案を公表したばかりだ。各国の元大臣や高級官僚からなるこの討議会にスイス人は一人も含まれていない。しかし数100ページに及ぶ国連改革案報告書には、スイス人の仕事の跡がはっきりと見て取れる。国連憲章、制裁制度、そして人権委員会について。とくに人権委員会は抜本的な改革が必要であるとされている。

コフィ・アナンが着手した企ては、ジョージ・ブッシュへの回答であった。今から一年前、アメリカ大統領は国連総会で、安全保障の新たな脅威に目を開くように−要するに、テロリズムに対応せよと−国連に催促したのだった。2003年9月のことである。当時、イラク戦争はそれほど悪い状況ではなかった。テキサス人の大統領は、国家やテロ組織網などの「ならず者」に対し、予防措置としての攻撃(アメリカによれば先制攻撃)を最終的には認めるよう国連に要求した。よろしい、この件に関して話し合いを開始しましょう、と事務総長は答えた。そして一年後、議論の帰結はジョージ・ブッシュの気に入るものではなかった。先制攻撃を承認させるために避けて通れないハイレベル委員会は、まったく米国に譲らなかった。しかし委員たちは、国連がその機構を強化しなければならないということは認めた。

新たな脅威

国連憲章(51条)に書かれているような正当防衛の定義と、武力行使の方式(7章)を見直させることがアメリカの懸案であった。ミシュリン・カルミ・レ(訳註:スイス外務大臣)はすぐさまスイスの貢献を申し出た。世界各国の法律家がジュネーヴに集まり、彼らの出した結論がハイレベル委員会で引き継がれた。その結論とは、一言で言えば憲章には手を触れるべきではない、ということである。ハイレベル委員会は新たな脅威を見て見ぬ振りをしているわけではない。委員会はテロリズムを将来の悪夢とすら形容している。この悪夢を振り払うために、武力行使は正当化されうる。しかし武力に訴えるには5つの条件がある。(1)問題となる脅威が、明白かつ重大なものであること。ここには一般市民に対する攻撃も含まれている(別の言い方をすれば、イラクに介入するよりもルワンダに介入すべきだと言うことだ)。(2)軍事攻撃の目標が明確であること。(3)武力行使以外にとるべき手段がないこと。(4)過剰な武力に訴えないこと。(5)武力行使の結果に責任をとること−結果に対する解決策が、惨禍を広げるものであってはならないこと。

この列挙を見ただけで、ジョージ・ブッシュがなぜ受け取った回答に満足していないのかがよく解る。ハイレベル委員会はイラクについては控えめにしか触れていない。しかし彼らの考察は、列挙された5つの基準に応えることができさえすれば、サダム・フセインに対する武力行使は安保理で承認されただろうということを暗黙のうちに物語っている。かといって、ハイレベル委員会が世間知らずのお人好しというわけではない。報告書は、国連が完全無欠の装置だなどとは一言も述べていない。委員会は言外に国連内部が素人集団であり、早々に解散させるべき多くの「無意味な役職」があることを匂わせつつ、事務局の強化とプロ化を求めている。

安全保障理事会に関しては、こんにちあるがままの世界をそのまま反映させるよう、その構成の見直しが行われるべきである(★訳註)。しかしハイレベル委員会は第二次世界大戦終結時に常任理事国に授けられた拒否権という恩恵の見直しにまで踏み込むことは出来なかった。委員会は−スイスと同じように−、ただ、この権利が拡大されるべきではないと言及するに止まった。

報告書は特に、毎年ジュネーヴで茶番を演じている人権委員会に対して非常に厳しいものになっている。人権委員会は、国連におけるスイスの主要な仕事場でもある。改革の目標は、53カ国により構成され互いにお互いの立場を守りあっている人権委員会を廃止して、安全保障理事会と同等の人権理事会に置き換え、人権無視の犠牲者のための行動を起こすというものだ。国連加盟前、スイスは各種の紛争における制裁措置の利用方法についても、各国の専門家を招いて考察した。イラクでの国連制裁のような、まず市民生活を害してしまうようなものではない制裁措置の可能性について検討するという仕事を事務総長がスイスに託したためだ。ハイレベル委員会は、このスイスの結論も継承した。

来年3月、ハイレベル委員会の報告書に基づいて、事務総長は自ら国連の改革案を発表することになる。来年秋の国連総会直前には、各国首脳会議において国連改革問題が話し合われる予定だ。
(翻訳おわり)

★訳註:
現在の安保理事会は、拒否権を持つ常任理事国5カ国(中国、フランス、ロシア、英国、米国)、拒否権を持たない非常任理事国10カ国プラス事務総長で構成されている。
改革案Aは、拒否権を持つ常任理事国5カ国(中国、フランス、ロシア、英国、米国)、拒否権を持たない常任理事国6カ国(ブラジル、ドイツ、日本、インド、エジプト、プラス南アフリカかナイジェリア)、拒否権を持たない非常任理事国13カ国、プラス事務総長という構成。
改革案Bは、拒否権を持つ常任理事国5カ国(中国、フランス、ロシア、英国、米国)、拒否権を持たない半常任理事国8カ国(任期4年、再選可能、メンバーはA案の6カ国プラス欧州から1カ国、中南米から1カ国)、拒否権を持たない非常任理事国11カ国、プラス事務総長という構成。

