★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板 > 戦争64 > 223.html
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
天木直人・メディア裏読み(12月7日)在日米軍再編を巡る日米間の思惑/そして誰もいなくなった ほか
http://www.asyura2.com/0411/war64/msg/223.html
投稿者 天木ファン 日時 2004 年 12 月 07 日 20:59:06:2nLReFHhGZ7P6
 

12月7日 ◆ 在日米軍再編を巡る日米間の思惑 ◆ そして誰もいなくなった ◆ 自民党の改憲案が撤回される事になった! ◆ 迷走ついでにもう一つ
■□■                   ■
□★□ 天木直人 12月7日 メディア裏読み □
■□■                   ■

contents------------------------------------------------------
◆ 在日米軍再編を巡る日米間の思惑
◆ そして誰もいなくなった
◆ 自民党の改憲案が撤回される事になった!
◆ 迷走ついでにもう一つ
------------------------------------------------------ contents


◇◆ 在日米軍再編を巡る日米間の思惑 ◆◇
 
7日付の日経新聞に、日米両政府は、来年2月にも日米安全保障協議会(双方の外務、防衛担当閣僚によるいわゆる2プラス2会議)を開いて、米軍再編の理念や意義を盛り込んだ「戦略合意」を発表することを急いでいるという記事がでていた。

 問題は日米双方の思惑の違いだ。双方とも、日本国内の反発をおそれて、具体的な政策の協議内容を明らかにせず、まず抽象的な基本理念の合意を前面に打ち出し、なし崩し的に具体的措置を進めていく作戦で一致している。

問題は日本国内の法的整合性をどう図っていくかだ。7日付の日経新聞によれば、日本側は「安保条約に基づく日米協力」と「世界規模での日米同盟」を明確に切り分け、日米安保条約の再々定義を徹底的に避けようとしている。その背後にあるのは、憲法違反、安保条約逸脱である今回の米軍再編について、法的議論に巻き込まれては厄介だという思惑である。

一方の米国は、日本国民をごまかし続けて安定的な軍事同盟関係が保たれるのかという懸念を持っている。この米国の考えを見事に表しているのが6日付の朝日新聞のインタビュー記事である。

米国防省のバリー・パベル戦略部長はつぎのように答えている。
「・・・(見直し作業の中で)特に重要なのが法制面の整備だ。地位協定など、受入国との取り決めの多くは、今とは異なる時代状況のもとで結ばれたものだ。今後予想される局面では即応性が問われる。そのたびに受入国の議会承認が必要だとすれば効率的な対応は出来ない。21世紀にふさわしい取り決めに改善する必要がある・・・」

すなわち米国は安保条約や地位協定の変更に応じてもよいといっているのである。そして日本側がそれに応じないのであれば「共同声明」でも「共同宣言」でもいいが、その声明や宣言によって日本国内の法的整備ができるようにしてくれといっているのである。日本政府は日本国民と米国政府の双方を欺こうとしているのである。


◇◆ そして誰もいなくなった ◆◇

イラク攻撃が間違いだった事ははじめからわかりきっていたが、ここに来て米国に協力的であった世界の指導者から相次いで誤りを認める声が聞こえはじめた。米国のイラク占領もいよいよ末期的様相を呈し始めたということだ。

6日付のしんぶん赤旗は、4日付のポルトガル週刊誌エスプレソに対し、欧州委員会のバローゾ委員長が、「・・・イラクへの軍事介入で世界がより安全だともいえない」と認めたことを報じている。バローゾ氏はポルトガル首相時にイラク戦争を支持した。従ってこの発言は自己批判ととられているのだ。

他方7日付の読売新聞は、パキスタンのムシャラフ大統領が5日放送のCNNのインタビューで次の通り述べたと報じた。
「・・・あの攻撃にパキスタンはそもそも反対だった。・・・今になってみれば我々はもっと多くの問題を抱え込んだ。(イラク侵攻の決断は誤りだったかとの問いに)結果的にはそうだ。」

また7日付の毎日新聞では、後藤田正晴元副総理がこう喋っている。
「・・・正当性のない間違った戦争だった。・・・従って対米追従した小泉政権の選択も誤った。・・・イラク特措法は憲法の制約から『非戦闘地域』という虚構の概念を作り出し、その一方で危険な地域に派遣しているのに『安全確保』を義務付けるという矛盾した法体系になっている。人道復興支援という法目的もこじつけだ。・・・日本がイラクまでいって支援する真の理由は日米同盟堅持であるとなぜ言わない。・・・」