Des elus du Congres americain veulent la peau de Kofi Annan
コフィ・アナンの首を望むアメリカ国会議員

12月4日付け ル・タン Alain Campiotti(ニューヨーク)


(翻訳はじめ)
コフィ・アナンはサダム・フセインの共犯者なのか?アメリカ議会の2つの委員会は、数ヶ月前からまるで仇敵から剥ぎ取った頭皮をふりかざして踊っているような騒ぎを演じている。上院委員会の委員長であるノーム・コールマンは、事務総長に辞任を要求した。アメリカの議員らは、もちろん国連に対して戦後処理の落とし前をつけるつもりなのだ。しかし事は単純ではない。この事件に関し国連は潔白ではなく、国連自身がそのことを最終的には認めることになるだろう。

事件とは、湾岸戦争後に課された国連制裁下でのイラク人の苦悩を軽減させようとして安全保障理事会が着想した「石油・食糧交換プログラム」にまつわるものだ。このプラグラムによって、バグダッドはある一定の量の石油を輸出できることになった。輸出によって得られた金は国連によって管理されている凍結口座に送金され、この口座から、イラクが食糧と薬品を購入するのに必要な金が支払われる。

ところが、サダム・フセインはこのプログラムを財源補給装置として利用した。口座管理(原則として安全保障理事会の責任下にあった)はいいかげんなものであった。石油の売却先を決定したのも、購入物資の内容を決定したのもイラク政府だった。非常に早い段階から、賄賂システムが構築され実施された。イラクの高品質原油を欲した石油会社各社は、国連によってコントロールされている価格に上乗せされた手数料を支払わなければならなかった。イラクの物資輸入においても、裏利潤を生み出すような高値が支払われた。その上独裁者フセインは、制裁解除に賛成している国や友人に対して輸出クーポン券をばらまいた。国連の石油・食糧プログラムの責任者だったべノン・セヴァンは、このようにしてフセインから恩恵を受けたとして非難されている。

このずるい手口は、実のところ、(セヴァン事件を除いて)それほど秘密でもなんでもなかった。それどころか、イラク石油の大量の密売は関係者周知の事実であり、これによって、例えばクルド人は生き延びることができたのだった。しかしワシントンでは、政府も、そして少なからぬ議員たちも、この事件をつかって国連に報復することにこだわっている。そしてアメリカは、事務総長の息子コジョ・アナンから思いがけない助け舟を出されることになった。コジョ・アナンはジュネーヴにあるコテクナ社に短期間勤務していたが、この会社はバグダッドの輸入管理を請け負っていたのだ。若きアナンは、明らかにイラクの結んだ輸入契約にはまったく関与していない。しかし、コジョ・アナンはコテクナ社を辞めた後も、競業避止義務(訳註★)の代償として同社から月々2500スイスフランを受け取っていた。昨年2月、「oil for food」スキャンダルが表沙汰になったまさにその時に、振込みは停止された。
(翻訳おわり)

★訳註:競業避止義務とは、社員が退職した際、企業機密の漏洩を防ぐなどの理由で一定期間競業する他社に就職しないという義務のこと。雇用契約の特約に盛り込まれる場合がある。

Le mysterieux depart de Saint Jack
謎に満ちた聖ジャックの辞任

12月4日付け ル・タン Alain Campiotti(ニューヨーク)


(翻訳はじめ)
国連で5ヶ月、これは実際非常に短い期間だ。なぜ「聖ジャック」は手を引いたのだろうか?ジョン・ダンフォースはミズーリ州から選出されて上院議員を18年間務め、おまけとして英国国教会の牧師も務めていた(「聖ジャック」というあだ名はここから来ている)が、駐国連米国大使を辞めたいとジョージ・ブッシュに宣告した。ダンフォースは家に帰って妻のサリーのめんどうを見たいと辞任の理由を述べている。本当なのだろうか?

この辞任は、もしかしたらそれほど単純なものではないかもしれない。ダンフォースが辞表を送ったのは、国務長官がコリン・パウェルからコンドレッツァ・ライスに変わることが発表されたその3日後のことであった。国連臨時大使は国務長官のポストに着きたがっていたのだと人々は噂している。今から4年前、ダンフォースの名前はディック・チェイニーのブッシュ側の対立候補として取り沙汰されていた。ディック・チェイニーが副大統領に選出された後は、ダンフォースは司法長官候補の最右翼と言われていた。もしこれらの噂が本当なら、ダンフォースの失望は相当大きかったことだろう。

また、駐国連米国大使というポストは、昨今、あまり気分のいいものではないことも指摘しなければならないだろう。イースト・リヴァー河畔の国連御殿の廊下で、アメリカ人と仲良くしてくれる人はそれほど多くない。それどころか多くの人はアメリカ人を見ると顔をゆがめる。

しかしジョン・ダンフォースは、アメリカの保守派の中では過激というわけではない。反対に穏健で、妥協点を探る人物だ。もしかしたら、ホワイトハウスが国連でも、国務省でも、妥協など望んでいないことにダンフォースは気づいたのだろうか?
(翻訳おわり)

http://blog.livedoor.jp/media_francophonie/archives/10283642.html
http://blog.livedoor.jp/media_francophonie/



日本外交と外務省 問われなかった“聖域”
http://www.koubunken.co.jp/0300/0289.html

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