産経新聞までが7日の「産経抄」の中でつぎのように書き始めた
「『恋と戦争は始めるのは簡単だが終わらせるのは難しい』と米国の編集者H・Lメンケンは言った。・・・自衛隊はいつ引き揚げるかという『出口戦略』を持たなければならない。」

みんないなくなっていく。そんな中で一人小泉首相だけが「正しかった」と絶叫する姿が頭に浮かんでくる。これは笑い話ではすまない。


 ◇◆ 自民党の憲法改憲案が撤回される事になった! ◆◇

 この程度の改革案であったのかと唖然とさせられたのは私ひとりではないはずだ。7日の朝日新聞によれば、ついに自民党は党総裁、衆参両院議長経験者から若手まで含めた全党的な新しい機関をつくって憲法改正案の議論をやり直す方針を固めたという。それでは今までの起草委員会はなんだったのか。

ことの起こりは、憲法改正案の安全保障関係の部分が殆ど自衛隊制服幹部の手になるものであったことがばれて大騒ぎになったからだ。これは単に「シビリアンコントロールを逸脱した」という野党側からの批判に答える為だけではない。制服組に改革案を丸投げしたお粗末な中谷起草委員長に対する自民党内部からの批判が原因だ。

 しかも今回の自民党案は衆議院議員主導で作られ参議院が劣位におかれていた為反発が強く、いずれにしても撤回せざるを得ないという事情があった。
 それにしても国の基本法の改正案がこんないい加減な形で作成され、しかもこんないい加減な理由であっさり撤回されるとは。もっとも新機関に、「法の支配」をまったく無視した小泉総裁が参加してかきまわされれば、もっと酷い改正案が出て大混乱するかもしれない。それはそれでまた改憲反対者にとっては歓迎すべきことだ。


 ◇◆ 迷走ついでにもう一つ ◆◇

 二つの新聞記事がこの国の迷走を物語っている。一つは7日付の産経新聞の「首相の靖国神社参拝問題」についてである。小泉首相は来年も参拝をするのか、いつこれを行うのかという笑い話のような記事の要旨は次のごとくである。

小泉首相にとって参拝は首相就任時からの公約であるから譲れない一線だ。ここで中国の圧力に屈してやめたら国内がもたない(石破前防衛庁長官)。党内の慎重派(福田、加藤など)や財界が慎重、反対の意見を申し入れているが、それでも小泉首相は来年も参拝するだろう(党執行部の一人)。ただそのタイミングは難しい。来年の元旦は日朝首脳会議の直前であり参拝はないとの見方が強い。かといって参拝が3月から始まる愛知万博の期間にかかると温首相の訪日は実現しなくなる。来年夏には中国は「反ファシスト戦争勝利60周年」で反日ムードが盛り上がる時期だから困難。11月にはアジア太平洋会議が予定されている。政府内からは「いっそ大晦日に行ってそのまま年を越して2年分を一緒にやっちまえ」という声もあるという。何のための靖国神社参拝か。

もう一つはイラクへの自衛隊派遣延長についての7日付朝日新聞の記事である。自衛隊派遣の1年延長は事実上決定済みである。10日の閣議決定と総理記者会見はセレモニーに過ぎない。問題は撤退時期をどう考えておくかである。これについて朝日の記事はお寒い実情を教えてくれている。

 現地の治安は悪化しており、来年1月の暫定国民会議の選挙の実施さえ危ぶまれている。しかし首相官邸の関係者は「イラクの状況がどうなるかわからないから、出口の理論は出来ない」と言い、小泉首相や細田官房長官らが真剣に「出口」について検討した形跡はない。

当初政府はイラクの情勢が落ち着けば援助機関主体の支援に切り替えることを想定していた。しかしその時期は当分来そうもない。支援を途中で投げ出した形にはできない。しかし隊員の安全が確保されなくなれば撤退せざるを得ない。それが一番ありうる撤退のシナリオである。しかしその場合でも「何人亡くなったら撤退という線引きは出来ない。最後は常識論だ」(官邸の一人)。
この程度の考えで国民の多数が反対している派遣延長が決められるのである。


======================information======================
いつも「メディア裏読み」をお読み頂きありがとうございます。天木の書きました内容に関して更に情報をお持ちの方はお知らせ下さい。より詳しい情報に基づき一層良いものを書いてゆく所存です。また、ご意見ご感想等もお寄せ下さい。皆様からのご連絡をお待ちしています。
天木総合政策研究所 「メディア裏読み」事務局
E-mail:n.amaki@nifty.com HP:http://www.amaki.info 
======================information======================

http://homepage3.nifty.com/amaki/pages/ns.htm

 次へ  前へ

戦争64掲示板へ



フォローアップ:


 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。